なぜ秀吉は

著者 :
  • 毎日新聞出版
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本棚登録 : 139
感想 : 23
  • Amazon.co.jp ・本 (396ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620108537

作品紹介・あらすじ

愚挙か果てぬ野望の現れか─。
わずか6年半だけの主都となった名護屋を舞台に繰り広げられた天下人最期の仕事と人間ドラマ。

感想・レビュー・書評

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  • 後に『文禄・慶長の役』と呼ばれる朝鮮出兵。
    タイトル通り『なぜ秀吉は』朝鮮出兵を思い立ったのか、について様々な視点で描く。

    博多商人・神谷宗湛(そうたん)
    キリシタン大名・小西行長
    後の天下人・徳川家康
    そして朝鮮から来た陶工・カラクと元武家の妻・草千代。

    作中にも出てくる巷間の説としては
    『あらたな封土』を得るため
    『勘合貿易の復活のため』
    『歴史に名をのこしたいから』
    『権力者の気まぐれ』
    など様々なある。

    だが家康は全く違う視点で考える。個人的にはこの説は面白いと思った。家康らしい考え方でもある。
    だが秀吉はそれは違うと言う。

    またイエズス会宣教師たちの、一般的に伝えられている面ではない負の部分も描かれているのも興味深かった。
    当時の宣教師たちが当たり前過ぎて違和感など感じていないことに焦点を当てているのが面白い。

    そして架空の人物・カラクの視点も一般的に想像するような愛国心とは全く違うところにあって、彼が秀吉を殺そうと考えるほど朝鮮出兵に反対した理由は意外性があって良かった。

    結局のところ『なぜ秀吉は』朝鮮出兵を思い立ったのか。この作品で明かされるその理由は個人的には拍子抜けの感がある。
    だが実際のところはそういうものなのかも知れない。
    しかし巷間の説も家康の説も捨てがたい。
    結局、様々な理由が織り交ざって、ということだろうか。

  • 仕事上の必要から読んだもの。
    この著者(直木賞作家)の小説を初めて読んだが、クセの強い文体を持った人だと思った。
    ただ、読んでいるうちにそのクセは気にならなくなる。慣れれば味わい深い文章だ。

    豊臣秀吉晩年の朝鮮出兵を、多角的な視点から描き出す群像劇である。

    天下統一後に行った朝鮮出兵は、よく言われるとおり、際限のない権力欲から生まれた狂気の愚挙なのか、それとも……?
    「なぜ秀吉は朝鮮出兵を行ったのか?」という日本史上の巨大な謎に、工夫を凝らした構成で挑んでいる。

    長い戦乱の世をくぐり抜けてきた日本の武士たちは、当時、世界屈指の強力な軍隊であった……ということを改めて思い知らされる。

    徳川家康、小西行長、神屋宗湛(かみや・そうたん)、千利休など、実在の武将や著名人が次々と登場し、それぞれの立場から「唐入り」(朝鮮出兵)の動機を詮索する。
    その様子をストーリーに組み込むことによって、巷間言われる主な「朝鮮出兵の理由」の妥当性を、作中で緻密に検証する形になる。面白い構成である。

    そして最終章では、秀吉自身の心の内を描いてみせる。それは、作者が出兵の理由として結論づけたものなのだろうか?

    私自身は、終章を読んで、「なるほど」と膝を打つよりもむしろ煙に巻かれた気持ちになった。が、「真相は案外そんなところかもしれない」とも思った。

    2人の架空の人物――朝鮮から渡ってきた若き陶工・カラクと、謎めいた元武家の女・草千代が、副主人公といってよいウェートで描かれている。
    そのことによって重層的な人間ドラマになった。

    また、本作で描かれる秀吉像はすこぶるリアルで、「血が通っている」と感じた。

  • 題名通り、「なぜ秀吉は」唐入りをしたのかが、テーマになっているけど、なんとも登場人物により話があちゃこちゃに飛びすぎで、且つ作者の史実に関する知識(実際はこうだった的な)を披露するための場になってる感もあり、少し興醒めではある(それなりに得られる知識はあるわけだけど)。なにより、テーマの“なぜ?”がなんとも。。。でした。

  • なぜ秀吉は…朝鮮出兵したのか。
    秀吉の周りを取り巻く様々な人々の視点から。
    特にカラクが主のような気がした。

    生まれたときから武士であるような大名たちとは異なり、百姓の子という圧倒的な出発地の低さがあるからこそ、常に上に上にとする根性、欲が強かったのではないだろうか。そこが朝鮮、明へと手を広げていった根底としてあるのではと考えた。

