あなたが消えた夜に

  • 毎日新聞出版 (2015年5月18日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (440ページ) / ISBN・EAN: 9784620108179

感想・レビュー・書評

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  • 再読です。この物語のタイトル回収はやっぱり最高だなと思いました。登場人物の思いが爆発しているようで、心が揺さぶられます。

  • 中村さんの本は…狂ってるなー。狂ってる人しか出てこない。でもみんなどこかは狂ってる、と思いつつもこの本に出てくる人たちは狂いすぎてる。ミステリーかと思ったら狂ってる本。この人の本のなかでは読みやすい部類で、没入感もあるが、やはり最後はこうくるか。主人公の過去と交わる部分もあったらよかったとも思いつつ、ほんと養育で人はどうとでもなるのかなと思ったり。とりあえず狂ってる。でも狂ってる事が彼らにとって生きがい、もしくはそれなしには生きていけない要素なのかもしれない。

  • 図書館に予約したのがやっと来た。
    著者のあとがきでこれが16冊目の本だと書いてあった。好きで読んだつもりだったが数えてみると、まだ4冊目なので驚いた。
    「スリ」「なにもかも憂鬱な夜に」「去年の冬、きみと別れ」そしてこの「あなたが消えた夜に」。
    ただ」「教団X」は読みきらなかった。
    主人公の心理についていけなかったし、ストーリーの粘着性につかれた。

    それまで読んできたのは、異質な暗部を探るようなテーマ、それを現実に結びつける文章力があり、反面ユニークなユーモアにも興味があった。


    前置きはこれくらいで、この作品について。

    書き出しの部分は、中村さんらしい表現で、現実と乖離した過去の幻想と夢を今でも引きずっているらしい男、これは面白そうだと楽しみだった。

    一転、通り魔の連続殺人が起き、それを捜査する警察官の話になる。目撃者の証言は「コートの男」。これが犯人だろうか。
    連続殺人なので被害者も多くそれぞれ何かしら陰のある過去があり、性的な繋がりがある。

    似たような名前の女が出てきて整理しながら読まないと少し混乱する。そこで読者のためにうまく登場人物と事件のメモがある。
    新聞小説なので、このあたりで整理するのは読者に親切だ。

    連続殺人の様であり、模倣犯らしい事件もあり、事件同士繋がりがあるようなないような、話の進展は整理できない段階に入り、捜査中の二人は、地元警察官のため地どりに回されて地道に歩き回り、それぞれの被害者の過去に迫っていく。

    この二人の会話が、事件の重さと対照的に軽くユーモラスで気が利いている。

    中村さんに珍しい警察物だが、このミステリも納得が出来る。
    犯人の動機や、そんな方法を選んだ人間の暗い現実が独特の世界を感じさせる。

    こういう心の部分に興味がある読者には面白い作品になっている。
    だが、連載小説のためか、密度にむらがあり傑作だとは思えなかった。

    登場人物のそれぞれの背景は書きこまれているが、生活の分野としてはそんなに多岐にわたるものではない。だとしたらもう少し整理できないだろうか。

    警察機構にも少し触れてるが、溢れている警察小説に比べて、それが重要な部分でないにしても味が薄い。

    最終的な印象では少し詰め込みすぎて、逆に読後感の重厚さにかける感じがした。

    特殊な環境で隔離されたような生活観が、煎じ詰めれば人間の持つ心理の一部として共感を持ち、重い作品はそれなりに重く、軽妙なリズムもこなす作家なので、この作品はそのどちらともいえない未整理な部分を感じた。

