新ビルマからの手紙 1997~1998/2011

  • 毎日新聞社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620321196

作品紹介・あらすじ

容赦のない迫害の日々にあって、ユーモアの精神を失わず、正常な心でくぐり抜けてこられたのはなぜだろう。私たちに強い連帯の心があったからだ。そのおかげで、私たちは背筋をまっすぐに伸ばし、苛烈な弾圧にあっても前進をあきらめずにいられた。自宅軟禁解放後初の長期連載エッセイ。

感想・レビュー・書評

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  • 文章が固いのと難しいので、一気に読んだら疲れました。少しずつ読む方がいいかもしれません。

    軍事政権の検閲が厳しかった当時、よく日本の新聞に連載することができたなぁと思います。
    もう難しいと思いますが、再び拘束された今、もしまた連載するなら今度はスーチーさんはどんな文章を綴るのかが気になります。

  • (2015.11.28読了)(2015.11.25借入)
    【ノーベル平和賞】
    2015年11月8日に実施された総選挙で、国民民主連盟(NLD)が過半数の議席を占めることになり、2016年3月末までに新しい政権を担うことになったとか。
    1990年5月に実施された選挙で、NLDが圧勝した際には、政権を渡しませんでしたので、今回はどうなるのかと思っていましたが、今のところ政権を渡すといっているようですので、推移を見守りたいと思います。
    1990年から、25年あまり経過しています。アウンサンスーチーさんが、ノーベル平和賞を受賞したのは、1991年12月です。24年前です。
    第一章は、NLDのメンバーが次々と逮捕投獄されてゆく、ということが書かれていて、軍事政権の民主化運動に対する弾圧の厳しさが伝わってきます。
    第二章になると、パガンへの旅行の話や絵画展を鑑賞した話が出てきますので、弾圧の時代は終わりつつあるのだろう、と思わせます。
    現在の憲法では、憲法を変えるには、議員の4分の3の賛成が必要ということです。
    現在の憲法のままでは、アウンサンスーチーさんは、大統領になることはできません。
    議員の4分の1は、軍部が握っています。この状態では、軍部の賛同が得られない限り、憲法を変えて、アウンサンスーチーさんを大統領にすることはできません。
    とりあえずの大統領を誰にするのでしょうか。今後が注目されます。

    【目次】
    まえがき
    第一章 1997年1月6日~1998年6月1日
     新年事始め
     独立から連邦へ
     夏
     闘う女孔雀
     過渡期
     万華鏡
     ベテラン
     党大会
     生ネタ
     独立五十周年
     読書サークル
     日本の援助再開
     チェコ人と私たち
     総選挙記念日
    第二章 2011年1月1日~12月24日
     今日と向き合おう
     名もなき英雄たちよ
     動物の話
     日本のみなさまへ
     終わらぬ「旅」としての人生
     二十年ぶりに休日 古都パガンへ
     休暇が休暇でなくなった寺院への参拝
     日本のNPOが井戸を掘った森の中の村
     仏塔の都パガン 尽きない魅力
     「パゴタ」描いた絵画展を訪れて
     父のように接してくれたNLD創設者の死
    ビルマ(ミャンマー)略年表
    あとがき  飯田和郎

    ●インフレ(50頁)
    主婦は市場から戻ってくると、つい前日に買い物に出かけたときと比べてもあれもこれも値上がりしていたと、お祈りをとなえるように延々と文句を並べたてる。日々の家計支出が計算できないことは、暮らしの先行きをとても不安にさせる。
    ●仏教の教え(67頁)
    仏教の教えによれば、自分の秀でた点をひけらかし、他人の長所をけなすものは、よこしまな心の持ち主である。自らの道徳的清廉さをことさらに得意がるのは、真の徳からほど遠い心のしるしである。
    ●図書館(98頁)
    ビルマには本を貸し出してくれる図書館はほとんどない。一日いくらで本を借りられる店はいくつかあり、値段はそれぞれの本にどれだけ人気があるかによって決まっている。従って、懐の豊かでない人は大急ぎで読み終えなければならないことになる。
    ●政治囚(135頁)
    ビルマでは二千二百人以上の政治囚が投獄されたままだ。(2011年1月)
    そのうち、世界的に名前が知られているのはわずか二十人。それ以外の無名の戦士である二千人余は、黙々と懸命に民主化運動を支えてきたにもかかわらず、称賛を受けたことのない英雄たちだ。
    ●東日本大震災(145頁)
    大地、水、火、そして大気。世界を形作る四つの要素全てが一塊になり、日本に大惨事をもたらした。大地はとどろき、引き裂かれ、海からは葛飾北斎が描いたようなとてつもない大波が押し寄せ、強震に見舞われた海岸線に容赦なく襲いかかった。そして街をむさぼるような炎。四重苦の最後は、放射性物質を運んだ大気だった。

