女子漂流 ーうさぎとしをんのないしょのはなしー

  • 毎日新聞社
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620322285

作品紹介・あらすじ

浪費、整形、ホスト…女の業を体現し続ける作家・中村うさぎと、"女戦線"からの離脱を切に願う"隠遁女子"作家・三浦しをん。ともに女子校育ち、だけど歩んできた道は正反対。そんな2人が、長い漂流の先に見つけたものは-赤裸々すぎるガールズ・トーク、ついに解禁。

感想・レビュー・書評

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  • 52歳になった中村うさぎと、30代の作家・三浦しをんの対談。
    面白おかしく、ぶっちゃけトークです☆

    横浜の中高一貫のミッションスクールの女子校に通っていたという共通点がある二人。
    それ以外は正反対に近いのだが‥
    同じクラスにいたとしても、派手なグループに属したうさぎと、地味なグループにいたしをんは友達にはならなかっただろうという。
    ただし、カーストというか、上下関係はなかったそう。
    うさぎ氏がブランド物を買いあさった原点は、そういうものをいっぱい持っている華やかな友達の輪の中にいて、そこまで買えない家庭だったから。
    (謎だったんだけど、なるほどね~そういう友達、いたことないわ‥)

    女子高では互いにずばっと指摘するようになるそうで、共学校出の人にそれをやると真顔で傷ついたといわれたとか。
    これは知らなかったです~姉妹みたいに遠慮のない仲になるんでしょうかね。
    それが自分の中に突っ込みを入れる魔女を育てることになり、自分の中の白雪姫(恋をすると出てくる)を昏倒させるというのが面白い。

    整形手術を重ねてでも女子力アップして、まだエロス権力をふるいたいという中村さん。
    対して三浦さんは、女子力を磨くのは面倒くさい、漫画が好きすぎて、他のことは実はどうでもよく、もてたいと思ってもいないのが本音という。
    皆、大陸に大勢のまともな人が住んでいると思って、プレッシャーを感じているが、実はそれぞれの島にぷかぷか浮かんでいるだけなのでは、と意見が一致。

    自分がすごく変わっているのではと心配している女性は、読むと少し安心できるかも。
    面白かったけど~万人にはあまりオススメできません。ので、★三つに。
    男性はショック受けるかもしれない?(笑)し~こういう女性は他に二人といないので、女性はこういうものだという参考にはならないと思うから^^;

  • いやぁ、すごい本だなぁ。
    もう三浦しをんさんのまえがきから面白くてすごくわくわくして、本編の対談はそれを上回るパワー。ここまであけすけな話って、したことない。

    私は三浦しをんさん寄りのような気がした。
    魔女が強すぎてお姫さまが使いものにならないという例えが他人事じゃないような(笑)
    もしくはお姫さまが夢見る夢子さん過ぎて呼ばれてることに気付いてないか…
    どちらにしろ使いものにならないのは同じ(涙)

    通勤時に読むつもりで鞄に入れて出かけたけど、外で読むには適さない本。
    特に第3章を職場で読めたら勇者でしょう。
    私は家で1人静かに読みました。

    漂流生活を楽しんでいるお二人の姿に勇気づけられました。
    私も悠々と漂流しようか(笑)

  • 中村うさぎ×三浦しをんの対談です。
    女子トーク…の一言では済ませられない赤裸々であけすけな内容に、目を白黒させつつ読みました。
    特に第3章はのっけから「うひゃ~っ」と顔が赤くなってしまう話題から始まり、それが延々と続くのです。

    …がいざ読み終えてしまうと、もっと読んでいたかったなぁ、というのが本音。
    お二人の話のテンポや、「魂の処女」「隠遁力」などの対談中に飛び出した言葉のおもしろさにはまっていたのでした。

    人生は漂流であり、男も女もぷかぷかと漂っている。
    大陸に普通の生活を送る人々(=マジョリティー)がいると思うから生きづらく感じるけれど、本当はみんな漂流してるんだから、大陸には誰もいないのだ!
    …という対談の着地点がとても清々しくて、気持ちのよい読後でした。
    私も自信を持って漂流することにしよう。。。

  • 女という性の落とし所を考えていたのだが、尊敬する三浦しをんさんが対談していたとは!共感する部分もあり、勇気を貰う部分もあった。私も好きな読書を続けていこうと思う。ありがとう。

  • 浪費、整形、ホスト…女の業を体現し続ける作家・中村うさぎと、“女戦線”からの離脱を切に願う“隠遁女子”作家・三浦しをん。ともに女子校育ち、だけど歩んできた道は正反対。そんな2人が、長い漂流の先に見つけたものは―赤裸々すぎるガールズ・トーク、ついに解禁。
    「BOOKデータベース」より

    中村うさぎさんのギラギラ感はちょっと苦手だ.でも、しをんさんの濃さをもってくると中和される感じがする.遠くから眺めている分には面白い.

