極北へ (毎日文庫)

著者 :
  • 毎日新聞出版
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本棚登録 : 94
感想 : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620210360

作品紹介・あらすじ

二十歳で登頂したデナリ山。アラスカ、グリーンランド、カナダ、ノルウェー、そして、二度目のデナリへ 。
地球の極北地域に魅せられた長い旅の軌跡。
世界を駆け抜ける写真家が《 原点 》 を綴った珠玉 のエッセイ 、待望の文庫化!

感想・レビュー・書評

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  • 石川直樹『極北へ』毎日文庫。

    世界を旅する写真家のエッセイ集。自身の旅の原点である20歳のデナリ山への登頂から始まり、アラスカ、グリーンランド、カナダ、ノルウェーと地球の極北地域を巡る旅とその魅力が描かれる。

    様々な人生があり、様々な夢があり、様々な旅がある。人生は自分で切り開くものだと言っても、夢を追い掛けて実現させるのはなかなか難しい。しかし、挫折も人生の一部であり、そこから新たな道を模索すれば良いのだ。

    高校生の17歳の時にインドを旅行し、学生生活に疑問を感じた著者は世界中を旅して写真を撮り、文章を書いて生きていきたいと考える。カヌーイストの野田知佑から大学にはちゃんと行け、と諭された著者は大学に進学し、自身の夢を目指す。著者は20歳でデナリ山の登頂を果たし、それが著者の人生の原点となる。

    本体価格800円
    ★★★★

  • 極北への旅をまとめたエッセイ集。
    高校生のころに野田知佑や星野道夫の著作に触発されて旅に生きるようになる経緯にはじまる。アラスカ、グリーンランド、ノルウェー北部、スピッツベルゲン島といった北極圏各地への訪問がテーマである。各地に住む日本人を中心とした極北にゆかりのある著名人との交流や故人である植村直己や野道夫の足跡をたどる旅も多く含まれる。

    冒頭と最終盤に配された二度のデナリ(マッキンリー)登頂がポイントになっており、著者もデナリ登頂を自身の人生のなかで特別な体験だと明言している。全体に極北のような大自然とそこに暮らす人々への憧れと讃美で一貫している。同時に、「虚構だらけの都会生活」といった表現など、都市生活にたいする疑いの眼差しもしばしば見受けられる。ただ、本書の体験の内容そのものについては、大自然のなかでの出来事が中心になるかと思いきや、デナリ登山を除けば意外と極北の街や村での滞在にまつわるエピソードが多くを占める。

    著者の純粋で素直な人柄がうかがえる文章である。照れやてらいとは無縁で、「タンポポのような人生をおくれたら素晴らしい」「ぼくはいまを生きようと思うのだ」といったロマンティックなフレーズにもためらいがない。高校生ごろから終章は2017年、四十歳までの記録だが、常に変わらない純真な若者の日記を読むような印象を受けた。ただ、全体にとりたててユーモラスな表現や出来事の起伏がなく、一本調子といえなくもない。本書のなかでも重要な位置付けにあるデナリ登頂も含めて、著者にとっては印象深いはずのそれぞれの旅も読んでいる限りあまりとっかかりがなく薄味で、悪くいえばあまり工夫を感じない。素晴らしいものを素晴らしいと書くだけでは十分ではないと思わされた。

  • 野田知佑、星野道夫、植村直己、河野兵市、今野道博ら
    地球遊びの達人たちに教えを受ける若者の地球記録

  • 簡潔で無駄がないのに無味乾燥ではなく淡い詩情も感じるような文章。自然や自然の中に生きる人々へのリスペクトに溢れ、生活習慣や食べ物、道具などへの着目も鋭い。たまに思い出しては読み返したい僻地への紀行ものだといえる。

  • 297-I
    文庫

  • グリーンランドが出てくる本にはどうしよもなく惹かれてしまい手に取り。冒険家を志すきっかけからその道を進みだす過程が描かれ。デナリへの最初の登頂、グリーンランド、スヴァールバル諸島、北極圏への冒険から、デナリ登頂ふたたびまで。グリーンランドといえど、もちろん中心都市ヌークは普通の都市のようなたたずまいで意外の感にうたれ。もちろんいつまでも自然のままでいてほしいだなんて、旅行者の傲慢だということはわかった上で。フェアバンクスでみたオーロラ。シトカのインディアンの語り部が来日した時に籠った小樽のフゴッペ洞窟。気候変動でなくなりつつあるシシュマレフの村。星野道夫が送った一通の手紙でアラスカと結ばれた縁。スノーモービルを使わないのかと問われた犬ぞりのマッシャーの「機械は壊れたら終わりだよ」という回答。みなが知らないことを伝えようとしたら、まとまらない雑談のようになるのはあたりまえではないか、という解説のフレーズ。といったあたりが印象に。

  • コロナ禍で海外訪問が難しくなってしまったな中、石川さんの本書で、北極圏を頭のなかで想像しつつグッとくる紙上冒険をさせてもらった。
    同世代ということや著者の経験、知識、文書力もあってだが、石川さんは純粋に自身に刺激を与えてくれる一人となっている。
    最後のデナリのエッセイが特に読みごたえがあった。長期縦走、自分も心の中で温めていて、日本の山になるが何とかここ数年でチャレンジしてみたいと思っている。(トレーニングと体の鍛えを頑張らなきゃ。。。)

  •  石川直樹さんの著作を読むのは初めてだが、何か懐かしい場所に戻ってきた感覚。

     タルキートナ、シシュマレフ・・・植村直己さんや星野道夫さんの著作で何度となく目にした地名。そして故河野兵一さん、船津圭三さんら僕らが若いころ活躍されていた冒険家の方々が登場される。青春に帰った感覚。

     街に住む僕らが極北のエッセイを読むと、そこだけにしかない極北の時間の流れに没入できる。十分に浸ることができた。

  • 旅とは途上にあること

    石川直樹の生き方は、それこそ旅だと思う。
    その時々の流れと気持ちに正直に動かされ、その時々をぷかぷかと邁進している。

    エッセイもぷかぷかしている。どこか、人間くさいというか。強靭な人、すごい人であるのは間違いないけど、僕らの延長線上にいる感じがしてしまう。こんな文章、すごく好きだ。

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著者プロフィール

1977年東京生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。
2008年 『NEW DIMENSION』(赤々舎)、『POLAR』(リトルモア)により日本写真協会賞新人賞、講談社出版文化賞、2011年『CORONA』(青土社)により土門拳賞、2020年『EVEREST』(CCCメディアハウス)、『まれびと』(小学館)により日本写真協会賞作家賞を受賞した。著書に、開高健ノンフィクション賞を受賞した『最後の冒険家』(集英社)、『地上に星座をつくる』(新潮社)ほか多数。


「2022年 『STREETS ARE MINE』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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