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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784620108223
感想・レビュー・書評
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読み終わった後、東京會舘で働く方々におもてなしを受けたような気持ちになった。真鍮の柱を毎日欠かさず磨き続ける方々に。
新館のエピソードは、自分が生きてきた時代のものなので身近に思える。
家に帰れない、家族と連絡がとれない。そんな震災時な東京會舘のスタッフの神対応。東日本大震災の時、帰宅できなかった妻を次の日迎えに行った思い出が去来する。
何より心に残ったのは、「直木賞の時に帰ってきます!」父との確執、反骨心が直木賞に繋がる。しかし、その背後には両親の応援と愛がある。反抗期に父とぶつかった私も父と同じ年齢になって父の思いがわかりかけてきた。反発と尊敬、両方が混在していた青春期。この話はグッときた。
東京會舘にまつわるエピソード。
東京會舘は二度の建て直しの歴史を超えて、生き生きと息づいている。命をさらに吹き込んだ辻村深月さんの熱い思い。それが伝わる物語だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『辻村深月さんコンプリート大作戦#5』残り4作品です
東京會舘という場所と人の物語
直木賞・芥川賞の授賞式に使われていた場所なんですね(現在は帝国ホテル)
全然知らなかった
直木賞といえば長い間ひまわりめろんさんとは相性の悪い賞として知られてきました(知らんわ)
もちろん芥川賞作品に至ってはもう「うへ〜」だ
純文学「うへ〜」派の急先鋒と言ってもいい
だいたい純文学って何よ!って思うのさ
「一般的に純粋な芸術性を目的とする文学」とされています
だそうです
ちーっともわからん
対義語として「大衆文学」(こっちが直木賞)があるらしい
うーんでもさでもさ「坊っちゃん」とか「雪国」って大衆に向けて書かれたもの違うのかな?違うのかな〜?(なぜ2回言う)
なんていうんかな
純文学とされている作品群がだめなんじゃなくて
純文学って言葉がなんか嫌なんよな〜
ってか違うよな〜って思っちゃうんです
小説ってさ
ちょっとくらい濁ってないと面白くないじゃん(たぶんそういう意味の「純」じゃない)-
2023/05/28
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うんうん、それらもいいけど、わいの一番は草太兄ちゃんのカセットやなぁ…
。゚(゚´Д`゚)゚。うんうん、それらもいいけど、わいの一番は草太兄ちゃんのカセットやなぁ…
。゚(゚´Д`゚)゚。2023/05/28 -
2023/05/29
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『東京會館』と聞いて私が思い出すのは、クッキーだ。私がクッキー好きなので、昔、出張のお土産によく東京會館クッキーを買ってきてくれた女性がいた。『この一袋じゃ、すぐになくなっちゃうね。』と言われ、全くその通りなので、どのように答えていいか迷ったものだ。
私自身は、パレスホテル、帝国ホテルで宿泊したことはあっても『東京會館』には、行ったことがなく、このクッキーで初めて『東京會館』を知った。なので、私には『東京會館』と言えば、お土産のクッキーであるが、馴染みのある方には沢山の想い出があるのであろう。本作を読み終え、『東京會館』がますます素敵な場所に思え、そんな所に沢山の想い出がある方が羨ましいと思った。
さて、本作、下巻は昭和後半から平成の建て替えまでの東京會館と人々の歴史が語られている。
第六章 金環のお祝い
昭和51年(1976年)1月18日:
夫を亡くしてから引きこもりがちであった茂木芽衣子が、お茶の先生が『東京會館』で開く新年のお祝いの会に参加する。金環式の日に久しぶりに訪れた『東京會館』で過去の夫との会話、想い出を巡らせる。
建て替え前の『東京會館』の想い出は、夫との想い出。建て替えによりそれが想い出で終わってしまうのではなく、新しくなった『東京會館』で、さらにその過去が色濃くなる。変わらぬサービスと新館に残された旧館の歴史によって、芽衣子の『東京會館』の記憶に新たに新館の記憶が加わり、旧と新を繋ぐ線が見えた気がした。
