沖縄-日本で最も戦場に近い場所

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  • 毎日新聞社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620321516

作品紹介・あらすじ

強化され恒久化される米軍基地、戦場さながらの軍事訓練、日米軍事一体化への企み…住民の苦しみと怒りの声を聞き、日米安保・地位協定・密約の闇を暴き、沖縄戦の記憶をたどりながら、戦争というこれ以上ない危険を負わされた沖縄の歴史と今を描く。

感想・レビュー・書評

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  • 日米「安全保障」条約によって、協定を無視した時間と爆音で頭上を戦闘機が飛び交ったりそれが学校に落ちたり銃弾が飛んできたり家や土地をとられたり機関銃の仮想の的にされたり轢き殺されてもレイプされても殴られてもろくに捜査すらされなかったりする沖縄の話。
    とってもあんぜんがほしょうされてるね!

    ちゃんと知れば、ひどいことだってわかる。
    たとえば宮森小にジェット機がつっこんだ事件の、小学生が悲惨な死にかたをした様子や、助けられなかった先生たちの苦しみを読めば、なんてひどいことを!と思う。
    だけどイラクで米軍に「誤爆」された子供をみて「まあなんてひどいのさて今日のご飯なににしよう」と思うのと同じくらい簡単に流せる本土の遠さを私は持ってる。
    沖縄の人が、これ以上いったいどうやったら伝わるんだろうと歯噛みする鈍さを、どうやったら鋭くできるんだろう。
    他人事すぎる「こちらがわ」が恐ろしい。

    米国が自国中心主義なのも人の命を屁とも思わないのも今更だけど、せっせとしっぽを振り続ける日本がどうにも解せない。

    現地の人を無視して強行に計画を進める。
    危険な情報は隠す。
    根拠は示さずに安全です大丈夫ですただちに影響はないと言い続ける。
    巨額の費用(日本の税金)をさしだす。
    危ないことはわかっているが経済的な依存もある。

    なんだこれ単語を入れ替えたらそのまま原発問題じゃん。
    住民が言葉を発せるだけマシかもしれないけれど。

    市民運動などの活動を黙らせるための訴訟を、SLAPP訴訟(Strategic Lawsuit Against Public Participation)というらしい。
    2008年、ヘリパッド建設反対の座り込み運動をした住民15人が防衛省(国)に訴えられた。
    県外の人も座ってるのに訴えられたのは住民だけ。しかも親が参加しただけで、本人は参加していないにもかかわらず7歳の娘まで訴えられた。
    "さらに国は、ビラやブログでの呼びかけ、マスコミ取材での発言までも、「第三者をして妨害行為をさせること」だと主張した。憲法で保障された言論の自由、表現の自由を虫する強引な主張としか言いようがない。こんなことがまかり通れば、自由にものが言えない社会になってしまう。(p70)"
    いみがわからない。こわすぎる。

    裁けないとか調べられないとか約束が守られないとか治外法権とかそういうものが密約によっていつのまにか決められているとか、基地内どころか普通の道路まで米軍が優先的に使うとか、なんで右翼は黙ってんのかな。尖閣なんかよりよっぽど明確に占領されてるのに。


    「由らしむべし知らしむべからず」は、上の人が正しいってことが前提になってる。
    妄信していい政府なんてないんだから、知らなくちゃいけない。


    「沖国大がアメリカに占領された日」
    http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4791761898

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著者プロフィール

よしだ・としひろ
1957年、大分県臼杵市生まれ。
ジャーナリスト。
ビルマ(ミャンマー)北部のカチン人など少数民族の自治権を求める闘い
と生活、文化を長期取材した記録『森の回廊』(NHK出版)で大宅壮一
ノンフィクション賞受賞。近年は、戦争の出来る国に変わる恐れのある
日本の現状や、日米安保・密約などをテーマに取材。
著書に、
『森の回廊  ビルマ辺境民族解放区の1300日』
(日本放送出版協会、1995年:NHKライブラリー 上・下 、2001年)、
『宇宙樹の森  北ビルマの自然と人間その生と死』
(現代書館、1997年)、
『北ビルマ、いのちの根をたずねて』
(めこん、2000年)、
『生命の森の人びと  アジア・北ビルマの山里にて
  理論社ライブラリー 異文化に出会う本』
(理論社、2001年)、
『夫婦が死と向きあうとき』
(文藝春秋、2002年:文春文庫、2005年)
『生と死をめぐる旅へ』
(現代書館、2003年)、
『民間人も「戦地」へ  テロ対策特別措置法の現実
 岩波ブックレット』
(岩波書店、2003年)、
『ルポ戦争協力拒否 岩波新書』
(岩波書店、2005年)、
『反空爆の思想  NHKブックス』
(日本放送出版協会、2006年)、
『密約  日米地位協定と米兵犯罪』
(毎日新聞社、2010年)、
『人を"資源"と呼んでいいのか 「人的資源」の発想の危うさ』
(現代書館、2010年)、
『密約の闇をあばく 日米地位協定と米兵犯罪
  国連・憲法問題研究会報告 第49集』
(国連・憲法問題研究会、2011年)、
『赤紙と徴兵 105歳最後の兵事係の証言から』
(彩流社、2011年)、
『沖縄 日本で最も戦場に近い場所』
(毎日新聞社、2012年)、
『ダイドー・ブガ 北ビルマ・カチン州の天地人原景』
(彩流社、2012年)、
『検証・法治国家崩壊  砂川裁判と日米密約交渉
 「戦後再発見」双書3』
(新原昭治、末浪靖司との共著、創元社、2014年)、
『「日米合同委員会」の研究  謎の権力構造の正体に迫る
 「戦後再発見」双書5』
(創元社、2016年)、
『横田空域  日米合同委員会でつくられた空の壁  角川新書』
(KADOKAWA、2019年)、
『日米戦争同盟  従米構造の真実と「日米合同委員会」』
(河出書房新社、2019年)他がある。

「2020年 『日米安保と砂川判決の黒い霧』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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