満月の泥枕

著者 :
  • 毎日新聞出版
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感想 : 106
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  • Amazon.co.jp ・本 (440ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620108308

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりの道尾秀介作品。結構複雑な謎でした。

    P434
    「あんな、おいちゃん」
    初めて、汐子が顔を見て上げてこちらを見た。
    「幸せになってもええねんで」
    両目に夜を映しながら、真っ直ぐに二美男を見ていた。
    「毎日楽しくしててもええねんで。変わらへんもんは変わらへんねん。自分が苦労したかて、そんなんおんなしやろ。何も変わらへんやろ。そしたら、楽しいほうがええやん。まわりも楽しくなるやん」

  • とにかく洞窟のシーン長過ぎっ!
    映像ならともかく、文字では辛いものがある。

    登場人物それぞれが次々に起こす勘違いからくる
    ドミノ倒しのような謎解き
    まぁ、軽く読むにはいい作品なのかもだけど
    あまりに現実味がなさ過ぎて……。

  • ちょっと暗めの話かな~、なんて期待!?してたら、ど直球のエンタメ小説でした!ww

    長編2冊分の楽しみをギュギュっと1冊に、というのは読んだ後にわかったよ~~w

    人が絡んで、絡んで、人情あり、ドタバタありの大騒ぎでずーっと飽きずに読ませるのはさすが。

    とはいえ、すべては最後の最後の汐子の言葉にー。

    本当に大切なものは、自分が思っているよりも、ずっとずっと近くに存在してるんだよ、ってゆお話・・・ちゃうか!w

  • *哀しき人、公園の池に沈めたのは…。娘を失った男、母に捨てられた少女。ろくでもない生活の終わりは、いつくる?生の悲哀、人の優しさが沁みわたる、人情ミステリーの傑作! *

    下町風情の人々との関わり、あたたかな描写、せつない事情。ややドタバタを盛り過ぎなのと、途中の中だるみ感を除けば、さくさく面白く読めます。ラスト近くの、娘を死なせてしまった自分は罰を受け続けるしかない、幸せな日なんてあってはいけない…のくだりには泣けた。

  • 子どもを失ったおじさんに引き取られた汐子。自分の子どもの代わりじゃないけれど、汐子がいたから毎日の生活が遅れたのかも。
    しかし、こんなにも飲んだくれてたらあかんわ。
    アパートの住民の協力があってこそだね。
    問題解決できたら、それが自信となって生活改善にもつながるか。

  • 最後泣きそう
    伊坂幸太郎風

  • いつもと違いあまり入り込めず、読むのに割と時間がかかってしまいました。
    暗がりや暗闇が多いから見えてこないのでしょうか?
    それとも、それまで読んだ設定を何度か崩さないといけない場面があるからでしょうか?
    思わせといてそうじゃないの連続でしたしたが、とりあえず読み終わりました。

  • 訳ありの登場人物たちが引き起こす、スラップステッィクコメディ的なミステリ。ただしミステリとしてはけっこう複雑で、読んでいる最中にどんどんストーリーが覆されていくので。いったいどこへたどり着くのか、まったく予想ができませんでした。ドタバタ喜劇に乗せられて進んでいるうちに気づけばゴール、という印象です。まさしくあのトロッコのよう!
    ただし、読み心地はそんな感じだけれど。登場人物たちの抱える問題はそれなりに重くて。だからこそ、じんわりとした感動もやってきます。いろいろ物騒に見える事件が起きても、終始誰も殺されたりはしない展開もいいのかも。優しく温かい一冊でした。

  • 事故で娘を亡くし、妻も仕事も全てを失った男。
    義姉から姪っ子を引き取り、2人暮らしとなっても、自暴自棄な生活をしている。

    そこに起きた、殺人事件???
    姪っ子の同級生の言葉にまんまと踊らされ、祭にかこつけて、ある計画を断行する。
    同じアパートの人々も巻き込んでのドタバタ群像劇。


    池に沈んでいた頭蓋骨。
    小学生の男の子からの依頼。
    なかなかに重いお話かなと思ったら、所々、声に出して笑ってしまうところもあって、ミステリーというか、人情喜劇の要素が強いかなと思いました。

    あと、汐子といい猛流といい、子供達がすごく賢くて、機転が利いて、大人の心に刺さる言葉を突いてくる。
    こういう事をこの子達の年代にわかってあげれてたらな…と思ってしまう。

  • +++
    生の悲哀、人の優しさが沁みわたる、人情ミステリーの傑作。

    娘を失った二美男と母親に捨てられた汐子は、貧乏アパートでその日暮らしの生活を送る。このアパートの住人は、訳アリ人間ばかりだ。
    二美男はある人物から、公園の池に沈む死体を探してほしいと頼まれる。大金に目がくらみ無謀な企てを実行するが、実際、池からとんでもないものが見つかった!
    その結果、二美男たちは、不可解な事件に巻き込まれていくことになる……。
    +++

    自分の不注意から最愛の娘を死なせてしまった凸貝二美男は、さまざまな事情を抱えた住人たちの棲むアパートで自堕落な暮らしをしていたが、行く場所を失くした姪の汐子を引き取ることになり、いまは二人で暮らしている。ある日、泥酔して公園で伸びていた二美男は、二人の男が池の端で何かを言い合い、何かが落ちたような大きな水音を聞いた。それがそもそもの物語のはじまりだったのである。そのことにかかわりがありそうな出来事が、あちこちから二美男のもとにやって来て、彼は否応なくその流れに巻き込まれていく。汐子に関わる問題や、剣道場の人間関係にまつわるあれこれや、大切な人を失った哀しみや虚しさなどなど、さまざまな問題要素を織り込みながら、流れはどんどん速くなり、巻き込まれ方も激しくなっていく。だらしないだけだと思っていた二美男にも、複雑な思いが胸の底にあることも判り、周りの人たちとの関係に和まされることもある。生きるって大変だけどいいこともあるんだと思わされる一冊でもある。

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著者プロフィール

1975年生まれ。2004年『背の眼』で「ホラーサスペンス大賞特別賞」を受賞し、作家デビュー。同年刊行の『向日葵の咲かない夏』が100万部超えのベストセラーとなる。07年『シャドウ』で「本格ミステリー大賞」、09年『カラスの親指』で「日本推理作家協会賞」、10年『龍神の雨』で「大藪春彦賞」、同年『光媒の花』で「山本周五郎賞」を受賞する。11年『月と蟹』が、史上初の5連続候補を経ての「直木賞」を受賞した。その他著書に、『鬼の跫音』『球体の蛇』『スタフ』『サーモン・キャッチャー the Novel』『満月の泥枕』『風神の手』『N』『カエルの小指』『いけない』『きこえる』等がある。

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