ニホンのクルマのカタチの話

  • 毎日新聞社 (2011年3月22日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (160ページ) / ISBN・EAN: 9784620320441

感想・レビュー・書評

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  • 日本では珍しく、メーカーの中の人なのによく名前の知られた中村さんの本です。
    どう考えてデザインしているのか、という方法論が主に語られます。具体的なクルマに関する言及もそれなりにあって、なかなか楽しめます。特に、日産のみならず、「ニホン」のクルマのカタチとは何か?を世界に示したい、という意志が強く感じられて、良い感じです。
    日本のクルマメーカーだと日産とマツダしかデザイン的には見るべくもないので、日産には一方の雄として頑張って欲しいです。

  • 資料番号:011403193
    請求記号:537.1/ナ

  • 中村氏のクルマに対する愛情が自然に伝わってきて、気持ちよく読める本。日産車を無理やり押し付けるわけでもなく、とても客観的に自社のクルマを説明してくれていると思う。
    文中にあった「無意識を意識化することで、偶然が必然になる」「クリエイティブディレクター自らデッサンを描くと、それを実現するために部下を使うことになってしまう」の2つは名言すぎるので、自分にすりこみたい。

  • デザインとはカタチにすること。
    一瞬で直感的に伝えられる。
    カタチを最終的に決めるのは「つかうひと」と「つくるひとの」キモチ。
    日本のクルマのデザイン。
    世界に認められる日本独自のデザイン。

    キューブと牛車は日本のスローデザイン。
    平面的なデザインは日本のDNA。
    ひらがなの優雅さ。微妙なバランスの美しさ。

    スケッチを描かないでデザインをする。=デザインマネージメント。
    自分より秀でた人、物事を知っている人と一緒に刺激を与え合い、ものづくりする。

    プロジェクトのリーダーがスケッチを描いてしまうと、
    デザインの方向性が決まってしまい、広がりがでなく、発展しない。

  • 著者は、日産自動車のチーフ・クリエイティブ・オフィサー(デザインの総責任者)。



    日産は、他の自動車会社に比べて、ユニークなデザインの車が多いと思っていましたが、本書を読むと、それらのデザインにかける想いがわかります。

    以下、本書より抜粋。


    『私にはクルマのデザインができるのなら、どの国のどの会社でも同じというわけではありません。「ニホン」の「ニッサン」でデザインすることに絶対的な意味があると強く感じています。

    「ニホン」には世界に誇る文化と技術がある。「ニッサン」には、長い歴史があり、優れた技術があり、そして意欲あふれる優れたひとたちがいます。

    そのポテンシャルを最大限に生かして「ニホンのクルマのカタチ」をつくること。それをリードしていくのが、私の役割です。 』

    感動しました。
    私はエンジニアですが、エンジニアとデザイナーというのは、水と油のようなもの。
    そもそも話している言語が違う。
    だから、交わることは決してない。
    そう思っていました。

    ただ、世の中にいいクルマを生み出したいという想いは一緒なんですよね。
    だからこそ、エンジニアもしっかりとデザイナーの想いを理解することが非常に大事です。

    そんなことを本書を読んで考えさせられました。

    僕もデザイナーのポテンシャルを最大限に活かせるような技術を開発していこう。

  • どんなに強い想いも、伝わらなければ意味が無いし、結果に結び付かなければ意味が無い。それらと同時に、どんなにビジネスとして成功しても(売れても)そのプロダクトに思想や一貫した哲学が無ければ、企業としては人々を魅了し続けることはできない。昨今のNISSAN/INFINITI躍進の一因を学ぶことができました。
    すごく生意気な言い方になってしまうけど、この本を読んで「自分が目指すビジョンと著者が目指すそれは同じだ」と感じた。明日からも、今の自分にできることを確実にこなして、自分なりのアプローチで、果てしない道を一歩ずつ、一歩ずつ近づいていこうと思った。

  • 昨年の12月にS&S Cross Talk Eventで講演してくださった日産自動車 中村史郎CCOさんの著書(サイン入り♪)。
    中村さんに2時間あれば読み終わると言われながらも、読了するのに5か月を要してしまいました...。

    S&S Cross Talk Eventで中村さんの講演を聞いた時もそうですし、この本を通じても感じたのは、中村さんが好奇心や向上心に満ち溢れたコドモのキモチを持ち続けているオトナだということ。
    子どもの頃は、誰とでも友だちになれたように、今でも多くの方々と繋がり合うことで多様性を受け入れながら、自分自身やチームの可能性を探求し続けている姿勢に刺激を受けました。

    子どもの頃は何も考えずにできていたのに、なぜ、大人になるとできなくなるんだろう?
    自分は何を考えすぎているんだろう?

