愛と痛み 死刑をめぐって

著者 :
  • 毎日新聞社 (2008年11月29日発売)
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本棚登録 : 78
レビュー : 11
  • Amazon.co.jp (112ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620318820

作品紹介・あらすじ

私たちは"不都合なものたち"を愛せるだろうか。私たちは他者の痛みを痛むことができるのだろうか。死刑の本質をあぶりだす新たな思考。

感想・レビュー・書評

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  • 桜会=急進は軍人が右翼思想家・大川周明らの影響のもとに旧軍隊内につくった国家改造をめざす秘密結社とも秘密フラクション(分派)ともいわれる 1030年組織、三月事件・十月事件について2008年12月2日の神戸新聞に寄稿

  • 死刑は戦争と同じ国権の発動としての殺人であり、私達はそれを超越しなければいけない。死刑制度を容認するのは個が溶解した世間であり、世間から突出して思考せよと促す。ラディカルな死刑廃止論であり、詩情のあるエッセイでもある。

  • 軽くは読めない。死刑自体についてというより、死刑を執行する人の苦しみが発生するという点で、私は死刑に賛成できない。

  • 断捨離本で、よし。

  • 「死刑」という言葉が軽く使われる社会は堕落していると思う。もう少し考察していかないと。

  • 究極的に言えば死刑反対を叫ぶ本。個人としては存知派なんで読んでる中かなりイライラしたが、反対派が何を想い、そしてどのような理屈で死刑廃絶を訴えているのかよく分かった。
    正直、著者とは相容れないなと実感したが、注釈が非常にしっかりしていて、中立の視点で読めばなかなか面白い。
    100p強と薄いのでさらっとも読めるが、行間にも考えるところがある。

  • 本書は、2008年4月に、「死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム'90」主催で行われた、講演会「死刑と日常−閾の声と想像の射程」を改題&大幅修正補充されたものだ。
    「死刑と日常」なら手に取らなかった。が、果たして「愛と痛み」でうかつに手に取ってしまったことが私にとってよかったかどうか。思想がないわけではないけれど、まぁ日々気楽に暮らし、ややこしいことはなかったことにしておく私には色々考えさせられる1冊であることには間違いはない。
    本書に書かれていることは、辺見庸のぶれない信念やら思考に基づくもので、それが絶対的な本質あるいは真理なのかはどうだろうか。正直私にはわからない。というよりも、他者の痛みは推し量ることはできても100%痛むことはできないと思うがいかがだろうか。とはいえ、感情論を排除して「死刑」ということを考えた時、果たして刑なのかな?とは思っているので、非常に理解できる。裁判員制度が始まり、「市民感覚」で人を裁くことの恐ろしさを感じているが、裁判員に選出されている人におすすめしたい。
    辺見氏の論調に賛同する、しないは別として、内省できていいのではないだろうか。
    写真は森山大道のモノクロ写真が使用され、内容と相まって我々の心にずしんと響く。本文、写真ともに、研ぎ澄まされているのに泥臭い点も魅力的。

  • 辺見庸の講演会「死刑と日常」に加筆修正されたもの。元が講演会なので平易な言葉で語られており分かりやすい。分かりやすいけれど、その内容は深く難しい。私たちは普段の生活の中で「死刑」と言うものに関して無意識である。賛成であろうと反対であろうと、それは自分の今の生活とは全く別のところで意識されるもので。そしてその日常の中では、世界が滅びるであろう時であってもサプリメンとを飲み、DVDを返しに行き絞首刑が執行される。世界的に死刑が廃止されていく流れの中で、日本では当たり前のように死刑が執り行われ続ける。それは日本人が「世間」という世界の中で生きているからだという。「死刑」に反対か賛成か。いろんな意見を聞くたびに自分の意見も揺れる。正直言って分からない。分からないけど、分からないなりに考えることは必要だと思う。5月から裁判員制度が始まる。そのときに自分は何を基準に判断するのか。たくさんの情報をできるだけ自分の中に取り込んでおく必要があると思った。

  • <b>痛みを共有することができないという絶望的なほどの孤独をかかえて私たちの生はある。ならば、その孤独にうちのめされながら、なお他の痛みを共有しようとする不可能性にこそ私は愛の射程を見いだすのです。</b><br>
    (P.22)<br>
    <b>私は刑場すら見たことがない。だからせめても私はくりかえし想像します。刑場を、刑場の色を、刑場に鳴る音を、刑場にある温度を、刑場にあるにおいを、私はくりかえしくりかえし想像するのです。</b><br>
    (P.36)

  • 平成20年12月12日購入

    もの食う人々もすごかったが
    この本もすごい。

    「死刑は許されない」とか
    「愛」とは共有しえない、という意味で「痛み」と同質だ、とか
    そう考えたことはある。
    しかしあまりにも感覚とかい離して
    少し悩んだ末、まあ投擲せざるをえんなあと思っていた。

    まさにこういう態度が糾弾されている。

    非常に真摯な態度が伝わってくる。
    まじめさこそ考える源泉だと改めて思う。

    失礼な話だが
    辺見さんが倒れた時にもう死んだものと思っていたので
    本が出てうれしかった。

    ぜひ今後の活躍も期待したい。

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著者プロフィール

1944年宮城県石巻市生まれ。早稲田大学文学部卒。70年、共同通信社入社。北京特派員、ハノイ支局長、編集委員などを経て96年、退社。この間、78年、中国報道で日本新聞協会賞、91年、『自動起床装置』で芥川賞、94年、『もの食う人びと』で講談社ノンフィクション賞受賞。2011年『生首』で中原中也賞、翌年『眼の海』で高見順賞、16年『増補版1★9★3★7』で城山三郎賞を受賞。

「2021年 『月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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