あなたが消えた夜に (毎日文庫)

著者 :
  • 毎日新聞出版
3.33
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本棚登録 : 504
レビュー : 55
  • Amazon.co.jp ・本 (504ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620210230

作品紹介・あらすじ

ある町で突如発生した連続通り魔殺人事件。所轄の刑事・中島と捜査
一課の女刑事・小橋は“コートの男”を追う。しかし事件は、さらなる悲劇
の序章に過ぎなかった―。
 神にも愛にも見捨てられた人間を、人は救うことができるのか。
〈純文学×警察小説〉
かつてない衝撃!圧倒的人間ドラマ!
待望の文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • 中村文則『あなたが消えた夜に』毎日文庫。

    見慣れない文庫レーベルだと思ったら、毎日新聞社から新たな文庫が創刊されたようだ。中村文則が警察小説に挑むとは非常に興味深いが、長編となると一抹の不安を感じる……

    中村文則は長編となると途端に弱点を露呈してしまうように思う。元々人物描写に重きを置く作家ではないので、登場人物の性格描写は薄っぺらく感じるし、それ故か頭の中に全く物語の画像が浮かんで来ないのだ。『教団X』と同様に本作でもこの弱点を露呈しているようだ。また、性に目覚めた少年のように、やたらと『セックス』という言葉を多用するのには失笑した。恐らく50回くらいは用いられている。

    所轄刑事の中島と捜査一課の女刑事・小橋が、連続通り魔殺人事件の犯人と目される『コートの男』を追う……

    不安は的中。中村文則は中短編が限界なのか……『掏摸』『銃』は傑作なのに……

  • 所轄刑事の中島と捜査一課の小橋は連続通り魔とされる”コートの男”を追う。殺人事件を解決する刑事もの、だけでなく心の闇を絡めた物語。やはり重みを置いているのは心の方であろう。相変わらず読んでゆくと自分の心が暗く辛くなってくるのだけれど、今回は小橋が笑いを誘うような感じで調子がずれた。精神的に病んでしまった人の始まりから終わり、今回も深く読めた。読み解くのは難しけれど。手記が特に。狂った精神科医、一人では不完全とか、憎悪を与え損ない続けるとか、苦しむために一緒にいるとか。あなたとなら幸福になれたけれど、彼女とはゆくゆくは破滅に道でそちらを選ぶ彼。日常的にあっては困るけれど、何かのきっかけで転んでしまう人もいるでしょう、心を知るためにも、歪んだ世界を書き続けて欲しい。

  • 中村文則作品を読むのは16冊目。

    もうめっっちゃくちゃおもしろかった!!!!
    最初は読みながら「すでに映画化を意識してるんじゃないすか~!?」って思っちゃうくらいキャッチーな感じ。警察ものだし。主演:二宮和也って感じ。
    中村文則、昔は犯人目線が多かったけどついに犯人を追い詰める警察ものか~。なんだか感慨深いな~。主人公は冒頭から怪しい過去持ってるけどまぁこういうのもよくあるよくある……なーんてね、読み進んでたんですよ。中島と小橋の掛け合いもめっちゃおもしろいしね。小橋:吉高由里子って感じで。掛け合いに声出して笑っちゃうくらいでね。

    でもね、読み進むにつれて、視点が、変わるの。犯人のものに。

    あんなに(個人的には)キャッチーで読みやすかった警察もの小説が、“人間”の小説に変わる。思ってもみなかった人間が犯人で、その犯人には壮大なドラマが、いや、ドラマと一括りにするとチープになってしまうから嫌なんだけど、表せる言葉が出てこない。バックグラウンド、激情、大恋愛、どれもしっくりこない。だって人生なんだよ。犯人の人生が、描かれてて。

    さて主人公は誰でしたっけね、と思わされる。これは映画化してしまったら犯人にいいキャストを当てすぎてキャストで犯人がバレてしまう可能性があるのですごく注意してほしい。個人的には忍成修吾くんか、もうちょい若かったら賀来賢人くん。
    この犯人目線になったときがまさに中村文則作品というか。感情の揺れ動き方が本当にリアルで。あとたぶん毒親育ちだからだと思うんだけど、犯人も犯人の恋人も本当に上手く生きられなくて。普通に幸せになれないというか。上手に愛されることができないし、愛すことも出来ない。悲しいよ。「殺してやる、復讐してやる」って思ってから、中々殺せずにいるところもリアル。結局激情型になれないというかさ。ストッパーばかりついてて、誰かに背中押されてやっとやるんだよ。そんで、結局たがが外れるみたいになし崩しになっちゃう。最初の一歩を踏み出したばっかりにね。