第七章 星と虎の夕べ
昭和52年(1977年)12月24日:
毎年恒例の越路吹雪のクリスマスディナーショー。人見知りな性格の志塚徹平が、営業事務所に移動になり、初めてのこのショーで、越路吹雪とマネージャーの岩谷時子に出会う。
芸能人は、舞台慣れしてる。それまでは、そう信じていた。越路吹雪さんは宝塚歌劇団卒業後に芸能界入りしているので、なぜ、そんなに緊張するのか不思議に感じる。が、しかし舞台が始まった時の度胸とのギャップに、さすが芸能人だと、そしてだからこそこの方は一流で、人気があったのだろうと思わずにはいられない。越路吹雪というスターの凄さを感じた。
だから越路さんのショーのお世話をすることになった志塚も私と同じことを感じたに違いない。
そして、志塚の上司・原田は、ホテルマンとしての対応は、志塚の教育なのだろう。『東京會館』のおもてなしの高さは、代々の先輩ホテルマンから後輩につながっていくのだと思えた。
第八章 あの日の一夜に寄せて
平成23年(2011年)3月11日:
婚約中に夫・三科敏美から「東京會館のクッキングスクールに通ってくれないか?」と言われて通い出した妻・文佳。東日本大震災で、東京會館で一夜を過ごした文佳が、クッキングスクールに通学していた頃を回想する。
この章で一番納得したのは、現在クッキングスクールに通う敏美の師である梅崎先生の言葉である。「自宅で料理する限りは、絶対に奥さんに迷惑をかけないこと。その覚悟がなければ、作った料理がどれだけ美味しくても、2度目からは嫌な顔をされますよ」。その言葉の具体的な梅崎流行動指針を知った時、納得し、その教えを実践した敏美に微笑んだしまった。
第九章 煉瓦の壁を背に
平成24年(2012年)7月17日:
5回目の選考にてようやく直木賞受賞となった作家・小椋真護。小椋の作家志願を反対する家族との決別。直木賞受賞を目指した道のりは遠く厳しいものであった。
直木賞受賞の記者会見で、受賞作家の背後を飾る煉瓦の壁。シルバールームのこの壁が歴代受賞作家を背景となる。
十代の小椋青年のモチベーションは、東京會館で両親と食事をした昔に見たその部屋にいる自分の姿を重ね続けたからである。きっと、そうだと思う。
受賞後の東京會館の渡邉から明かされた言葉によって、この先、小椋と両親との壁が低くなって、行き交うことができるようになることを願う。もっと遠くの未来にそのことを後悔しないように。
それにしても東京會館の「お帰りなさい」は想い出を持って會館を訪れる人には殺し文句だ。
第十章 また会う春まで
平成27年(2015年)1月31日:
上巻の第三章で登場した関谷静子の孫・中野優里の東京會館の新館の最後の日、1月31日の結婚式。この後、2019年まで建て替えのために休館となる。
太平洋戦争、第二次世界大戦、関東大震災、東日本大震災…その歴史は、平穏な歴史ではなかった。それでもその歴史に流されて時を重ねてきたのではなく、『東京會館』で働く人たちの心と建物が一つとなって『東京會館』の歴史を綴ってきたように感じる作品であった。
今はコロナ禍で東京には行けないが、落ち着いたら、『ツバキ文具店』の舞台である鎌倉と『東京會館』に行きたい。
そして、こんな風に想い出を作ることができる場所を見つけたいと思える作品であった。 -
東京會舘が見詰めてきた人々の物語、下巻。
第六章は亡くなった夫との想い出の場所、東京會舘にやって来た老婦人の話。
新館に建て替えられて夫との想い出はどこにもないかもと思っていたが、意外にもあちこちに旧館の面影が残されていた。(昭和五十一年)
第七章は裏方からイベントやショーなどを担当する営業事務所部門に配置替えされたホテルボーイの話。
仕事が丁寧なかわりに遅く人見知りな彼が部門の副支配人にまで昇格出来たきっかけは、あの大スターの意外な姿を見たからだった。(昭和五十二年)
第八章は東日本大震災で帰れない夜、東京會舘で避難している女性の話。
不安な夜に思い出すのは、料理を習うために東京會舘に通った青春と言える日々のこと。(平成二十三年)
第九章は四度目の候補でついに直木賞を受賞した男性作家の話。
娯楽小説や作家を見下す両親と縁を切り、ひたすら小説を書いてきた彼が思い出すのは東京會舘で両親と食事をしたものの喧嘩をした苦い時間だった。(平成二十四年)
第十章は二度目の建て替えを前に結婚式を挙げる女性とその曾祖母の話。(平成二十七年)
新館に建て替えられて以後の下巻も上巻と同じく、晴れやかな物語が続く。
