天使はブルースを歌う―横浜アウトサイド・ストーリー

著者 :
  • 毎日新聞出版
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620313849

作品紹介・あらすじ

ブルースの街のもうひとつの戦後史。伝説のGS(グループ・サウンズ)「ゴールデン・カップス」。白塗りの孤高の娼婦「港のメリー」。「GIベイビー」と呼ばれた混血児たち。戦後横浜の鬼っ子(エイリアン)を通して、ブルースの街の光と影を描く、著者初の書き下ろしノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  •  横浜のメリーさんのことが知りたくて、前々からこの本を読もうと思っていました。でもこの前に読んだ本のほうが詳しく書かれていたので、ほとんど新しい発見はありませんでした。でも最初にこの本を読んでいれば、違った感想になっていたと思いますのでおすすめはします。
     根岸外国人墓地の件は興味をひかれました。
     ゴールデンカップスというグループには全然興味なかったし、読み終えても興味が湧きませんでした。年代が違い過ぎました。

  • 戦後の横浜の辿ってきた道が肌で感じられる、読み応え充分の一冊でした。メインとなっている話は白塗りの娼婦「浜のメリー」と伝説のGS,ゴールデンカップス。そして、根岸外人墓地に葬られた混血の嬰児たち。敗戦の悲劇と復興の中での、怒涛のような時代の変遷が描かれ、そこが一番面白かったところでした。山崎さんは団塊の世代。戦後になってガラッと変わった価値観に親の世代がジタバタ抵抗し、子どもたちを堅苦しく縛ろうとしているあたりが妙に新鮮だった…。親たちは、終戦までは、女性に参政権がなかった世代で、これは知ってたはいたけど改めて考えるとなんて時代だったんでしょう・・。もし戦争に負けていなければ、その後もずっとなかったのかも。で、そんな時代を過ごしてきた親の世代とアメリカの価値観がどっと入ってきた戦後生まれの山崎さんの世代が語る言葉は違って当然だったんだなぁ、と。メリーさんに関しては、偶然だけど、映画「ヨコハマメリー」を先に観てしまっていたので、正直、目新しいことはなかった。読みながら、映画の映像が浮かんできてしまったのは仕方ないよね。ただ、カップスについては、ずっとエディと気まずい思いをしながらもインタビューさせてもらえていたおかげで、興味深いエピソードがたくさん書かれていて、それが嬉しい、嬉しい。これも映画「ゴールデン・カップス」で観た映像が本を読みながら浮かんではいたけれど、エディの人となりの描き方は(というよりカップス全員の描き方は)丁寧で、暖かく、かつ冷静でとても面白かった。いかに彼らがGSの枠からはずれていたか、いかにカッコよかったか。時さん、ことデイブがカップスを作り、自らリーダーとなりながらも、メンバーをまとめようとは思っていなかった、というのも面白いなぁ。マーちゃんの恋の話もよかったし。根岸の外人墓地に関する役所の事なかれ主義にはあきれるばかり。あれから少しは動いてくれたんだろうか。お金持ちの子ばかり集め、好き放題に音楽をやる!というデイブのもくろみが可笑しかった。(#^.^#)マモルはルックスも大きな要素だったみたいだけど(私、マモルのこと、ハーフじゃない、なんて疑ったこともなかった。でも、デイブも含め、本当に全員ハーフだと思っていた私って純情だったんだね…。)そんな彼も音楽上のことで、舞台の上でメンバーと喧嘩するほど熱いヤツだったとはね。横浜は敗戦によって栄え、ベトナム戦争の終結で普通の町になった・・・。それは、あぁ、よかったね、と言わなくてはいけないことなんでしょう。

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著者プロフィール

1947年、京都府宮津市生まれ。横浜市在住。コピーライター、児童読物作家、脚本家を経て小説家に。1986年『花園の迷宮』(講談社)で第32回江戸川乱歩賞を受賞。小説、エッセイ、ノンフィクション、舞台脚本、演出など多数。小説に『横濱 唐人お吉異聞』(講談社)、ノンフィクションに『横浜の時を旅する ホテルニューグランドの魔法』(春風社)、『誰にでも、言えなかったことがある』(清流出版)など多数。2010年NHK地域放送文化賞受賞。

「2019年 『天使はブルースを歌う』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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