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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784620314983
感想・レビュー・書評
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アン・ライスのニューオーリンズ、ゼルダ・フィッツジェラルドのモンゴメリー、フラナリー・オコナーのサバンナ。文学と土地の関係を翻訳者目線で読み解いていく、アメリカ南部にまつわるエッセイ集。
やっぱり翻訳者のエッセイは面白い。旅行記でありつつ話はいつも文学に横滑りしていく。ニューオーリンズはカトリックの街だからこそアン・ライスが新しい時代の吸血鬼像を生みだし、ポップアイコン化されていったこと。ケイジャンは「アーケイディアン」から来ていることなど、語りだしからグイッと惹き込まれる。ポーボーイやダーティーライスなど、アンダーソン夏代『アメリカ南部の家庭料理』で知ったばかりの食べものがでてきてヴィジュアルがパッと浮かぶのも嬉しい。
青山さんの語りは旅で実際に見たプランテーション農園やゴーストタウンの景色と、文学や映画のなかの南部の世界のあいだを飄々と行き来する。文学者じゃないけど、ジョージ・ワシントン・カーヴァーという20世紀初頭の黒人植物学者かつ発明家が気になった。土を消耗させる綿花だけではなくピーナッツやサツマイモを普及させようと、石鹸やインクなどに使う方法をいろいろ考案し、エジソンにも一目置かれていたという面白そうな人。『バンヴァードの阿房宮』にでてきそうな感じかと思ったが、Wikiを見たら普通に偉人だった。
ゼルダは読みたいと思いつつ手をつけられてないけど、「彼女は花を書くと興奮しだす」例として挙げられている氾濫するような植物描写の羅列は、『ドリアン・グレイの肖像』の冒頭や森茉莉に共通する香りと色の美学を感じる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
アラバマ、ミシシッピ、ルイジアナ、ジョージア…数多くの小説が生まれる場所、ブルーズの聖地、ヴァンパイアの都、怪しく美しいアメリカ南部をめぐる、みんな南の話。
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アメリカ南部特にニューオーリンズの生の様子が分かる本。フィッツジェラルドとゼルダの話も出てきて興味深い。しかし、マルディグラというお祭り?は凄すぎると思った。KKK団とのからみの気づきも含めて。
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アメリカ南部というのも、へんな作家、へんなお話のいっぱいあるところで。
吸い込まれそうなへんさが癖になります。 -
アメリカ南部にまつわる本や映画、にまつわる著者の南部への感想(感傷?)を綴ったエッセイ集。
うおー里心がつくー!と叫びだしたくなるくらい、土地々々の雰囲気や匂いってもんを的確に捉えてる、って私、南部はおろかアメリカ大陸に足を踏み入れたこともないんですが? まあそれくらい、空気の匂いまで立ちのぼって来る文章だということですね。いやあ行きたくなるねえニューオーリンズ。
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