ボクは吃音ドクターです。

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  • 毎日新聞社 (2011年2月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (248ページ) / ISBN・EAN: 9784620320366

感想・レビュー・書評

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  • 吃音に悩んでいた筆者が医者になった経験と、吃音に対する真摯な想い、同じ仲間の悩みに対する想いがしっかりと書かれている。

    吃音という症状に対して、吃音を持っている人たちがどのように向き合い苦労しているか、吃音がない身としてはあまり気にしたことがなかったが、この本を読むとその一端がうかがえる。

    社会が、コミュニケーション力をより求めるようになっている現代社会において、言葉が出にくいという状況は不利な状況だ。私も少しまえにNHKのドキュメンタリーで吃音の方の就職活動を観て、本人たちにとって深い問題であることを初めて知った。

    そんななか筆者は、「どもってもいいんだよ」というシンプルなメッセージが吃音者を救う、自分を否定しないこと、肯定すること、自分が話せないことを明確に表現することが重要であること、話す内容が大事であること、悩みを分け合って苦しみを分担んすることが大事だという。

    よくこのような本は、筆者のことが超人や偉人のように感じてしまうものだが、そのような印象は感じない。
    等身大の人間が、我々と同じ目線で、語る。だからこそ心に響く。
    この本にはそのような力があると思う。

  • 私も吃音症なので、過去の記憶が何度もフラッシュバックした。


    オペラント学習とは?
    子どもが汚い言葉を言う→親が反応する
    A→Bの動作でさらに行動Aが強化されてしまうこと。
    対策として、Bをしないことつまり反応しない。


    前半とあとがきは再読する。

  • 私も吃音なのでとても参考になりました。自分の吃音とうまく付き合っていきたいと思います。

  • 筆者の吃音にまつわる自伝と、吃音である人やその周囲の人に向けてのメッセージが書かれた本。
    私も吃音なので、この本に書いてあることはとても当てはまり、共感できます。吃音について詳細に記載されており、知識を深めることができました。
    吃音である人へのメッセージが、とても的を得ています。自分が心がける点をまさに突つかれた感じです。
    悩みが解決するかしないかは読む人それぞれだと思いますが、吃音に対する視野が広がる良い本だと思います。もっと若い時に読んでおきたかった!

  • 配置場所:摂枚普通図書
    請求記号:496.9||K
    資料ID:95120161

    ※2013年4月の「闘病記」でも取り上げました。

  • 吃音の実態をはじめて知った。学校にお勤めする身として恥ずかしい。
    なんとなく、おちついてゆっくりしゃべれば話せるもんだと思い込んでいたがまったく違った。
    身体からくるものと、精神からくるものがありそうだけど、しっかりした原因がわかっていないことも初めて知った。
    「軽い方だから気にしすぎですよ」に傷つく、というのはよくわかる。耳鳴りも生き死にに関わらないからよくそう言われる。患者にとってはそれが一番の悩みだったりするのに。
    寛解、ということばを使うのもイメージがしやすかった。
    また、オペラント学習が興味深かった。注意ばかりされるとそれに気持ちがいって、ますますその行動をしてしまう、というのは避けねばならない。よいことをほめ、アピール的ないたずらに反応しないと読み替えた。いいこと、もさまざな尺度のものを使って、ある行為だけが正しいと思わせないようにすることも必要なんだなあ。
    ずっとつきあう病気、のようなものは実はたくさんあるんだろう。どう軽減させるか、どう向き合うか、付き合っていくかを真剣に考えたい。治すぞ!!!というのだけではなく。

  • 吃音のあるお医者さんが書いた吃音の本。

    吃音を治したい一心で医学部を受験し、医者になり、

    その後臨床から研究に身を移し、今も吃音治療の研究をしている

    著者の、苦悩とその克服。吃音の悩みを抱える人々へのメッセージで

    つづられた著書です。

    「どもる」人がどれほどそのことゆえに悩むのか、

    読んでいて気の毒になるほど、辛い思いをしていることが分かります。

    「どもり」を隠す為に大変な努力をしたり、「どもり」ゆえに

    強い疎外感を感じたり、周囲が知らないところで大変な苦労をしていることが分かります。

    また、自助グループとして「言友会」があり、吃音で悩む人たちの

    大きな心の支えとなっていることも知りました。

    また、「言語聴覚士」という国家資格者が吃音の治療を行うこと。

    診断は、耳鼻咽喉科の医者が行うことなどを知りました。

    今振り返って思うと、彼、彼女は吃音だったのか・・・と理解できる

    こともあります。

    障がい者という範疇には入れられていなくても、職業的にも

    不利になっていることもあると思います。

    吃音者には、無理に訂正を強制すべきでないとか、からかったり

    非難したりせず、どもりも許容していく周囲の理解の大切さも知りました。

    どもることを気にするよりも、言うべきことをしっかりと伝える、

    その中身が大事だというコミュニケーションの基本を大切にしていくべき

    という著者の言葉には、頷かされるものがあります。

  • 当事者の視点から吃音というものを分かりやすく説明している。是非、一度読むべき本

  • "日本人の吃音者のために書かれた最良の本"

    【選書理由】
    作家 重松清さん 絶賛!という帯に惹かれて。

    【感想】
    私が吃音に関する本を挙げるとするなら、
    フレデリック.P.マレーの「吃音の克服」と、重松清の「きよしこ」である。
    前者は言語聴覚士の書いた、後者は作家が実体験を元に書いた、
    数少ない吃音に関する本である。
    しかし、どちらも"分かち合える"本ではなかった。
    「吃音の克服」はまず国が違うし、ちょっと小難しい。
    「きよしこ」のような小説はストーリーを重視するため、
    どうしても吃音者の内面・描写に物足りなさがあった。
    でも、この本は吃音者の気持ち・思いをまっすぐに書いてある。
    誰もが経験したことのある感情を書いている。
    故に、"分かち合える"。分かち合うことで、少しだけ、楽になる。
    吃音者の方、吃音者の内面を知りたい方、オススメです。

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著者プロフィール

九州大学病院 耳鼻咽喉・頭頸部外科 助教 医師 医学博士
Facebook:https://www.facebook.com/yoshikazu.kikuchi.92

中学1年生の時に、「吃音の悩みから救われるためには、医者になるしかない」と思い、猛勉強の末、鹿児島ラ・サール高校卒業後、1999年九州大学医学部に入学。医師となり、研修医を2年間終えた後、2007年に九州大学耳鼻咽喉科に入局。2008年より九州大学大学院に進学し臨床神経生理学教室で、「脳磁図」を用いた吃音者の脳研究を行い、今まで4度国内外での受賞をしている。吃音のある人の診察経験は500名以上。全国各地で吃音の講演会を行い、吃音の啓発に努めている。医師の立場で吃音の臨床、教育、研究を精力的に行っている吃音の第一人者である。


「2022年 『もう迷わない! ことばの教室の吃音指導』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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