とにかく散歩いたしましょう

  • 毎日新聞社 (2012年7月24日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (208ページ) / ISBN・EAN: 9784620321400

感想・レビュー・書評

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  • 2008~2012年にかけて、毎日新聞で連載されていた小川洋子さんのエッセイを集めた本です。

    普段のエッセイ集よりも本の話題が多いように感じました。
    きっとパーソナリティーをされているラジオ番組の影響もあるのでしょう。
    なんだか『クマのプーさん』を読み返したくなりました。
    小川さんを慰めてくれるイーヨーは、きっと私のことも慰めてくれるような気がするのです。

    エッセイを読んでいると、小川さんの小説に登場するモチーフや動物たちがちらちらと顔をのぞかせます。
    それらが小川さんの中でじっくりと醸造されて、あの慎ましやかな物語たちが生まれてくるのですね。
    しみじみと小川作品を読むことができる喜びを噛みしめるのでした。

  • 最近どっぷりはまっている小川さんのエッセイ。これももうすごくいい!最初から最後まで飴玉をなめるように小川さんの言葉を味わう。なぜだかずっと鼻の奥がツーンとしていて、時々涙が流れる。

    「〔る〕と〔を〕」
    子どもの作文って決まり文句ばっかりだよなあ、なんて思っていた私は、この一編に横っ面を張られたような気がした。「『今日、遠足に行って、楽しかった』という一文は、実はとてつもない名文なのだ。」ああ、そうだよそうだ。楽しいときは楽しいとしか言えないよね。手垢にまみれているのはオトナの言語感覚の方だ。作文の宿題はいつも、一行書いて後が続かず、涙目で困っていた小学生の時の息子を思いだし、とんでいって慰めてやりたくなった。

    「ハンカチは持ったかい」
    自立は大事だ。親子はいつか離れていくべきものだ。でもね、親というのは心配をやめることができないものなのだ。「親の立場にいる一人として私は言いたい。ただ心配するだけならば、どうか子供たちよ、親を許してやってほしい」この一文が心に刺さるのは、自分が親に対して心配をかけ、その心配を容赦なくはねつけてきたからだ。離れている子供たちもきっと、私の心配を煩わしく思っていることだろうな。

    「美しく生きた人」
    今回一番心に残った一編。アンネ・フランクの一家を自らの危険を顧みず援助し、アンネの日記が広く読まれるのに大きな役割を果たした女性、ミープさんの思い出が語られている。小川さんは彼女に会いに行かれたことがあるのだった。「ミープさんは美しかった。堂々としていた。自分が正しいと信じることをやりきった人だけが持てる、美しさだった」

    「涙と眼鏡」
    ここ数年以前に増して涙もろくなっている私は、「気がつくと、私も立派な涙もろいおばさんになっていた」と書かれていてなんだかほっとする。私も小川さんと同じく、通りすがりの学校から歌声やブラスバンドの音が流れてくると、もうダメなのである。聞こえてきた「ふるさと」のメロディから作者は「ガラスのうさぎ」の高木敏子さんのことを思いだし涙が止まらなくなる。私も一緒に泣く。

    他にも、田辺聖子さんのパーティのこと、はやぶさの帰還のこと、老犬ラブのことなどなど、しみじみ味わい深いお話がいろいろ。となりに座ってその声を聞かせてもらっているような深い満足感があった。

  • 「家族と山歩き」がテーマの雑誌(ランドネ2025年5月号)で紹介されていて、読みたくなった本。
    本当は山歩きに行きたいんですよ…けど、まぁ今はなかなか難しいから、「とにかく散歩いたしましょう」くらいが、今の私にはちょうど良いんだろうな。
    日常の何でもないことが、小川洋子の手にかかると、なんか美しく見えたり、微笑ましく思えたりするのが不思議。日本語が優しくて美しい。
    そして、その日常が、いろんな本に関連して紹介されているものだから、どんどん読みたい本が渋滞してしまう。
    とりあえず気になったのは、
    「奇跡も語る者がいなければ」
    「ねにもつタイプ」
    「気になる部分」
    「翻訳夜話」

  • 小川洋子さんと、気が合いそうな気がした本。
    一話につき一冊の、本にまつわるエッセイ。出てくる本が、好きな本ばかりで嬉しかった。

  • 小川洋子さんは、それほどたくさん読んでいるわけじゃないが、文章が詩的で美しいと思う。
    これは小説ではなくエッセイなのだが、毎日の暮らしを描写するだけでも、例え方とかが、まるで音楽のよう。
    私は綺麗なものには綺麗とか美しいとかしか言えないんだが、
    小川さんにかかると、そこにひとつの物語が現れるような気がする。
    ラジオで本の紹介の番組をもってらして、そこでの語り口もゆったりとしていて好きだ。
    小説家ってのは深く深く、いろんなものを視る、んだろうなあ。
    語りかける相手がいることの、救いを想う。

  • 真面目で穏やかな人柄が伝わってきます。
    文章が綺麗だからですかね、染み込んでくるような温かみがあり、読んでて安心、ホッとします。

    森鴎外の娘さんの話と
    イーヨーの話が好き

    あと、紹介されてる本も読んでみようと思います、星野道夫「旅をする木」とか。

    「私が目指すのは機嫌よく黙っていることである」と書かれています、きっと静かなひとなんやろなあ。

  • ・ハンカチは持ったかい
    ・本の模様替え
    ・散歩ばかりしている
    ・がんばれ、がんばれ
    ・オクナイサマが手伝ってくれる
    ・機嫌よく黙る
    ・自らの気配を消す
    ・夕食におよばれしてみたい人

