おもかげ

著者 :
  • 毎日新聞出版
3.83
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本棚登録 : 446
レビュー : 75
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620108322

作品紹介・あらすじ

主人公の竹脇正一(まさかず)は、昭和26(1951)年生まれの65歳。商社マンとして定年を迎えたが、送別会の帰りに地下鉄の車内で倒れ、集中治療室に運びこまれた。
同期入社で今や社長となった堀田憲雄の嘆き、妻・節子や娘婿の大野武志の心配、幼なじみの大工の棟梁・永山徹の思いをよそに、竹脇の意識は戻らない。彼らを見守る看護師・児島直子は、竹脇と通勤電車で20年来の顔なじみでもあった。
 一方で、竹脇本人はベッドに横たわる自分の体を横目に、奇妙な体験をする。マダム・ネージュと名乗る老女と食事に行き、静と呼ぶことにした女性と夏の入り江で語らう。集中治療室で隣のベッドにいる患者・榊原勝男とは銭湯に行き、屋台で酒を飲む。
最初は彼女たちのことを妻の知り合いだと考えていた竹脇だが、やがて、死に至るまでには肉体から解放された不思議な時間を経験するのではないかと考え始めた。そんな時間を彷徨いながら、竹脇は自らの過去と思わぬかたちで再会する――。

感想・レビュー・書評

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  • 出だしは期待できる本だなあ と感じながら読み進んだけど、やはりリアリティーに欠ける展開なので少し冗長な印象を受けてしまった。もちろん浅田さんお得意の昭和色がたくさん色濃く描けていて昭和世代には等身大に懐かしく読める。しかも終末間近な主人公の 様々な思いや周辺の人々との関わり等が繰り出されていて興味深い。

  • 賛否両論の話題本だけど
    人の感想なんてどうでもいい
    自分がよかったと思える本はやっぱりよいのだから。
    もしかしてこの女の人ってってのがやっぱりってかんじだったけれど
    久しぶりにきれいに最後をまとめ上げた小説に出会えました。
    人より小説も漫画も読むのが遅く、その理由は情景を頭の中で作り上げ、主人公が自分になるからで
    文字に書かれた表現を一つ一つセリフまでもを自分の世界で作り直すからどうしても遅くなる
    なのでラスト、ページが残りわずかになっていくのがまだ終わって欲しくない、でも早く結んであげてと望む自分もいてw
    また良い擬体験が出来た

  • 初・浅田次郎作品。読みやすくて、面白い!主人公・正一は意識を失い集中治療室に運び込まれる。いろんな人が見舞いに来るが、当の本人は幽体離脱?して妙齢の女性と出かけたり、隣のベッドで入院している老人(の幽霊)と銭湯に行ったり、なんだか死にかけているはずなのに楽しそう。でも最後には泣いてしまいました。お母さんとの出会いも涙が出たけど、春哉との出会いも哀しかった。

  • 主人公のサラリーマンが定年を迎え、帰りの地下鉄で倒れ意識不明になってしまう。意識のない中、主人公は夢を見ているのだろうか。頭の中で登場する知らない人達と出会い、自分の人生を顧みる。三途の川を彷徨っている時、自分の出生が不明な事に立ち返りなぜ自分が生まれたのかを考える。。。人は意識がない中、無意識に頭の中で何かを考えるとしたら、やはりそれは自分が一番気にしている事なのかもしれない。

  • 借りた本なのだけど、この一冊を「良い」と言って貸してくれる人は、なんというか、素敵だなと思う。

    どこにでもいる、真面目なサラリーマンの話なのだと思って、読んでいた。
    定年を迎え、送別会が開催された帰り道、地下鉄で意識を失い、病院に搬送される主人公。

    戻らぬ意識の中で、彼の旧友や幼馴染、家族がお見舞いに来ては、話しかける。
    ……と思いきや、一転して彼は意識だけの状態になって、半死半生の中、変わった案内人と「おもかげ」の旅を始める。

    名前も付けられず捨てられた生い立ちから、それなりに見栄えのする職に就き、複雑な家庭で育った彼女と結婚し、まだ幼い長男をふとしたことで亡くしてしまう。
    真面目さの裏にある、言えない想いの積み重ねを、回想の旅が上手く機能しているように思った。
    これが、前から進んでいく年表形式の話だったら、雰囲気がガラッと変わっていただろうな。

    死を前にした時に、自分の走馬灯には何が映るのだろうか、と考える。
    もしかすると、何も映らないのかも、と思うと少し寂しい気がする。

    主人公が、かつて生きることを望んできたのは、きっと複雑な感情の中に在ったことだろう。
    それは何かに対する反発でさえ、あったかもしれない。
    でも、地下鉄で二度目の生を願ったのは、もっと純粋で、単純な想いからのような気がする。
    蓄え続けた諸々の感情が濾過された時、そこに何も残らない訳ではないのだな、と知った。

  • 請求記号:913.6/Asa
    資料ID:50089202
    配架場所:図書館1階東館 め・く~る

  • 定年の日に倒れてしまった竹脇正一。
    彼の周りの人たちと彼が倒れている間に起こる様々な現象。
    父も母もなく孤児院で過ごし、それを隠し、それをばねにして生きてきた彼の生涯が語られていました。
    最後に亡くしてしまった息子との再会。
    きっと生き延びる力になったのだと思います。
    いい小説でした。

  • 2019.4.16

  • N

  • ちょっとファンタジックな話。天涯孤独の孤児院育ちの主人公が、決して順風なだけではなかった半生を乗り越え、妻と娘を持ち、家を構え、孫も生まれて、退職の日を迎え、その日に倒れてしまう。重篤な状態で病院のベッドに寝ているはずが、次々と不思議な幽体離脱?体験が、、
    ラストはちょっと希望を持たせる表現だから、命がつながったと思っていいのかなあ。
    ファンタジックでウルっとする場面もあったけれど、全体的にはなんというか、男性目線の身勝手感の残るかんじ。不思議体験のナビゲーターが“魅力的な”女性ばっかりだったり、唯一の男性であるかっちゃんも、峰子を導くための鍵の役割だったんだろうし。
    この時代の男性像らしいといえばそうだけど、妻のこともこどものこともわかってないんだろうなあという、そこはそれでリアルだったけれど。節子、トオル、武志、堀田、周囲の人物の半生ももうちょっと語られるとよかったな。
    たぶん5-60代男性リーマンにいちばんウケよさそうな一冊。でした。

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著者プロフィール

浅田 次郎(あさだ じろう)
1951年、東京都出身。
1995年『地下鉄に乗って』で吉川英治文学新人賞、1997年『鉄道員』で直木三十五賞、2000年『壬生義士伝』で柴田錬三郎賞、2006年『お腹召しませ』で中央公論文芸賞と司馬遼太郎賞、2008年『中原の虹』で吉川英治文学賞を、2010年『終わらざる夏』で毎日出版文化賞、2016年『帰郷』で第43回大佛次郎賞それぞれ受賞。2015年には紫綬褒章も授与されている。
2018年現在、日本ペンクラブ会長、直木賞、柴田錬三郎賞、山本周五郎賞の選考委員を務める。2018年12月15日、『輪違屋糸里』が藤野涼子、溝端淳平、松井玲奈らの出演で映画化。

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