    利害関係とかでなく、「色々と知りたい」「新しいことを探求したい」という純粋なキモチが、常に新しい価値を創出する原動力なのだと感じた一冊でした。

  • 日産のデザインを統括するチーフ・クリエイティブ・オフィサー、中村史郎さんのデザイン論。というかデザイン・マネジメント論というべきか。昨年まで仕事で関わりのあった様々なクルマについて、デザインという視点からその成り立ちが語られていてとても面白かった。売れないデザインはどんなにかっこ良くてもダメ.....そのとおりでございます。

  • 日産のカーデザインリーダーが
    いまのニホンのクルマのカタチを
    考察しています

    出てくるのは当然日産のくるまなのですが、
    どれもけっこういいかんじ!

    こんな本をちゃんと出せるくるま会社の方が
    もしかするとよく売れているくるま会社よりも
    数倍よいのではないか、
    と思いました。

    もっとも遅くみえるくるまの紹介(これはねらい通り!)や、
    スポーツカーやコンパクトカーなど、
    おもしろく読みました

    写真もけっこうよかった。

    それに、ブラッシュストローク(毛筆)でデザインイメージを
    表現できないくるまはだめ(とまでは書いてないが・・)というのは、
    とても説得力がありました

  • 日産のCCO(チーフ・クリエイティブ・オフィサー)中村氏のカーデザイン論。デザイン」から広がる世界の広さがわかると思う。車に興味がないからと敬遠していてはもったいない気がする本。デザインっていうのは、本当にカッコだけでなく、思想をカタチにすることなんだなー。

  • 関わる人間の数も多く、社会や環境に与える影響が計り知れない責任のある産業なだけに、
    その真ん中にいる人が何を考えているのかを知るには良い本。
    激しい競争の中で生き残っていくためとは言え、そんなに次から次へと新しいクルマをつくる必要は本当にあるの?という私の子供の頃からの疑問は晴れないまま。
    さらっと読めるけれど、やはりいろいろ考えてしまう。
    たぶんこの先世界が破滅するまでクルマは走り続けるのだろうけれど、
    次世代の電気自動車(EV)には明るい光も感じた。

  • デザインは作り手と使い手の共同作業であり、感激は使い手の期待を超えることである。そのためには使うひとのいうことを聞くのではなく、観察することである。

    エンジニアとして自分の技術が世の中に出ていくのを見ても、それがいかにデザインされているのかを知る機会は少ない。デザインは機密の塊だから。
    そんなデザインの最前線で活躍する中村史郎さんの話は新鮮で面白く、元々軽快な語り口は、本になっても変わらない。
    そんな中村さんのクルマ、特に日本車にかける想いに触れることができる一冊。

    ・クルマのデザイン
    クルマは、単なる移動の道具から生活スタイルを提案する商品に。その上で中村さんはデザインからプロモーションまで一貫して管理するいわばオーケストラの指揮者。日産のデザイナーを率いて多数の車種を担当し、多様性と一貫性をうまくバランスさせる
    ・デザインはアートとは違う
    デザインは設計するという語義、美しいカタチに優れた機能を備える。特に車は安全性、空力、室内空間などと綿密。
    ・ニホンのクルマのデザイン
    もともと自動車は地産地消、80年頃から輸出産業となり、個性・アイデンティティが薄れていった。
    日本は古くから多くの文化を吸収してきており、特にアイデンティティの自覚が薄い。故に日本はユニークでり、、日本独自の良さを世界に発信、輸出して世界にマーケティングしていくことで、世界を楽しくしたい

    デザインを仕事にする中村さんの言葉は内から溢れるものを感じる。その源泉を感じた一言。「カタチはすべてを一瞬にして直感的に伝える、内面から湧き上がったものが、表面に現れる」。
    デザインは、内面に秘めている想いが外へ溢れたものなんですね。

    中村さんの担当されたそれぞれのクルマに対する想いにも触れられました。この様なデザイナーの想いに触れられるのは、同じ作り手として非常に貴重でした。

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