ゴリラからの警告 「人間社会、ここがおかしい」 (毎日文庫)
- 毎日新聞出版 (2022年4月30日発売)
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感想 : 19件
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784620210445
作品紹介・あらすじ
人間の考える「あたりまえ」を疑え。霊長類学者によるゴリラ目線の文明論。
感想・レビュー・書評
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#ゴリラからの警告「人間社会ここがおかしい」
#山極寿一
#毎日新聞出版
#読書記録
著者は霊長類研究学者であり京大の前総長。
ゴリラ社会に留学したという話は有名?!
ゴリラは凶暴ではなく
平和的な社会を築く習性があるらしい。
見習いたい。
印象的なエピソードを二つ。
まず密猟のせいで
人に敵意を持っていたゴリラが
共に時間を過ごすことにより
著者を受け入れたこと
そして26年(?)の時を経て再開したゴリラが
著者を覚えて好意的な態度を見せたこと
共に過ごす時間が
何よりもお互いを理解へと導く。
写真は昨日参加した
パジャンマントラ瞑想ワークショップでいただいたプラサーダム(ランチ)。
すごーく美味しかったし
楽しかった。
集まって、話をし、ご飯を食べて、時に歌う。
まさにゴリラ的な時間を過ごした。(褒めてる!)
忙しい現代社会。
なんでもいい。
スポーツジム、趣味のスポーツ、
友だちとお茶、カルチャースクールなど
家と仕事以外の場で
人が集まって
深い話をすることがなかったとしても
お互いのことをよく知らなかったとしても
ただただ共に楽しく過ごす。
かけがえのない時間だと思いました。
#GorillaWarning: "There's Something Wrong with Human Society"
#JuichiYamagiwa
#MainichiShimpublishing
#ReadingLog
The author is a primate researcher and former president of Kyoto University.
Is it well-known that he studied abroad in gorilla society?!
Gorillas are not aggressive, but apparently have a penchant for building peaceful societies.
I want to emulate them.
Two memorable anecdotes.
First, a gorilla who had become hostile toward humans due to poaching
accepted the author through spending time with him.
Second, after 26 years (?), the gorilla remembered the author and showed a friendly attitude.
More than anything, spending time together leads to mutual understanding.
This photo shows the prasadam (lunch) we had at the Phajan Mantra Meditation Workshop I attended yesterday.
It was incredibly delicious and
It was so much fun.
We gathered, talked, ate, and sometimes sang.
It was truly a gorilla-like experience. (I mean that as a compliment!)
In today's busy society.
Anything goes.
At the gym, playing a sporting hobby, having tea with friends, attending a cultural school, or anywhere else outside of home or work, people gather together. Even if they don't have deep conversations or know each other that well, they simply spend time together having fun. I think these are irreplaceable times.詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
■ Before(本の選定理由)
ゴリラ?動物研究の方の提言だろうか。
群れのルールとか。
■ 気づき
著者は霊長類学の大家で、元・京大の総長。読み手が勝手に権威を感じるだけかもしれないが、いろんな意味でエビデンス(実体験)に基づいていて説得力がある。
我々はどこから来て、どこに行くのか。みたいなことを読みながらぼんやり考えた。
■ Todo
食事は単なる栄養補給では無い。子供たちに安心出来る世界を提供し、信頼の芽を育てる大切な機会なのである。人間こそ、これを大切にしよう。 -
2022 佐賀大学 教育学部 学校教育課程 幼少連携教育コース
2021 大阪府立大学 地域保健学域 看護学類
