モンローが死んだ日

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  • 毎日新聞出版 (2015年6月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (504ページ) / ISBN・EAN: 9784620108155

感想・レビュー・書評

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  • 妄想は自身を破壊する
    まさにまさに

  • 大人の恋の物語。
    静かな資料館での毎日に憧れます。
    が、まさかの展開。

  • 夫に先立たれ一人暮らす鏡子と、離婚してこれまた一人の精神科医の高橋。
    軽井沢の隣町で静かに二人の時間は過ぎていくかにみえたが、突然高橋が失踪し、空気感が急に変化したのには戸惑った。
    精神的なものは苦し過ぎる。

  • 夫を亡くし、猫2匹と軽井沢の外れの自宅でひっそりと暮らす鏡子が精神のバランスを崩したことから受診した精神科医。
    もう何もないと思っていた鏡子の人生に、ひと刷毛の朱を入れるように訪れる医師との静かな恋。その描写は淡々としながらも、小池さんならではの筆力でぐいぐい読ませられ、気付いたら500ページが終わっていた。
    鏡子の年代が近いこともあり、心の動きがすんなり入ってきて、今、この年で読んでこその面白さかなと感じた。

  • だいすきな小池真理子さん。久々のミステリーということで、とても楽しみに読みました。
    最初は、主人公鏡子さんの心情の変化や、精神科医の高橋さんとのやりとり、軽井沢の美しい自然に引き込まれ、中盤は、高橋さんとだんだん距離が縮まっていく様が何とも言えず心地よくて。後半からは、彼が本当は誰だったのか?という謎に引き込まれ、振り返ってみると、あっという間の一冊。
    小池真理子さんの本は、例えガヤガヤしたところで読んでいても、すっと本の中の景色に溶け込めてしまって、境遇はちがうのに共感してしまうのが本当にふしぎ。
    最後に、また寄り添う2人を見れて、胸が熱くなりました。
    また何年か後に読み返したい一冊♡

  • 物語の前半は、天涯孤独な中年女性鏡子が夫を亡くした後、精神の不安定を抱え、精神科に通い、その精神科医と恋愛に至るまでの心の過程が丁寧に描かれる。読者である私までがすっかり鏡子の気持ちに同化した所でその精神科医の突然の失踪。後半は果たして彼は何者だったのかという謎解きになる。鏡子が謎を解明しようとするのに私も夢中でページをめくった。そしてその謎が解けた後再び寄り添う二人に胸が熱くなった。とても面白く1日で読破して大満足。

  •  夫に先立たれ、心身のバランスを崩した主人公・幸村鏡子(59才)と、精神科医の高橋智之(55才)との恋愛を描いた女のそして男の濃密な心理サスペンス。

     むき出しの感情のぶつけ合い――相手を想う気持のたかぶり、切なさ、やるせなさ、じれったさ、そしてそれらが生み出す生命のほとばしり――を恋愛と呼ぶならばそれは苦しくも生の実感そのものだ。
     そしてアラカン(アラウンド還暦)であっても真実の生があるということが綴られてゆく。
     あるいは三島由紀夫への一大オマージュでもあるようだ。

    (内容紹介)から抜粋
     孤独の中を生きてきた男女が辿りついた場所とは――
     幸村鏡子は、長野県軽井沢の外れにある花折町で小さな文学館の管理人兼案内人の仕事をしながら独りで暮らしている。
     夫を亡くしてから心身のバランスを崩していた鏡子は、町内の精神科クリニックで高橋智之医師の診療を受けはじめる。やがて鏡子と高橋医師は恋に落ちるが、高橋は突然姿を消してしまい......。

     なぜ生きるのか? なぜ愛するのか?
    人が他者を、自らを支えきれなくなった時代、「生と性」の意味を問い続けてきた著者が贈る、渾身の感動長編!

  • 夫に先立たれ1人になって、精神科にかかった女性は、精神科医と恋に落ちる。しかしその精神科医はエセだった、という正直なんとも言えない顛末なのですが、女性の心の動きや2人の行動の描写がとても細やかで、少ない登場人物もみな大人で落ち着いていて、とても良い話でした。

  • 夫が亡くなり孤独になった鏡子。心身の不調となり精神科を受診する。それが高橋医師との出会い。親密になってから医師が行方不明になる。そして偽医師だと気づくのだった。有り触れた話のようで実は深い。鏡子や彼の孤独感がひしひしと伝わる。思ったとおりの終わり方だが良かった。

  • 夫を亡くして抑鬱状態になった主人公が精神科を受診し、その医師と恋愛する。いつもの小池ワールドと思っていたら、精神科医が失踪してしまう。彼は誰だったのか?