震災の日の話など、恐怖と不安の中で東京會舘の社員たちが懸命に避難者たちを励ましもてなす話にしても良いのだが、敢えて過去の青春時代を振り返る話にしている。しかしそのことが結末でいかに主人公とその夫が緊張と不安の一夜を過ごしたかに繋がる辺り、上手いなと思う。
東京會舘の長い歴史だけに、上巻で出てきた人が大きく成長していたり、更にその下の世代に繋がっていたりという話もある。チラッと出てきたあのシーンがここに繋がるかというのも楽しい。
芥川賞・直木賞をはじめとする数々の文学賞受賞の舞台になっていたのを初めて知った。
受賞者にとっては晴れやかな舞台だが、何度も受賞を逃した作家にとっては、角田光代さんのように『東京會舘って本当にあるのか』と言いたいほど遠い場所なのだろう。
上下巻を通して素晴らしいプロフェッショナルたちが沢山出てくる。裏方に徹し、客が気持ち良く晴れやかな気分で過ごせるように目配り気配りをしている。
三世代、四世代にも渡って長く愛される東京會舘の魅力はその建物の佇まいだけではないことが分かる。 -
下巻読了。
この巻は昭和51年から平成27年までの新館(2019年に再建て替えの前までの建物)を舞台にした第六章から第十章までの、五篇の物語が収録されております。
昭和五十一年。亡くなった夫と旧館での思い出を胸に、「金婚式」を1人で祝う老婦人を描いた第六章「金環のお祝い」
昭和五十二年。シャンソン歌手・越路吹雪さんのディナーショーの裏側と新人従業員とのエピソードが微笑ましい第七章「星と虎の夕べ」
平成二十三年。東日本大震災の当日。不安な夜を〈東京會舘〉で過ごす事になった女性と、クッキングスクールの思い出を描いた第八章「あの日の一夜に寄せて」
平成二十四年。上巻のプロローグに登場した作家・小椋真護の両親との確執と、直木賞受賞までの物語・・第九章「煉瓦の壁を背に」
平成二十七年。二度目の建て替え前の〈東京會舘〉“最後の日”の結婚式の様子を描く第十章「また会う春まで」
上巻よりも歴史的な説明が減ったおかげか、各章一つ一つのエピソードの“人間ドラマ度”が濃くなった印象を受けます。
どの話も心に染み入るものがありますし、何といっても登場する〈東京會舘〉のスタッフの方々が本当、神対応なんですよね。
勿論フィクションではあるのですが、巻末の「謝辞」を読むと実話のエピソードもベースになっているようですし(多分)、第八章の(東日本大震災当夜の話)冒頭のお手紙も実際に〈東京會舘〉に宛てたお手紙が元になっているとの事でしたので、その辺も素敵だなぁと思いました。
そして、個人的憶測ですが、辻村さんがこの話を描く為に〈東京會舘〉を題材にしたのでは?と思わせるのが第九章。
この作家の小椋さんて、辻村さんがモデルでしょ?と思っちゃいますよね~(まぁ、ご両親との確執部分はわかりませんが)。
直木賞の受賞連絡を待っている様子とかもリアルでしたし、万年筆のエピソードは上巻のプロローグと繋がって、胸にグッときました。
そして、第十章の、最後の結婚式の話も、上巻に登場した女性との繋がりには心温まるものがありました。
ということで、〈東京會舘〉という建物を愛する人達の物語を堪能させて頂きました。
因みに〈東京會舘〉は2019年(平成三十一年&令和元年)に二度目の建て替えをしたので、現在あるのは“新・新館”といったところでしょうか。
この作品を読んで、今度東京に行ったら〈東京會舘〉を是非訪れてみたいなぁと思いました。
勿論、お土産のクッキーも買わなきゃですね~。 -
東京會舘を中心に激動の時代と。
そこに携わる人達を描いた物語の後編。
新館は昭和後期から平成後期。
平成は東日本大震災の出来事も綴られているので、より物語の入り込む事が出来ました。
そこにある人間模様。そして最終章はあの家族が。
総じて心温まる作品でした。 -
2017年3月に読んだお話。
東京會舘の歴史を連作短編の形で綴って
いる。そこには様々な人々が登場する。
下巻では、建て替えられ新館になった。
それぞれの話に、温もりを感じることができました。
私もいつか行ってみたいと、思わずには
いられないお話でした。-
2021/04/29
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ゆうママさん、こんばんは。
前にコメントへのお返事をした時に、いっぱい書いたのに初めの2行しか表示されていなくてヘンだなあと思って事務局に...ゆうママさん、こんばんは。