    すごくツラいよ。つらいけど悲しいラストじゃない。生きていく人間はいる。立ち向かって、踏み出していく人間がいる。希望がある。人生は続く。それがもう、めちゃくちゃいい。
    教団Xもハッピーエンドだと感じたけど、この作品もハッピーエンドです。
    しかし驚いたのはこの作品が教団Xと同時期に書かれたものだってこと!!すごくない!?すごすぎるよ!!あんな大長編書きながらこんな大長編も書いてたの!?頭ごちゃごちゃにならないのかな……めっちゃすごいと思う……。

    おまけ小説もめちゃめちゃ可愛くて笑えて良いです。やっぱり中島と小橋の掛け合い好き~!!
    また、今回の小説を読んで中村文則に対しての好きが増しました!!大好き!!いつも素敵な小説をありがとう!!

  • 読み応え抜群だった。コートの男による連続通り魔殺人事件から波紋のように広がって、全貌明かされていくそれぞれの人生。
    途中から警察小説ということを忘れ、気づけば彼らの無意識下、精神世界に深く深く沈み込んでしまっていた。
    歪み切った愛情はぶつかり絡まり合ってどこに向かうのか?"あなた"とは誰なのか?登場するのは狂気を孕んだ人物ばかり、二転三転と物語を翻弄させていく。
    裏切られること、傷つけられること、損なわれること、虐げられること、性に依存すること、生きていること、何かを信じ抜くこと。「私を裏切ったあなたを裏切ったことが嬉しい」。
    とにかくねじ曲がった愛に捕らわれ続ける真相は、救いようがないようでいて、しかしその救われなさに救われているかのような錯覚に陥る。

    おまけで収録された番外編がふざけまくっていて和む。
    真相が重すぎてすっかり影が薄くなってしまったけど、所轄の刑事・中島と、捜査一課の女刑事・小橋はなかなかナイスコンビ。
    中島の過去にもっともっと焦点当てて欲しかった。そして小橋もその無垢の奥にヤバイ闇を抱えているんじゃないかって気がする。

  • 初の新聞連載小説だそうですね。
    「無意識というものを、はっきり前面にした物語。 そういうことに、なるかもしれない。」とのこと。
    うーん、途中までは引き込まれて夢中で読みましたが…三部からの流れは好みではなかったです。
    そして何より、シリアスな物語の中で異彩を放つ小橋さんの存在感よ!一作だけだと勿体ない気がしますねぇ。

  • 私はついていけませんでした。
    でもやめずに読んでしまいました。
    でもこんがらがってしまいました。
    手記という形で真相がわかるのですが
    ストンと落ちずにもやもやしています。
    心象風景がとても丁寧に描かれて惹かれます。

    以前 他の作品も読んだのですが
    これは合わなかったです。

    ≪ 愛も神も遠すぎて立ちすくむ ≫

  • 久しぶりにこの作者らしい文章や作品を読むことが出来た。
    ストーリーの構成や展開なども面白い。
    人の歪んだ心の内を綴っている所も作者ならではだ。
    ただ吉高の死んだ流れがイマイチ分からなかったのと、作者も言っているが番外編は要らない。

  • 久しぶりに一気読みしてしまった。
    中盤までは面白い。事件が訳わからなすぎてページをめくる手が止まらない。でも第三部になると……辛い。重すぎて一気に読み進めるのがしんどくなる。まともな人も幸せな人が誰もいないし最後まで読み終えても何だか気が晴れない。
    個人的には事件の謎だったこと(死体を移動させたり口の中を焼いたりとか)が、いよいよ精神異常のせいにされちゃうともったいない気がする。もう少し上手に回収されたらよかったかな……ちょっと拍子抜け。

  • 話の構造が複雑で途中からついていけなくなりそうになりました。難解です。

  • コートの男とは?
    小橋ちゃんのキャラが良い。
    歪んだ感情が入り混じるミステリー?

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著者プロフィール

中村 文則(なかむら ふみのり)
1977年愛知県生まれ。福島大学行政社会学部応用社会学科卒業。2002年『銃』で新潮新人賞を受賞しデビュー。『遮光』で野間文芸新人賞、『土の中の子供』で芥川賞、『掏摸』で大江健三郎賞、『私の消滅』でドゥマゴ文学賞を受賞。2014年にはノワール小説への貢献から、デイビッド・グーディス賞を受賞している。
その他の代表作に、映画化された『去年の冬、きみと別れ』『悪と仮面のルール』などがある。

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