- 本 ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784620210803
作品紹介・あらすじ
『マークスの山』『レディ・ジョーカー』『冷血』の合田雄一郎シリーズ、待望の文庫化!12年前、元美術教師が殺された未解決事件。当時の捜査責任者合田の胸に、後悔と未練がくすぶり続ける。そこへ、思いも寄らない新証言が——。
感想・レビュー・書評
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高村薫『我らが少女A 上』毎日文庫。
合田雄一郎シリーズ。
微に入り細に入り、登場人物の生活を生々しく描きながら、登場人物が入れ替わり立ち替わり、それぞれの視点でストーリーが展開していく。登場人物の台詞に括弧が無く、慣れないとストーリーに着いていけないので、かなりの集中力を要する。
風俗店アルバイトで27歳の上田朱美が同棲相手に殴打され、殺害される。同棲相手の供述から朱美が未解決の12年前のクリスマスの朝に起きた野川の老女殺人事件に関わっていたのではないかという疑いが浮上する。
警察大学校の教授を務める合田雄一郎は、12年前の事件で殺害された老女の栂野節子の絵画教室に通っていた朱美の美しい姿を思い出す。そんな中、警察大学校の合田の近辺に12年前の第一容疑者であった、当時16歳の浅井忍が何度と無く姿を見せる。
本体価格900円
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自分の一番好きな作家は、髙村薫さんです。単行本版での登録をしていなかったので、こちらで書きます。
先ず、興奮しました。(発刊同時)髙村薫の新作を読める!と思っただけで、心臓がバクバクでした。
一作前の「冷血」(自分のベスト1)から、コミカルな「四人組がいた」と純文学の「土の記」を経たからこそ、このハイブリッドな傑作が産み出されたように感じます
(つづく) -
理由は読めばわかると思うが、ある技法のおかげでとても淡々とした読み口になっている。それがまた、いい。
初めに提示される地図を見て「まじで!?」となった。東八道路なんて飽きるほど走ってるし、多磨駅のあたりも知ってる。『照柿』もそうだったけど、東京西部・多摩地域多いなあ、と思いながら読み進めていて気付いた。そうでした、髙村女史は国際基督教大学のご出身でしたね。もしかして学生時代に野川公園を歩かれたのかしら、と想像しつつ、下巻へ。 -
たしか初めて出会った時(「マークスの山」)はお互い20代だったような…それが今では50代とは。なのでなんとなく親近感もある合田雄一郎シリーズの文庫最新刊。主人公と一緒に歳を重ねるなんて、そんな読書経験なかなかないのでは。
しかも舞台は、土地勘のある武蔵野、多磨周辺。多磨駅は新しくなったけど、島へと向かう飛行機が飛んでいく風景は変わらず。
どんな結末になるかはまだまったく予想できないけど、シリーズは続く形で終わってほしい。
著者プロフィール
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