前にコメントへのお返事をした時に、いっぱい書いたのに初めの2行しか表示されていなくてヘンだなあと思って事務局に質問してみたら、わたしが絵文字を使ったために、そこから先が表示されなかったことが判明、たいへん失礼しました。こんな初歩的なこともわからないアナログ人間で、たぶんゆうママさんよりだいぶ年上です。このGWは辻村深月さんを読了。すごく良かったです!辻村さんはこの『東京會舘』とエッセイ幾つかしか読んでいないので、これからゆうママさんのレビューを参考にどんどん読んでいきたいと思います。こんな私ですが今後ともどうぞよろしく。2021/05/06
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新館(下巻)は昭和末期から平成末期の今の建物に改築される前までの物語。ここには東日本大震災当時にまつわる章もあります。
私個人も東京で暮らしていた(現他県民)時代であり、物語に重ねて思わず追憶にふけってしまいました。
どの章でも、つい、いちいち、もらい泣きをしてしまいそうになる。
人間の匂いが漂うというか、たくみな言葉を使っているわけではないのに人の輪郭が濃いというか。感情移入とも違って。目の前で人物たちが生きているのが見えるんですよね。不思議。
上巻はカクテルやデザートの描写が多かったですが、下巻ではメインディッシュなど食事について多く触れていました。実に美味しそう。
大都会の真ん中にある深い杜とお濠端の景色を眺めながらお茶をしたり食事したり。クッキングスクールも通ってみたかったな。今となっては、もっとよく堪能しておけばよかったと悔やむばかり。
すぐ近くにいたり、いつでも出来ると思っていると、なかなかしないものなのよね。 -
上下巻共に読み終わり思うのは、東京に行くときには、東京會舘に行ってみたいということ。
下巻は自分自身が生きている時代だから、上巻よりずっと身近に感じられた。
どの章も心にツーンとくるストーリー。一人で頑張っている、確かにそうなんだけれど、でも、やはりその背後には色んな人が関わっている。だから、そのコントラストになお心動かされる。
特に共感した言葉。
「好きな本をバカにされ、 禁じられたからこそ、 しがみつき、反骨精神 でここまでやって来られたのは事実だ。(中略)何かを成し遂げる時には強大な敵が必要で、自分にとっての敵は、間違いなく この両親だった。」 -
──歴史や伝統は確かに抽象的だが、きちんと目に見える。
──それは、スタッフの在り方だ。彼らの所作を通じ、この場所に受け継がれてきたものがちゃんと見える。
変わらずにはいられない、しかし受け継がれていく。というお話。
東京會舘の長い歴史を、時代時代で通り過ぎていく人々のお話を横糸に、受け継がれていく伝統を縦糸にした、一本筋の通った物語でした。
長い時間を紡いで、登場人物たちが順に交代していく物語、好きです。そういうお話で過去の話で語られた人々が後の話に出てくるの、すごく好きです。その集大成のような最終話。様々な人生の断片が込められた建物と、それが壊されてまた新しくなって、また歴史が続いていく。
これで辻村深月四作目、ハケンアニメ、ツナグ、鏡の孤城それぞれ良かったけど、この作品はさらに良かったな…。
下巻は旧館から新館への建て替え後、二度目の建て替えをする直前までのお話。サブタイトルが「新館」なのはまさにそのままだ。
昭和51年、亡き夫との旧館の思い出を胸に、二人で迎えられなかった金婚式のお祝いにと、新館のレストランでひとり食事をする女性の話。『金環のお祝い』
昭和52年、超人気のシャンソン歌手、越路吹雪(実在!)のディナーショーを担当することになった営業員志塚の話。「決して、お客様やサービスの仕事に"慣れる"ことはやめよう」と言う心がけで何十年も仕事するという誠実さ。『星と虎の夕べ』
平成23年3月11日、震災の日に會舘に身を寄せた女性が、若い頃に通った會舘のクッキングスクールの思い出を振り返る話。『あの日の一夜に寄せて』
平成24年、直木賞作家となった男性が、會舘での贈呈式に臨んで過去を振り返る話。『煉瓦の壁を背に』。平成24年の直木賞作家というと…辻村深月さんですね。
平成27年、新館最後の営業日に結婚式をする新婦と、東京會舘を舞台に小説を書こうとしている作家と、旧館で(上巻で)結婚式をした女性の話。『また会う春まで』 -
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どの章のお話も良いお話ばかりで...凄くハマりました!