  • 《図書館本》夫に先立たれた女性が抑鬱状態になり、治療してもらった精神科医と恋に落ち、信頼関係が気づけていけると思った矢先に恋人が何も言わずに失踪してしまうお話。
    サスペンスな部分も面白かったけど、主人公のように旦那さんに先立たれ、孤独の中にいたら、私も鬱になってしまうのではと身近に感じながら読んだ本でした。
    でも、2匹の猫と日々のご飯の描写を読むと、こういう静かな生活にも憧れるなぁ。もちろん、心の平穏があってこそなのですが…。

  • 還暦前の寡婦と精神医との恋、とばかりに読んでいてモンローとはなんぞや?モンローに付いた専従精神医との話が出てきたが、実はそうではなかった。まりりんが登場してから物語は一変した。
    ああ、これが小池真理子説!
    情景表現の豊かな作家さんだけに読み応えのあるページ数は然り、この顛末はハラハラさせた読者を一気に引き込んでしまう。ようやく鏡子さんが安静にしてくれたとホッと胸をなでおろしてしまいました笑

  • 文学記念館、軽井沢近郊や猫などが、人物や心理描写に凄くピッタリ合っていて、情景が浮かんでくる。それぞれの孤独や苦しみを抱えた大人の恋物語。
    【2019.08】

  • 抑鬱症状の患者の視点での精神科医との関係という少しイメージしにくい状況で少しずつストーリーが進んでいく。
    ラストの急展開でそれまでの経緯が明らかになるが、やや唐突な感じが否めず自分的にはしっくりと来なかった。

  • NHKドラマのラスト幸村鏡子の無防備感が気になったので原作を読みました。
    原作ではドラマ脚本より鏡子の高橋との再会を自制的に表現しています。
    鏡子はアラカン未亡人で決して裕福とは言えない状況で老後の沙汰も金次第ということを実感しているはずの世代です。一方、高橋は偽医者で一文無しの犯罪者です。いくら鏡子が孤独感に苛まれて将来を悲観する精神的弱者で、高橋もまた精神面に問題がないとは言えずイケメンで心を通わせる相手として信頼できそうと鏡子が感じているにしても同棲若しくは結婚はリスクが大きいと思います。軽井沢は小さな田舎町で、噂は直ぐに広まり鏡子は職を追われるでしょう。高橋が軽井沢近郊で満足な職に就ける可能性も殆どないでしょう。とすれば、原作が匂わせているように高橋の娘を鏡子の夫と同じ墓苑に埋葬して、高橋は東京で夜間警備員なりをしながら年1回娘の命日の墓参に合わせて二人が再会するという緩い関係であれば長続きするとは思います。

  • 8年前に夫を亡くし、還暦を迎えようとしている鏡子の孤独や、心身のバランスを崩し通い始めたクリニックで高橋医師(実はにせ医者)と出会い、恋に落ちる大人の女性の心理描写は繊細。
    何かがありそうな思わせ振りな雰囲気はあるものの、物語の中盤までは物静かな、それでいてやや積極的な大人の恋の物語。

    高橋が失踪してからの鏡子の行動は大胆。大人になると真実を知って傷付くよりも、知らない方がいいと思ってしまいがちだが、鏡子は高橋への恋心か傷付いても真実を知りたいと、らしくない行動を。

    心の病に苦しんでいたとはいえ、鏡子も高橋の娘美緒も、母親に愛された実感がないのはきついのでは。鏡子に子供がいない理由は体の事だとあったが、本当は心の問題で、母親に愛された実感がない自分に、子供を愛せるのかと思っていたのでは。と、少し考え過ぎ。

    愛する人の命を大切にして、ひたすら静かに暮らしたい気持ちに共感。最後のページの二人に、鏡子の望む暮らしが叶う事を感じる。と、言うか願う。

  • テレビで見て面白かったので、図書館で本を借りてきた。テレビの内容と小説と大きく変わらないということは、テレビの脚本がいかに良くできていたという事になるね。
    小説も良くできているように思える。この作家は初めて読むが、他の作品も読んで見たいと思う。

  • 誰かに話を聴いてもらえたら、誰かの話を聴いてあげられたら、それだけで人は優しくなれるはず。本当に信頼し、分かり合える相手に出逢えたら、いつまでも互いを大切に想おう。

  • 話が動き出すまでが長かったー。オチも中盤に書いてあるし。芸人は渡辺直美?だし。話自体は面白かったけど。

  • とても引き込まれた作品でした。面白かったです。鏡子さんの孤独と鬱状態の描写に自分の過去を思い出したりして序盤はひりひりしましたが、高齢の男女の恋物語かな?こういうひっそりした穏やかな生活いいな、と思い始めたところで、ミステリー?と気持ちよく翻弄されました。鏡子さんの、氷の壁の間を滑り落ちていく、という気持ちが落ちる時のイメージ、わたしも怖いと思いました。登場人物の細やかな心の動きが感じられて、タイトルもすとんと理解できました。鏡子さんのこれからもきっと幸せだ、と思わせるラストも好きです。冬の描写が素敵で、今読めて良かったなと思います。

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著者プロフィール

作家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小池真理子の作品

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