    本当のところは秀吉にしか分からないが。 

  • 豊臣秀吉による文禄の役。なぜあのタイミングで、秀吉は大陸に打って出ようとしたのだろうか?歴史上のミステリーの答えを探す物語でありながら、秀吉をはじめとする、大名、商人、職人、庶民、キリシタン、色々な人が主人公となりながら、当時を生き生きと生活しています。門井しらしい快活なタッチの物語でした。

  • 文禄・慶長の役を起こした理由に迫る歴史小説。

    ラストで秀吉が語る理由は後付けだとは思うものの、そのような考え方もありと思いました。
    泳ぎ続けなければ死んでしまう魚のように、成長し続けるしかない企業のように、現状維持では我慢できないということには一理あると思います。
    物語としては、巷間されている理由を各歴史上の人物たちに語らせ秀吉が否定する群像劇のパートと架空の登場人物である唐津の陶工カラクとキリシタン女性の草千代のパートの使い方が自分としてはイマイチな感じがしました。
    著者らしく名護屋の街づくりについては分かり易く、歴史上の興亡も面白かったです。
    せっかくおいしいテーマと面白い理由考察ができているので、あっさりしすぎているのがもったいないです。

  • なぜ秀吉は

    うーん。
    いまいちわからん?

  • 【History】なぜ 秀吉は/ 門井 慶喜 / 20210810 / (52/892) / <396/146975>
    ◆きっかけ
    同著者

    ◆感想
    秀吉の朝鮮出兵には諸説あるが、著書の中で秀吉が言っている、自分は樹で成長し続けるもの、というのはそうなのかなとも思った。ひょっとして、秀吉はその出生からしても自己肯定感が低かったのではないか、信長存命であれば、褒めてくれたが、そうでなくなってから、戦を繰り返し、領土を拡大させるしか、自分を納得させる手立てがなかった人なのかなと。
    戦国を治めて太平の世を作りにはそれだけではたりなかった。悲しい人なのかもしれない。
    同著者の本は3冊目、いつも思うがこうした人間ドラマが秀逸、色々丹念に調べ上げて、いつかこんな本が書けたら良いなと思う。別の本も読んでみたい。

    ◆引用

  • 信長のかたき光秀を討ち、
    柴田勝家との跡目争いにも勝利。
    実力者の家康も抑え、
    国内統一に向け九州と関東を残すばかり。
    「中国へ、討ち入ろう」
    秀吉の言葉から物語は始まる。

    豊臣秀吉はなぜ朝鮮出兵をしたのか。
    この物語はその理由を
    「見たい」ために書かれたとある。
    様々な人物を登場させ、
    それぞれの思惑を元に行動させてみる中に
    秀吉の考えを見い出す試みだ。
    それが常人の頭で
    理解できるかどうかは別として。

    秀吉が天下統一するまでの道のりは
    割と知っている。
    一方で朝鮮出兵は、
    晩年の過ちや落ち目となる契機
    といった受け取り方をしていた。
    攻撃拠点の名護屋に巨大な城を築き、
    秀吉自身が九州に赴き実際に指揮をとり、
    一時的とはいえ実質的な
    首都とだったとは知らなかった。

    唐津焼職人カラク、博多商人・神屋宗湛、
    家康やキリシタン大名・小西行長、
    謎の女性草千代の目を通して、
    秀吉の様子が描かれる。
    老いを予感させるも、秀吉はいまだ精力的で、
    死への不安や狂乱は感じさせない。
    権力の絶頂でなぜ秀吉は、
    朝鮮出兵をする必要があったのか。
    その口から語られる。

  • その時代に生きた人々が台詞を通して生き生きと描かれていた。気になったのが草千代。猿楽でのシーンでは胸が締め付けられた。とてもメタファーの上手い作家であり表現も分かりやすい。

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著者プロフィール

1971年群馬県生まれ。同志社大学文学部卒業。2003年「キッドナッパーズ」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。16年『マジカル・ヒストリー・ツアー ミステリと美術で読む近代』で日本推理作家協会賞(評論その他の部門)、同年、咲くやこの花賞(文芸その他部門)を受賞。18年『銀河鉄道の父』で直木賞受賞。他の作品に『東京帝大叡古教授』『家康、江戸を建てる』『屋根をかける人』『自由は死せず』『東京、はじまる』などがある。

「2022年 『味比べ 時代小説アンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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