残酷人生論

著者 :
  • 毎日新聞社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620320229

作品紹介・あらすじ

あなたはまだ知らないのか?二〇一〇年代を生きぬくヒント。『14歳の君へ』の池田晶子、魂の一冊が、いま増補新版でよみがえる。

感想・レビュー・書評

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  • 「私」が考えているというのと、考えているのが「私」であるというのとは、似ているようで、違うのだ

  •  心に響くから、しっかり手元に残そうとするのだけど、握りしめることができない、振り返ってもその影も見えない。
     でも、心は震えている。

     立ち止まらずにいられなかった言葉は、折に触れて誦じて見ることにする。

     

  • ものを考へてゐると、やはりこのひとのことばに触れたくなつてしまふ。こと、家の中にゐろやれひとと関はるなと頼まれなくてもしてゐることだが、ものを考へるこの日々に変はりはない。
    外を何気なく歩けば、あたり一面緑でいつぱいだ。そのひとつとして同じ色はない。時間といふのはどこかにあるわけではない。季節が巡るといふのは、どこまでいつても生きるものの歩みである。生きてゐるのもなしに時間はない。
    時間の不思議は、それを飛び越えて生きること死ぬことといふ場所にたどり着く。そして、そこから、存在といふ宇宙に放り出される。在ることしかできないが、それは存在しない果てしない海があつてのこと。さうして、その海を漂ふ、他でもないこの自分へとまた着地する。
    神様は信じることではなく、ひとつの事実以上の何ものでもない。この自分がなぜ自分であるのか。どういふわけか、このやうになつてしまつてゐる。疑ふことは同時に疑ふこの存在を信じなければならない。
    生きることを考へてゐると、さうして一度ぐるつと回つてきて、目覚める。さうして辺りを見回すと、光の暖かさ、風の心地、葉の柔らかさ、水の冷たさがもう驚きでいつぱいになる。そして、生きてそれらを感じてゐたいと願つてしまふ。いつかは死ぬ、さういふ残酷な定めだからこそ猶更。事実を、存在をその通りに知ること。残酷だが、これがすべての始まりだつた。

  • 「情報によって満たされる生活とは、情報がなければ空疎な生活。知性も同様、外からの情報なしでは考えられない知性が、ほんとに賢いことなのだろうか」なるほどな。感じ、考え、創造する。驚きと疑いを持つって大事だな。グサグサ来た。

  • 池田さんを象徴する一冊らしいです。時折、鋭い一節はありますが、わかるようでわからない、わからないようでわかる…そんな感じです。仏教のエッセンスは「考えないこと」、でも池田さんは「考えろ!」と言う。でもこれは決して相反するだけものではありません。

    池田さんの本に、人生の答えは書いてません。池田さん自身も考え続けただけだと思います。ただ考えること、問いかけること、それを現在において続けることが一番良い人生と解釈しています。

  • 考えることは、悩むことではない

    わからないことを悩むことはできない
    わからないことは考えられるべきである
    人生いかに生きるべきか、と悩んでいるあなた、あなたは人生の何をわかっていると思って悩んでいるのですか

    相変わらずの池田節で満足

  • 著者の書籍は何冊か読んでいましたが、こちらも意味深なタイトルが気になり、購入しました。印象に残ったフレーズは、「考えることは、悩むことではない」「人が悩むのは、きちんと考えていないからにほかならず、きちんと考えることができるなら、人が悩むことなど、実はありえないのである」「幸福な魂は、金満であれ清貧であれ、幸福だろう。不幸な魂は、金満であれ清貧であれ、不幸だろう」「私の言う努力とは、外的なあれこれによらなくても、いかなる境遇にあろうとも、それ自身で常に幸福であることができるための、魂の努力である。」です。筆者は哲学者であり、特に存在論に強い関心があったようで、晩年はこの「魂」の概念にたどり着きます。なかなか筆者のような強靭な思考体力を持ち合わせていないので、ちょっとしたことで、悩んでしまいますが、筆者の言うように、悩む前に考えること、外的環境ではなく内面の平穏を意識するようにしていきたいです。人生について考えたい人におすすめです。

  • 当たり前のことを当たり前だと信仰せず、疑う。
    疑って、考えて、信頼出来るか。2周して出発点にようやく辿り着けました。

  • 哲学

  • まあいつもの池田節なのだけど、それをひたすら繰り返されるとちょっとうんざりしちゃう。
    あと久しぶりに著者の本を読むと、中途半端感もあり。死者は何も考えない、ということを前提にしているが、そうなんだろうか。そうだとは思うんだが、哲学者なのであれば、そのへんから疑うべきでは、などと思った。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科卒業。文筆家。専門用語による「哲学」ではなく、考えるとはどういうことかを日常の言葉で語る「哲学エッセイ」を確立して多くの読者を得る。とくに若い人々に、本質を考えることの切実さと面白さ、存在の謎としての生死の大切さを語り続けた。著書多数。2007年2月23日没。

「2022年 『言葉を生きる 考えるってどういうこと?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

池田晶子の作品

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