  •  小川洋子さんのエッセー集は初めて。
     本のことや、当時飼っていたラブラドールのラブのこと、岡ノ谷先生の研究のことや、ご自身の作品のことなどがふれられていて、楽しく読めた。
     特に、執筆するときに小説の世界に浸るというか、その世界の様子を見て聴いて感じたことを<描いて>いるだけなので、私自身のものではないと言うところが小川洋子さんの作品の世界観(自分が勝手に思ってるだけ)だなと。ツバキ文具店だったり、リトルアリョーヒンだったり、標本士だったり、ミーナだったり、どの小説の主人公も彼・彼女らだけのオリジナルの世界を持っているからこうも惹かれるのかなとか思った。

  • 普通の日常がきれいな日本語で書かれている。
    特段凄いことはなにもないのだが、何故か読み進めてしまう辺り小川さんはやはり凄い方なのだと思いました。

    大御所とは思えないへりくだった文章も、個人的には好印象でした。

  • 小川 洋子
     毎日新聞社 (2012/7/21)

    エッセイも小説も読むたびに好きになる小川洋子さん
    ひかえめでやさしくて洞察力がするどくてなんとも魅力のある女性です

    幅広い好奇心とそれをつきつめていかれる
    そこに お人柄がにじみ出てて 堪能させて頂きました

    愛犬ラブ君とのふれあいがなんともすてきです
    もうラブ君はいないけれど

    犬との散歩 かけがえのないものでしょうね
    犬と家族になりたいなあ

    ≪ 行き詰る それでも歩く 愛犬と ≫

  • 小川さんはとてもお可愛らしい女性なのだなと、読んでいて感じた。ラブくんもとてもキュート!ひとつひとつが短いのですらすら読める。文が綺麗なのでエッセイであることを時折忘れてうっとりしてしまう…。

  • 小川洋子エッセイ。

    本の話、犬の話、ご本人の話と、優しい語り口ながらも作品と同じく、独特の眼差しを感じる文章。

    『人質の朗読会』や『猫を抱いて象と泳ぐ』など、他作品のネタも出てくるので、ほかの作品を読んでいたらさらに楽しめる。

    目次を読み返してみて、印象に残っているのは

    『盗作を続ける』
    『肉布団になる』
    『土に生贄を埋めた日』
    『フィレンツェの赤い手袋』(の店主)、

    その他にも、心に残る文章はたくさん。
    いろいろな本の話が出てくるので、
    たくさん本を読みたくなってくる、おいしい一冊。

  • 小川洋子さんのエッセイ集。
    エピソード毎に、本や映画が紹介されていて、以前から読みたい本リストに入っていた本のバックグラウンドが知れたのがとても面白かった。

    特にハダカデバネズミの説明で大爆笑してしまった。

  • 犬はご機嫌な生き物
    たしかに〜

    なんだか時々読み返したくなる言葉がたくさんあった
    我が家の愛犬の残りの命のことと一緒に過ごせる時間の長さを考えてツンともなった
    最後の最後あとがきにくっと引き込まれた
    散歩しながら図書館から帰りましょう

  • あぁ、書かなくちゃ。精進しなきゃ。
    といつも思っているんだなぁ。
    そしてあの素晴らしい小説が産まれているんだなぁ。

    表紙にも登場するわんこさんは後書きの頃のは虹の橋を渡っているらしいけれど、そこに残るぬくもりが感じられるエッセイ。

  • 小川洋子さんのエッセイ集。
    どの話にも過去の読書体験が紐づいていて、小川さんの引き出しの多さにびっくりします。
    表題作の「とにかく散歩いたしましょう」の愛犬ラブとのエピソードがラブとの散歩が小川さんにとってかけがえのない時間だったことを実感します。

  • P.71 [ザトウクジラの水しぶき]

  • ワンチャン飼いたくなる本

  • あまり著書を読んだことがないけど、Kindle unlimitedのなかで読みやすそうなので読んでみた。『盗作』『長編み、中長編み、長々編み』『がんばれ、がんばれ』『フィレンツェの赤い手袋』がすきかな。
    本を読んで、想像して、話を自分の考えたほうで記憶しちゃうのは、夢中になりすぎてるからこそなのかなと思った。
    「子供の頃着ていたパジャマの生地で作った、小さな巾着」のなかにある「好きな場面、登場人物、せりふなど」のビー玉の形で仕舞われてるっていうのが、すごくよかった。

  • 読みやすいエッセイ。
    これを読むと次々と本の中で
    小川さんが紹介してる本が読みたくなる。
    1話ずつが短くタイトルも分かり易い。

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著者プロフィール

1962年、岡山市生まれ。88年、「揚羽蝶が壊れる時」により海燕新人文学賞、91年、「妊娠カレンダー」により芥川賞を受賞。『博士の愛した数式』で読売文学賞及び本屋大賞、『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞、『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。その他の小説作品に『猫を抱いて象と泳ぐ』『琥珀のまたたき』『約束された移動』などがある。

「2023年 『川端康成の話をしようじゃないか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小川洋子の作品

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