2020 新見公立大学 健康科学部 地域福祉学科 -
「人間はゴリラと分かり合えるか?」と質問されたとして、どれだけの人が「YES」と答えるのだろうか。人間同士でさえ、隣人同士でさえしょっちゅういがみ合っていると言うのに。
でも筆者は言う。
人間が人間になったのは人類史700万年(それは人間とチンパンジーが共通の祖先から分かたれた時だ)のうちたかだか1万年前の話に過ぎない。逆に言えば人間はその進化史のうちごくごく最近までチンパンジーやゴリラと同じような生活をしていたはずなのだ。と。
ならば人間とゴリラが分かり合うことも可能なはずだ。いや、人間はむしろこの1万年という「短い」期間でうしなってしまったものをゴリラから学び直すべきなのだ。何しろそれが699万年という長きにわたって人間が形成してきた「本性」のはずだからである。
そう、文化や文明の進展や進歩は、必ずしも人間としての進化ではないのだ(成長と言ってもいいかもしれない)。私たちは子どもたちに正しく成長してくれること望む。同じように私たちは私たちが正しく成長しているかどうかを常にチェックしなければならないのだろう。でも自分のことを客観的にとらえるのは難しい。だからこそゴリラの視点が必要になるのだ。
もちろんゴリラでなくても構わない。
犬でも猫でもクジラでも。
海でも山でも大気でも。
我々以外のものに視点を移したときに見えてくるものがある。それをもっと大切にするべきなのだ。
少なくとも私は「人の立場に立って物事を考えろ」と教わってきた。それが正しいと。
だから、次はゴリラの目でこの社会を見てみたいと思えた。良い本だった。 -
2022 佐賀大学 教育学部 学校教育課程 幼少連携教育コース
2021 大阪府立大学 地域保健学域 看護学類
2020 新見公立大学 健康科学部 地域福祉学科 -
人の手で育った動物が自然に還れないのは人間に適応しただけでなく、愛着もあるという観点は新しい
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ゴリラ研究の第一人者で元京大総長の山極先生の本。ゴリラ社会と比較の目線に立って、人間社会を俯瞰視している。途中多少脱線して、総長という経験をもとに大学の在り方論的な方向に移る。思考を解放するのに歩くのはちょうど良い強度の速度。人間の持つ罪の意識の所以。
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ゴリラからの警告 山極寿一 毎日新聞
副題を「人間社会、ここがおかしい」とする
学生を主軸とする京大の気風を継承する数少ない教育者だと自負する筋の通った方のようだ
この本を全ての現代人に読んでもらいたいと思う
教育の場についてはほぼ全面的に同感であるが
少々意を唱えさせてもらうならば
高校までの教科書や教師について「国家による検定や免状」を必要と言う立場を取られていることについてだ
一人ひとりが個性を持って生まれたその時からそれぞれを尊重するべきだと思うし
だとすれば子供であろうとも常に答えのあることだけに閉じ込めてはいけない
最初からこの世に絶対など存在しえないこと教えるべきだろう
誰もが対等な存在として自律を目指してこそ唯物的な競争世界に埋没することなく
切磋琢磨による相乗効果を得る無限なる調和を創造し続けてられるのだと思う
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霊長類の視点(ゴリラやサル)から今の現代社会のあり方や問題を語っている内容である。
今回は自分が特に印象に残ったところを
言いたいです
特に印象に残ったのは「金は今ある可能性や価値を劣化しない貨幣や硬貨にかえて、それを将来に担保する装置」という視点などは貨幣の本質をついている点やゴリラにかなくて人間にあるものが高い共感力なども大変興味深いところでした。
さらに学問も自由に発言するべきだというのも大変正しいのはわかるのだが、山極先生は日本学術会議の会長もやられた方なので、昨年起きた学術会議の問題を踏まえて考えるとちょっと説得力にかけるかな…
正直、中学入試として出すのはいいが、学校のがこの本に書かれている教育や学問のあり方などをちゃんと考えているのかは疑問です。 -
背ラベル:469-ヤ
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【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/782795 -
チンパンジーとサルが違う事も、チンパンジーがサルを食べる事も知らなかった。
共食をしない現生人類はサル化して行っているという忠告はそうだと思う。まさしく私もそうだ。
そうだと気付いた今、なるべく人と会う機会を増やしご飯もなるべく人と食べるようにしている。
自然と人間を対立関係だと考える西洋人の哲学も限界に来ているのではないだろうか。
今のネット社会は越境を簡単にする。それに伴い、一人で完結させることも可能である。これを個人主義で終わらせることなく、「国がある地域を独占支配する時間が時代は終わったのではなかろうか」という前向きな提案は目から鱗である。
その後、その方法についての具体的な方策が並べられており、作者を応援したい気持ちになったが、今どこまで進んでいるだろう。
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効率化・情報社会化が進んで自分の意見を主張しやすくなり自由な時間も増え便利な時代であるのに人間の孤独化や争いは絶えず不安が多いこの頃。
著書にはゴリラの目になって見つめ直すと見える人間社会の不思議が綴られている。