    ☆関連図書(既読)
    「ビルマの竪琴」竹山道雄著、新潮文庫、1959.04.15
    「ビルマ敗戦行記」荒木進著、岩波新書、1982.07.20
    「アウン・サン・スーチー 囚われの孔雀」三上義一著、講談社、1991.12.10
    「ビルマ 「発展」のなかの人びと」田辺寿夫著、岩波新書、1996.05.20
    「ビルマからの手紙」アウンサンスーチー著・土佐桂子訳、毎日新聞社、1996.12.25
    「ミャンマーの柳生一族」高野秀行著、集英社文庫、2006.03.25
    「ミャンマー」乃南アサ著、文芸春秋、2008.06.15
    (2015年12月3日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    容赦のない迫害の日々にあって、ユーモアの精神を失わず、正常な心でくぐり抜けてこられたのはなぜだろう。私たちに強い連帯の心があったからだ。そのおかげで、私たちは背筋をまっすぐに伸ばし、苛烈な弾圧にあっても前進をあきらめずにいられた。自宅軟禁解放後初の長期連載エッセイ。

  • 毎日新聞で連載されていたスーチーさんの連載をまとめたもの。今年、ミャンマーに行こうと思っているから事前の知識づけのために読んでみた。紙上連載が始まった当時は大きな話題になったもので、当時わが家では毎日新聞を購読していたから第1回目を読んでみたけれど、それ以来読むことがなかった気がする。そして今回もざっくり斜め読みになってしまった。
    スーチーさんの教養高く美しい文章は、それだけに読み進めづらい(もちろん、それは自分の教養のなさを痛感するものであって、スーチーさんがお高くとまっているなどというつもりはないのだけど)。ミャンマーの歴史も地理も文化もほとんど知らないということもあるだろう。
    1997年から翌年にかけての連載では、圧政と闘わなければということを再三綴っていたのが、その後数年の自宅軟禁による中断を経て、再開した2011年には旅行に出かけたり絵画の話が出てきていて、ミャンマーが落ち着いて民主的になりつつある様子がうかがえる。
    1997年あたりを読んでいたときは、何と硬い言葉、硬い文章と思った。実は、スーチーさんは国際社会にはモテモテだけど、国内ではそんなに人気があるわけでも求められているわけでもないという話も聞いたので、この硬さでは庶民はついていくのが難しいのかもしれないとも思ったのだけど、2011年の文調からすると、やはり1997年当時は厳しい時代だったということだろう。
    そういった背景を知らずに読んでしまったのは残念。というか、読んだうちにも入らないようなものなので、ミャンマーをある程度知ってからもう一度読んでみようと思う。

  • スーチーさんのエッセイ集。
    ニュースなどで見かける政治家としてではなく、一人の人間としてのスーチーさんの価値観などが分かり、大変興味深い内容だった。

  • まとめて読むと、スーチーのモノの考え方、捉え方が非常によく分かる。
    貴重なエッセー集だと思う。

  • スーチーさんの毎日新聞連載をまとめた二冊目。
    途中、自宅軟禁の数年中断するが、2011年から
    再開されて、とてもうれしい。
    こんなにすてきなスーチーさんが国の民主化が
    なかなか進まず、頭のなかはそのことで一杯で
    あろうに、他の文化的な話題も記してあり、あとがき
    にもあるように、その文章が流れるように美しい。
    これは翻訳の方の手腕にもよるのだろう。すばらしい。

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