永遠と横道世之介 下

著者 :
  • 毎日新聞出版
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本棚登録 : 204
感想 : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620108650

感想・レビュー・書評

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  • 横道世之介シリーズ完結編の上下巻。先の2作を読んだのはつい去年だったが、世之介の「人たらし」ぶりにすっかり魅せられてしまい、今回の続編を楽しみにしていた。先の2作から、世之介の結末は知っていたが、もう少し若かった頃の話だと思っていたので、ひょっとして電車事故はなかったことになった上での続編なのかなと一瞬期待してしまった…。

    39歳になった世之介も相変わらず。吉祥寺の下宿屋で、内縁の妻的なポジションの女主人と下宿人たちと楽しく暮らしている。そんな日常生活の様子が、時々、時系列を行ったり来たりしながら描かれている。世之介は四季折々の日常を、人生を楽しむことに長けているなと、読んでいて癒されとても温かい気持ちになった。タイトルの意味も、下巻で分かった。
    世之介がリラックスできることが1番大事とどこかの場面で語っていたが、その通りだと思う。続編が出て、ここまで再会が嬉しかった登場人物もなかなかいない。少し切ない読後感だが、とても良い読書時間だった。

  • 読み終わってしまった…。
    これで世之介とは永遠のお別れです。
    また世之介と会えた!と思って喜んだのに数日でのお別れ、悲しいです。楽しい数日でした。
    あらゆる小説の主人公の中で一番好きかも。

    吉田修一の人生観が今回は世之介の言葉として語られていたように思う。その分世之介が老成されてしまった感があるけど、世之介の言葉を欲してたから、ありがたい。あんまり100%天然でもねえ。これくらい見据えた人生観を持ってる世之介でよかった。

    リラックス、リラックス。
    そう唱えながら過ごしていこう。

    障害を持った子の親としては、永遠ちゃんって存在を描いてくれたのはとってもうれしいです。永遠ちゃんを真ん中にして、うるさいくらいにぎやかな家族。こういう家族って結構普通にいるものです。普通の家族はサザエさんやちびまる子ちゃんの家族だけじゃない。

    吉田修一っていい作家だなあ。

  • 世之介読者なら知っている、「その日」のこと。
    それでも世之介のその日までの一年間に、世之介がどうやって過ごしていたのかは知らない。
    世之介が、その周りにいたたくさんの人たちの心の中に何を遺していったのか。
    そのひとつひとつを丁寧に丁寧にたどっていった。もしかすると、「その日」が来ない世界線なのかも…なんて思いながら。
    18歳だった世之介が、大人になり、38歳を超えて、何を抱え、何を思い、どこに向かっていたのか。
    昨日と今日と明日が続く何気ない時間。自分の中でも重なっていくそんな時間の中で、世之介と過ごした思い出が私に教えてくれる。
    「大丈夫、生きるのは最高だ」と。

  • 横道世之介シリーズの完結編、下巻。
    泣いた、ここ数年で一番というくらい読んでいて涙が止まらなかった。

    リラックスしなきゃ。

  • 【人生ってさ、自分のためだけに使っても時間が余るような気がするんだ。誰かのためにその時間を使えるなんて、そんな幸せな人生はない】

    一番好きな小説の最終章。
    いままで、世之介は馬鹿でもあほでもなく、ただのんきな優しいやつだと思った。けど、出生の話とあけみちゃん、二千花との関係を見るとどこか芯があってしなやかで強い人間に映る。

    大人になるにつれて社会のこととか見えてきて、色んな複雑なこと考えなきゃいけなくなってくる。ただ世之介は自分の目の前の人に100で向き合い続けてる。
    半径5メートルを全世界だと思って生きている人。孫悟空とアラレちゃんと一緒に、筋斗雲に乗れる人。

    世之介見習って人に優しくするために、自分に余裕を作ってあげる努力をしたい。
    そうめんにみょうがを入れる余裕、たまには金麦じゃなくてプレモル買ったり、古本屋で文庫本大人買いしたり。

    初めて世之介に出会ってから10年くらい。横道世之介、映画横道世之介、続横道世之介、永遠と横道世之介。自分の青春時代を一緒に過ごしてくれてありがとう。
    また会いに来ます

  • 感想は上巻にまとめて書きました。

  • 感想は上巻にまとめて。

  • もうとにかく横道世之介と言ったら奇想天外、摩訶不思議な人物である。人がやっていけない事を平気でやってしまう様な性格、そして「ドーミー吉祥寺の南」の人達がおもしろいったらありゃしない本当に心置きなく読んでしまった。世之介の死んでしまった元恋人の恋話なんかおもしろいおかしく読みました。ラストのエバへの手紙も感動したし、題名の『永遠と横道世之介』の深い意味を読んで理解しました。あなたもぜひおもしろい感動作を読んで見て下さい。

  • シリーズ完結はとても残念だけれど、読み終わってとても心地いい余韻に浸れる。横道世之介が暮らす下宿「ドーミー吉祥寺の南」での日々。数年前に亡くした婚約者を思いながら、現在のパートナーとの日常を生きている。そこにある複雑な感情と、人を想う気持ちとか、誰かが一緒にいるということの尊さとかが伝わってくる。世之介の人柄、人に対する深い愛がそのまま物語を愛おしいものにしている。長く続くシリーズではないことはわかっていたけれど、本当に素敵な作品でまだまだ読んでいたくなるような大切な物語。

  • プルーフ読了
    マイペースでありながらも
    周りに頼られ、
    誰彼問わずほっこりさせてしまう存在。
    横道世之介―
    あなたのような男になりたい。
    あなたのような、
    リラックスした人になりたい…。
    飾らず、気取らず、気負わず、
    そして飽きさせない。
    日々の暮らしぶりを
    淡々と描いているようで
    会話も感情もわだかまりなく
    共有できてしまう。
    その筆力は流石の一言に尽きます…。

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著者プロフィール

1968年長崎市生まれ。97年「最後の息子」で文學界新人賞を受賞し作家デビュー。2002年『パレード』で山本周五郎賞、同年『パークライフ』で芥川賞を受賞。07年『悪人』で毎日出版文化賞、大佛次郎賞、10年『横道世之介』で柴田錬三郎賞、19年『国宝』で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。著書に『路』『怒り』『橋をわたる』『ウォーターゲーム』『女たちは二度遊ぶ』『犯罪小説集』『ミス・サンシャイン』など多数。

「2022年 『逃亡小説集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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