人が満たされないのはなぜなのか、サルの心が支配する現代日本等、ゴリラや他の動物とも比較しながら人間社会との違いが語られていて興味深い。人間の勝手な想像で凶悪とみなされて虐げられた時期もあったゴリラたち。実際はそうでなかったのだ。なのに長年接する中で少しずつ人を受け入れてくれるようにもなったという。懐が深すぎる。
今地球上は人間中心社会になりがちだが、人間は昔から生物に囲まれて生きてきた。共生しながら他の生き物に学ぶことは多いのではないだろうか。 -
山極壽一(1952年~)氏は、京大理学部卒、京大大学院理学研究科博士課程修了、日本モンキーセンターリサーチフェロー、京大大学院理学研究科教授、同理学研究科長、京大理学部学部長、京大総長、国立大学協会会長、日本学術会議会長等を歴任し、総合地球環境学研究所所長。ゴリラ研究の第一人者でもある霊長類学者。
本書は、毎日新聞に連載された「時代の風」(2012年4月~2016年3月)をまとめ、2018年に出版され、2022年に文庫化されたもの。
内容は、著者が長年アフリカに通い、研究を続けてきたゴリラを、700万年前に我々人類と共通の祖先から分かれた存在と位置付け、その進化の枝分かれが起こった後、人類の体や心がどのように変化してきたのか、その変化の背景・歴史はどのようなものだったのか、そして、それらを踏まえて、現代の人間社会の「おかしい」点と、その解決のための著者の思いを綴ったものである。初出の性格から、学術的というより、エッセイ風な文章となっている。
一通り頁をめくってみて、再認識したのは、ゴリラ、チンパンジー、オランウータン等のヒト科の類人猿は明らかにサルとは異なり、人間に近い習性を持っているということである。そして、そこには、現代の人間社会が抱えた課題に対する、いろいろなヒントが隠されているのである。
例えば、サルは、争いにならないように一匹で食事をする(子ども以外の他者に食物を分配することはない)が、ゴリラは、大人同士で食物の分配を行う。また、サルが相手の顔をのぞき込むのは威嚇をするときであるが、ゴリラのその行為は相手に対する好意的なあいさつを意味する。それらを踏まえれば、人間が一人で食事をする(ぼっち飯)ことも、人間のコミュニケーションが対面ではなくスマホ等を通して行われることも、自然な行動ではないのである。
現代の人間の行動様式・習慣には様々な背景があるし、多くの課題の解決がそう簡単ではないことは言わずもがなではあるが、共通の祖先を持つ「ゴリラからの(シンプルな)警告」を一時聞いてみるのも悪くはないだろう。
(2022年6月了) -
学生時代、山極先生の講座を聞いたことがありました。男前だけど若干ゴリラの風情も漂わせる先生のお話は、ゴリラ愛(&霊長類学への愛)に溢れていて、ゴリラに求愛できる(求愛されただったかも)との驚愕の自慢?!話から始まり、好奇心をそそられる中でいろいろ示唆が得られるものでした。あの時のこともこの本で思い出しました。
本の中では、現代社会の我々人間の生活のいろいろな歪み(地域コミュニティ・人間関係の希薄さ、個人主義の重視、大学教育のあり方、国際化、地球環境問題など)に触れながら、これらの危機に対峙するにあたり、人類と同じように、でもゆっくりと生物としての進化の過程を経てきたゴリラなどの霊長類の社会の作り方、生き方にヒントがあるのではと指摘されています。
人類が言葉、文字を駆使してコミュニケーションをとるようになる前、どんな風に生きるために不可欠な食糧を確保し安全な寝ぐらを作ってきたのか、そして、互いの信頼関係をつくり、危機を回避したり無用な争いを避けたり、子孫を残そうとしてきたのか。サルと類人猿の違いを踏まえた解説はとてもわかりやすい。
とりわけ、特にゴリラの社会の例示は、さすがゴリラ社会への留学(!)経験があるだけあって、とても面白い。オスが「父」になる過程や「父」として果たす役割は、あぁなるほどと思うし、集団としての意思を決めるときに「民主主義」が機能しているというところは驚き。現代のわれわれと大きく違うのは、誰がどういうスタンスに立っているかが明らかかどうかということ、そして、リーダー自身が、群れの仲間が付いて来てこそのリーダーの地位であることを理解し集団の意思を尊重する行動を取るかどうかということだとのこと。
この本を読むことで、サルはこうする、でも霊長類たるゴリラはこうしている、そしてそれは人類に繋がっていると理解が進みました。
先生によると、現代社会に生きる我々人間は、いろんな場面で「サル化」してしまっているのではないかとのこと。長い年月での進化の過程で霊長類(そして人類が)が身につけてきたものを、みすみす捨ててしまっているとか。
ゴリラは、声でコミュニケーションはとるけれど、人間のような複雑な言葉や文字はない。だから、言葉の壁も文化の壁もなく(食べ物の確保や自分たちを捕食する肉食動物などから身を守るためといった生きるための必要性もなしに)、殺し合うことはもちろん戦争もない。
人間は言葉があるから国や境界を作り敵味方の関係が生じてしまうけれど、一方でその物語をつくる力を生かせば、動物にも社会や文化があることに思いを巡らせることができるし、それこそ人類同士の、生物の多様性を受け止め互いに思いやれる力があるのではないか、との言。などなど。
自然人類学の奥深さを分かりやすく教えてもらえた本でした。
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異文化の視点から自分たちの文化を捉えなおそうと言う動きは最近流行だけど、それをゴリラの視点からやろうという試みは面白い
ただ、議論とか指摘が表層的で、山極さん自体はすごい研究者なのだから、もう少し踏み込んだ議論が見たかった、と言うのが正直なところ
著者プロフィール
山極寿一の作品
