組織の思考が止まるとき ‐「法令遵守」から「ルールの創造」へ

著者 :
  • 毎日新聞社
3.71
  • (6)
  • (17)
  • (13)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 144
レビュー : 18
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620320373

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 組織論と思って読み始めたら、がっつり法律関係の用語が飛び交うという事態になってしまう。そもそも郷原氏が組織論?と不思議だったのだが、その時点で気づくべきだった。

    法律用語が容赦なく飛び交うので、法学の心得がないと難しい。私は理工系出身なので読み進めるのを何度も諦めかけた。(しかし、郷原氏は理工系の学位も持つ異色の法律家である)

    しかし、内容は非常に緻密で切り口も鋭い。厚労省の村木氏の冤罪事件から検察という組織に対する体質の問題に切り込み、そこから一般の組織へと視野を広げ、コンプライアンスという普遍的な問題として捉えることにより、組織の不祥事が起こるプロセスや、発生した場合の対応方法を丁寧に検証している。

    そして、広義の「法」に対して、ただ盲目的に守ることだけでなく、それが現実にそぐわない時の対処にも触れる。この辺りは、日本では「法」はお上や上層部から降りてくるものという意識に警鐘を鳴らすものといえるだろう。

  • 著者が某ビジネススクールの社内研修にたったことを読んで、以前から興味を持っていた。検察出身の著者は大阪地検が扱った郵政不正事件を中心にして、検察の組織のあり方を徹底的に追求しながら、世の中の組織のコンプライアンスのあり方を説いている。
    多くの組織の第三者委員会に参加して指導してきた著者は、コンプライアンスは「法律遵守」ではなくて、「社会の要請に応えること」であると言い切る。
    この説明はとても納得が行くもので、盲目的な法律遵守は返って本当のコンプライアンスに適さないとも言っているのは、まさに意を得た感じがする。
    フルセットコンプライアンスの五要素として、・社会要請に応える方針、・組織体制、・組織が実際に機能すること、・治療的コンプライアンス、・環境整備コンプライアンスをあげる。
    また実例として、官公庁、医療、放送メディア、証券市場で起きたコンプライアンス関係の問題を使って説明するので理解しやすい。
    ただ出身母体への思いの強さからか、検察体制改革への提言が何度も繰り返して出てくるので、少し疲れる。
    ただ全体的には、このような問題を実地で扱う方が記した本として、大変示唆に富んだ内容だと感じた。

著者プロフィール

郷原 信郎(ゴウハラ ノブオ)
郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表
1977年東京大学理学部卒業。83年検事任官、公正取引委員会事務局審査部付検事、東京地検検事、広島地検特別刑事部長、法務省法務総合研究所研究官、長崎地検次席検事、法務省法務総合研究所総括研究官兼教官などを経て、05年桐蔭横浜大学法科大学院教授、06年弁護士登録、08年郷原総合法律事務所(現・郷原総合コンプライアンス法律事務所)開設。09年名城大学教授。2012年関西大学特任教授。
『青年市長は司法の闇と闘った』(KADOKAWA、2017年)、『告発の正義』(ちくま新書、2015年)、『検察崩壊~失われた正義』(毎日新聞社、2012年)、『第三者委員会は企業を変えられるか~九州電力「やらせメール」問題の深層』(毎日新聞社、2012年)、『組織の思考が止まるとき~「法令遵守」から「ルールの創造」へ』(毎日新聞社、2011年)、『特捜検察の終焉』(飛鳥新社、2010年)、『検察が危ない』(ベスト新書、2010年)ほか著書多数。

「2019年 『初級 ビジネスコンプライアンス 第2版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

組織の思考が止まるとき ‐「法令遵守」から「ルールの創造」へのその他の作品

郷原信郎の作品

ツイートする