行ったこともないのに旧館も新館も目に浮かぶよーで、どっぷりお話に引き込まれました。
再読したいお話です。 -
東京會舘とわたし 下巻 新館。
2016.07発行。字の大きさは…字が小さくて読めない大きさ。
皆様のレビューを見て、辻村深月さんの本を読むのを楽しみにしているのだが、今回の本も字が小さくて読めず。単行本。なお、文庫本も字が小さく読む事が出来ない。
残念、返却する。
2019.11.10
妻に話したら、近くを通ったら気になって東京會舘へ入ったと言う。
どうしても読みたくなった。
上巻だけ借りてきて時間をかけて少しづつ読んで行く。 -
東京會舘とは何だろう?どうしてこんなにたくさんの人に愛され、その想いは繋がっていくのだろう。
私は直木賞候補者ではないが、だんだん「東京會舘って本当にあるのか」という気がしてきた。それくらい美しくてどこか儚い幻のような物語ばかりだった。
1番好きな話は「金環のお祝い」。今日はふたりの金婚式。久しぶり訪れた東京會舘で、亡くなったご主人との思い出を振り返る芽衣子。東京會舘のおもてなしが芽衣子に奇跡を起こす…。
私は銀婚式もまだだけど、この夫婦のように素敵な金婚式を迎えたいと思った。歳を取ってもいつまでも相手を思い合える、美しい物を美しいと、美味しい物を美味しいねと笑い合える夫婦でありたい。
1番泣いたのは「煉瓦の壁を背に」。こんな両親絶対嫌だけど、やっぱり親の愛には弱いんだよね。私も親だからわかるところもある。
越路吹雪さんを知らなくて、検索したら「ろくでなし」という歌だけ知っていて面白かった。楽しそうに歌う人だなって思うけどその裏ではたくさんの努力があったのだろうな。 -
スタッフの心づかいがしみる。
こんなにも人を大切にできるなんて。
どの話も素敵なのだけど「金環のお祝い」が一番好き。
短篇が時系列になっていて上巻が旧館、下巻は新館(東京會舘を建て替え後)で過去から現代に続く流れになっている。ところどころでつながりがある。 -
東京會舘とわたし
正にタイトルそのままの、東京會舘に特別な想いのある登場人物たちと共に描かれている「東京會舘」。その「東京會舘」という1つの歴史が、登場人物たちの、色んな思いで繋がれている、読んでいて1つの歴史を体験できた、とても素敵で素晴らしい作品でした!
連作短編集のようですが、上巻から通して1つの作品で、それぞれの章で登場する人物が、その後の章でも登場し、繋がっていて、歴史を深く感じます。
コロナが終息し、東京を訪れる事があれば、「東京會舘」に是非立ち寄ってみたいと思いました。
今でも受け継がれている、ガトークッキー、マロンシャンテリーを、この作品を思い出しながら、東京會舘の歴史と共に味わいたいなって思います。 -
上下巻をほぼ一気に読んだ。90年の歴史には訪れた人の悲喜交々がある。今年東京會舘は100周年を迎える。その歴史をこのタイミングで知ることができてよかった。コロナ禍が終息したら上京して必ず東京會舘を訪れたい。そう思わせる小説だった。
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真のホスピタリティとは何か...。東京會舘にかかわる人々の思いを紡いだ下巻は、冒頭から打ちのめされる。このやり口はズルいぞ! 泣いてまうやん!
越路吹雪さんのエピソードも素敵だ。「そうやって緊張できるのも、才能のうちなんですよ」
第9章で若干黒黒となるも、結びがよく穏やかに本書を閉じる。 -
上巻よりもこの下巻の方が楽しかった。
特に9章は著者の辻村深月さん自身の体験も描かれているのかな?面白かった。
9章に出てくる両親が、辻村深月作品「傲慢と善良」に通じる善良さ、傲慢さを感じさせてそれもまた面白かった。
今まで知らなかった東京會舘。
読み終わって思わずどんなところか調べてみるくらいで、素敵な所なんだろうな、いつか行ってみたいなぁ。
東京會舘だけではなく、こういう歴史ある建物は日本にまだあるのだろうけど、なかなか知る機会がないからこうやって読書などで思わず勉強になることはありがたいことなのかも。
少し物足りない気もしたけど、じんわりと温かく、ふんわりとした気持ちになれる読書でした。 -
昭和から平成にかけての東京會舘をめぐる物語。上巻と関連する内容もあり、登場人物に対する著者の眼差しが温かい。この下巻で印象深かったのは、越路吹雪と間近で接した従業員志塚のエピソードだ。裏方から営業の仕事に移った彼が、適性がないと思いながらも、与えられた仕事と真摯に向き合って、キャリアを重ねていく。そのほかにも、仕事に取り組む姿勢に心が揺さぶれれる場面がたくさんある。上巻のプロローグが、この下巻の最終章につながって、読後感も爽やかだ。東京會舘に行きたくなった。着ていく服を選ぶ必要があるけれど。
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