    ただ、小理屈をはかなければ、エンタメ小説としては読んでよかった、味わい深い部分ではお得感もありさすがだと思わせてくれた。


    「あの人のこと、私尊敬してるんです」
    「何で独身なんだろう、モテそうなのに」
    「モテるからですよ」
    小橋さんはそう言い不適に笑う。



    「フロイトが言ってることだけど」
    「”錯誤”は人間の単純な過ちではない可能性があるって。その無意識による行為かもしれないって」


    ア痛! 面白いフロイトさんをまた読んでみようかな。

  • ”コートの男”による連続通り魔事件が起こり、死傷者が増えていく。
    所轄の刑事、中島と捜査一課の小橋さんが組んで事件の謎に迫るが、警察という組織のしがらみに翻弄されたり、増える模倣犯に惑わされる。
    ”コートの男”は実在しなくて、一人の主婦を守る嘘だった。そして、その嘘に乗っかるようにして別の男も違う女のために殺人を繰り返していた。
    犯人は一人じゃないし、動機も奥が深い。

    --------------------------------------

    売春をネタに強請られていた主婦、横川だけが犯人じゃない!とわかったときはすごくワクワクしたけど、吉高のほうは手記で、しかもそれが燃えちゃってるってのがちょっと不満だったかな。中島さんと小橋さんに謎解きしてほしかった。小橋さん、とてもいいキャラだったし。100ページくらい使って説明された吉高の思想も、燃えちゃったから科原さゆりにも中島さん小橋さんにも結局伝わらなかったってことだよね。うーん、終わり方にちょっとだけ不満かな。

    手記のなかでおかしくなっていく吉高が、神様おれを見てないのかって何度もいっているあたりで、バンプオブチキンの『エバーラスティングライ』の歌詞を思い出した。神様も人間一人ひとりを見ているとしたら大忙しだろうな。

  • 中村文則の世界観がにじみ出る作品で、そのことがわからないと意味のわからない作品として終わってしまうかもだが、その世界観を知っていれば楽しく深く読み進めることができる1冊。

  • 図書館。あまり良くなかった。警察物を読み慣れてないだけかもしれないけれど、長い長い手記を残すというところに現実味がない。手記で語らせるところ、また作者本人の思想を登場人物に突然語らせるところ、この作者の癖だなあと思ってしまった。

  • 3.6第3部からは、一気読み。ネタばれになるから書きませんが、ようは事件はそこにいた者にしか真実はわからない。と言う話。謎が解けるような伏線が弱いかな。

  • 純文学畑のミステリはさすがに読み応えがある。
    単なる謎解きではなく、人の感情の機微にミステリを隠している。

  • 中村文則初読。
    帯に惹かれて読んだが、内容は自分が思っていたのとは違い、切ないテイスト。
    連続通り魔事件が発生した町。犯人はコートの男。謎めいた事件を追う所轄の刑事中島と、捜査一課の女刑事小橋。関係ないが、初めは二人の会話になんとなくイライラさせられた。まあ、そんな二人も過去に傷を負っていて・・・。
    ここからはネタバレ。
    結局コートの男は存在しなかった。最初に起きた事件の被害者は、ある女性を脅していた男で、その男を女性が刺し殺し、彼女を守ろうと画策した男性3人ででっち上げた犯人像が『コートの男』。そこから模倣犯が生まれたりして、捜査は困難を極めるが、いよいよ2人は犯人に近づいていく。
    で、感心したのが構成。第1部と第2部が刑事側からの視点となり、犯人に迫っていくのに対して、第3部が犯人側からの視点となっているため、刑事が事件を解き明かすのに対し、犯人からの主張とかも読み取れるので、第3部があることによって、納得できる部分が多い。
    人間の逃れられない過去や悲しい内容っだたに関わらず、読後はすっきりとさせてくれる。

  • やっと読んだ、、疲れた
    後半は惰性で読んだ、疲れた
    前半のおっ、刑事物か って期待を後半大きく崩されてあー中村文則っぽくなっていくついていけん、、
    みたいな、、、疲れた とりあえず読んだ

  • 良くも悪くも展開は予想できませんでした。

  • 創作的狂気に何のリアリティも感じない。

  • ある町で突如発生した連続通り魔殺人事件。所轄の刑事・中島と捜査一課の女刑事・小橋は“コートの男”を追う。しかし事件は、さらなる悲劇の序章に過ぎなかった。“コートの男”とは何者か。誰が、何のために人を殺すのか。翻弄される男女の運命。神にも愛にも見捨てられた人間を、人は救うことができるのか。人間存在を揺るがす驚愕のミステリー!

