- Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
- / ISBN・EAN: 9784620108087
作品紹介・あらすじ
悲嘆の門は宮部みゆきさんが書かれたミステリー小説です。
ミステリーを超えて、ファンタジーを超えた宮部みゆきさんの新しい世界とも言える作品です。ネットに溢れる殺人者の噂を追っている大学生の孝太郎と動くガーゴイル像の謎に追う元刑事の都筑。この二人を中心に物語は進んでいきます。読者を飽きさせることのないストーリーです。
感想・レビュー・書評
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大学一年の三島孝太郎。大学生活は楽しく無かった。
《何か》が足りないから退屈…。
そんな時、高校の先輩・真岐誠吾に誘われアルバイトを始める。
(株)クマー・ネット社会の警備会社…サイバー・パトロールだ。
そんな中、遺体の一部を切り取るという残忍な連続殺人事件が発生し、
その猟奇的な犯行に世間は震撼する。
孝太郎もこの事件を追いかける。
同じ事件を元刑事の都築も注目していた。
都築の住む街では、無人の廃ビルの屋上にある《ガーゴイル》という
オブジェが動くという噂が…。
孝太郎のバイト仲間の森永は、複数の失踪者の行方不明事件を探っていた。
その森永が連絡がとれなくなる…。
物語に流れる重要なテーマが『言葉』
ネット人格は現実の自分と違う…と言う人もいるが
ネットに書き込んだ言葉は、どんな些細な片言隻語でさえ、
発信されると同時に、その人の内部にも残る。つまり〈蓄積する〉
溜まり、積もった言葉の重みはいつかその発信者自身を変えてゆく。
言葉はそういうもの…。
良い言葉を使い、良い言葉を蓄積しようと思った。
内容を知らずに読み始めたこの本
前半はミステリー色が濃く、孝太郎と都築さんが廃ビルに忍び込む位までは、
どーなるの?ハラハラドキドキ
う~ん、さすが宮部さん…。
第三章になり、あれ?読んだ事のある話が…。
『英雄の書』だ…。
ファンタジー色が濃くなり↓↓☆も5つから4つへ
でも、事件はどうなっていくの…。
孝太郎はどうなっちゃうの…。
下巻が楽しみです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
釈迦もキリストもその教えを説くにあたり、巧みなる比喩や物語を用いて民衆に語りかけた。優れた教えも言葉や物語がなければただの理論に終わって人々に根付くことはない。宮部さんは、ファンタジーの手法を用いて現代の物語と言葉の本質に迫ろうとしている。その気迫溢れる筆致が魂を揺さぶる。
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冒頭───
雨粒が窓を叩く。外は冬の嵐だ。雲は重く垂れ込め、ビルの谷間で風が唸る。
雨粒はリズミカルに窓を叩く。まるで気短なノックのように、数知れない小さな拳が、古びた木枠のなかで傾いだガラスを叩く。
パテが痩せてガラスの傾いだ窓の内側には、幼い女の子が頬杖をついていた。額と鼻の頭が、ほとんどガラスにくっつきそうだった。隙間風に、女の子の不揃いな前髪がときおりふわりと舞い上がる。
──────
苫小牧で左足の親指が切り取られた被害者が発見された。
秋田で発見された被害者の遺体は右足の薬指が切り取られていた。
三島市で発見された遺体は、被害者の中指が切断されていた。
四件目の被害者は、右足の膝から下が切断されていた。
そして、五件目の被害者は───。
サイコキラーによる連続殺人事件の発生。
犯人は誰なのか?
さらには、廃ビルの屋上に取り付けられたままのガーゴイル像。
その像は、ときどき位置や顔の向きが変わっていると言う。
意志を持って動くかのような恐ろしい姿の謎の像の正体は───。
サイバーパトロール会社『クマー』でバイトをしている大学生の三島孝太郎は、事件を解決しようと行動を起こすが……。
さまざまな謎を残しながら、事件は急転し、下巻へ。 -
『模倣犯』は私にとても大きな傷を残しました。これまでの読書歴で「読むんじゃなかった…」と思ったのは、『模倣犯』だけです。
だからこの本も、また傷を負いそうなら途中でやめようと、恐る恐る読み進めました。そしたら、想像もしない方向へ話が展開していくではありませんか⁈
私が思ってたのと違っているので、今、私に必要な物語ではないのでは…と戸惑いながらも、最後まで読みました。さて、下巻にはどんな展開が待っているのか、楽しみです‼︎ -
勘違いしていた。題から推測しててっきりどろどろの人間模様を語る話だと思ったら、ここまでは、ファンタジー的なミステリーで、この後どうなるのか全く予想できない。この作家さんは、こういう系も凄かったわ。
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宮部みゆきの世界に完全に魅了されている。何だろう。その世界にいるような感覚。気がつくとイッキ読み。
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プロローグで生活苦の母娘に泣きそうになり、女子中学生の裏サイトでのいじめ、サイバーパトロールのバイトをする大学生、怪獣クマーの絵本。
序盤で、ああこの話はきつそうだなぁと感じて、気持ちが重くなりました。
現代社会に蔓延る歪んだ闇、見たくないけど確実にある現実を晒すような話なんだろうと。
しかしながらそれはある意味裏切られ、最初の彼女たちはさほど辛い目に遭っていない。(少なくとも上巻終わり時点では)
事件の萌芽を追いかけて行方不明になったバイト先の先輩を探して、物語は突然物凄いファンタジーな展開を見せます。
むしろ「火車」的な、現実の恐怖を描いている風な印象すらあったのに。
ダークファンタジーとまだうまく馴染まず、右と左で違うものを見ているような感じ。
珍しく上巻だけの感想を書きました。 -
最初のサイバーパトロール部分が現代社会の現象に切り込んでいて面白いとおもったが、ファンタジー化してきたので興味を維持できず読了を断念。