  • 中村さんらしい作品だった。
    真田、米原は怖い人やった。

  • ある町で突如発生した連続通り魔殺人事件。所轄の刑事・中島と捜査一課の女刑事・小橋は“コートの男”を追う。しかし事件は、さらなる悲劇の序章に過ぎなかった。“コートの男”とは何者か。誰が、何のために人を殺すのか。翻弄される男女の運命。神にも愛にも見捨てられた人間を、人は救うことができるのか。


    なんて評したらいいのか正直分からない。
    バランスが悪いのかもしれない。
    かといって面白くなかった訳でもない。

    重苦しくなっていく話の展開の中で、
    刑事の中島と小橋のやり取りが和みの要素の一つ。

  • 最初は、ただ「フードの男」が起こした殺人事件を解決していくだけかと思ったら、それは虚像でしかなく、多数の人間の思惑が混じり合っていたとは。

    個人的にはとても読み応えがあった。

  • 一方の集団は損得野郎。プラグマティックに、冷徹に、システムへ媚びへつらう利己野郎。とすればもう一方はイノセント、正義、損得を顧みず利他的であるはず。
    この作品は定石であるはずのこの構図を完全に否定する。驚いた。
    登場人物はことごとくどこかしら壊れている。まるで壊れていることが人間としての最低条件かのようだ。
    正義を貫くためには精神が壊れていくのはわかる。しかしそうではなく、精神があらかじめ損なわれて傷ついていないと正義は成しえないという前提にまで持っていく。
    あくまでも虚構としてのカリカチュアであるが、果たして現実とどれだけ乖離しているかを考えると空恐ろしくなる。
    愛や正義や自由や平等をうたっていくには壊れるしかない、もしくはすでに壊れているのかもしれない。
    女刑事に救いと曖昧さを残すべきだったのではないか。魅力的な不思議ちゃんとして、どうみても、どこかおかしいのだが、過去は明らかにせずにすべきではなかったか。
    そうすればこの女刑事は「神」を纏うことができたかもしれない。救いを担えたかもしれない。パフェ好きの神なんて今時じゃないか。

  • 武蔵野大学図書館OPACへ ⇒ https://opac.musashino-u.ac.jp/detail?bbid=1000153703

  • 人物の相関関係がわかりにくいと聞いていたのでメモを取りながら読み進めました。だからわりとわかりやすくストーリーについていったと思います。3章以降は押し流されるように事件の一面を引きずられました。もともと警察小説やミステリを書かれる方ではありませんから体裁はそうであっても中身はやはり著者らしく人間というものの歪んだ部分や本心に迫っていたと思います。精神的なことに関わってくると本当に重く読んでいてかなりつらかったので、警察側のコンビがいい味を出していて救われました。過去のある彼らのその後も気になるところです。

  • 天然で正直者だが、憎めない女刑事と、頭の回転が速いが女刑事に振り回されるコンビのやりとりが非常に面白かった。中盤以降は犯人メインで、真相よりも、2人のやりとりを見ていたいと思うほど魅力的だった。
    複数の事件が絡み合いすぎて、人物像が把握できず、理解が追いつかなかった。
    どんでん返しがあると思いきや、精神異常者。んー、

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著者プロフィール

一九七七年愛知県生まれ。福島大学卒。二〇〇二年『銃』で新潮新人賞を受賞しデビュー。〇四年『遮光』で野間文芸新人賞、〇五年『土の中の子供』で芥川賞、一〇年『掏ス摸リ』で大江健三郎賞受賞など。作品は各国で翻訳され、一四年に米文学賞デイビッド・グディス賞を受賞。他の著書に『去年の冬、きみと別れ』『教団X』などがある。

「2022年 『逃亡者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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