  • 好き。スプーン一杯のくだりが面白かった。
    男子高校生っておバカなイメージだったけど
    女子も同じくらいのおバカだった。

  • 共に女子高育ちのふたりが、女の生き方をざっくばらんに語り合った一冊。結婚するかしないか、子どもを産むか産まないか、仕事は続けるのか辞めるのか、女にはたくさんの選択肢がある。でも「その代わり、女子は捨てた選択肢に常に復讐される」(うさぎ)。まるで自分だけが孤島に取り残されているような不安感に襲われ、もっと別の大きな場所に〝女子の正解〟があるんじゃないかと思い悩むこともある。だけど実のところ女って、皆それぞれ孤島に生き、そしてただただ大海を漂っているのではないか。それでいいじゃないか! という話。

    うさぎさんもしをんさんもだいぶ変態。

  • おっもしろーい。わははは!と何回も大笑いしながら読んだ。お二人は二十歳近く年齢が離れているし、どちらも女子校出身ではあるけれど、「派手なイケイケ島」(うさぎさん)「地味なオタク島」(しをんちゃん)と生息域も違うのに、話のはずむことはずむこと。「どちらも変態だから」とおっしゃっているが、いえいえ、二人ともちゃんとものを考えて、それを人に伝えようとしているからだと思う。

    一番笑って、しかも納得したのは、女子校では女同士のツッコミが激しいが(「男にケツふってんじゃねーよ!」とか)、それが「自分の中の魔女」を育てるという、うさぎさんの話。自分の中には根強くお姫様願望があるが、同時に「ひねくれたババアの魔女」もいて「何がお姫様だよ、フン!」って思ってる、と。

    うさぎ「魔女のあたしは、お姫様のあたしが大っ嫌いなの。なぜなら、恋に落ちると、途端にお姫様がしゃしゃり出てくるからですよ。ものすごい厚化粧して、『お呼びですかぁ~?』って」

    お姫様は必ず騙され、魔女は「ああ、バカバカ!」と歯がみするが恋愛中は何もできない。恋愛が終わるとお姫様は無力になり、ここぞとばかりに魔女が出てきて「おまえが起きてるとロクなことになんないんだよ!」とお姫様をガラスの棺に突っ込む。で、次の恋に落ちたら、お姫様は仮死状態から蘇って、また厚化粧して「お呼びですかぁ~」。アハハハ!

    これに対するしをんちゃんの話にも笑った。

    しをん「それで言うなら、私はね、お姫様が厚化粧しようと化粧道具を広げようとした途端に、魔女が『テメー、コノヤロー!おのれのツラ見たことあんのか!ずうずうしいんだよ、バカヤロー!』(中略)ってありとあらゆる暴言を吐きながら、お姫様のコンパクトを踏みしめ、殴り倒して、昏睡させるかんじですね。かなり魔女が強いから、お姫様が使いものにならないんですよ」 使いものにならないって…。

    うさぎさんの若い頃の化粧は「丸顔がイヤで、なんかもう聖飢魔Ⅱみたいにしてた」そうだ。

    この話の流れで、「男に媚びる女は、自分ツッコミがない」というのも、いやまったくそうだなあ。

    お二人の話が面白いのは、こういう爆笑話をしながら、「結局、女子は王道を生きようとしても離れ小島で生きようとしても漂流してしまう。沖から大陸に向かって『おーい!』って手を振っても実はそこには誰もいないんじゃないか」と、「大陸」なんて幻想だということを語ってくれるからだ。

    うさぎ「大陸という世間体があると思うから、生きづらい」
    しをん「そうですよ。上陸許可を得たいと思って、必死で大陸の岸に向かうんだけど、いざ着いたら無人なわけですからね」
    うさぎ「そこにマジョリティがいるって信じてるから、生きづらさが生まれる」

    「まえがき」で三浦さんが「まえがきなのに早くも結論か」と「自分ツッコミ」しながら書いていたが、「自意識や世間体に全面的に屈服することは、自分を否定することと同時に、他者への不寛容につながる」という一文には深くうなずかされた。もやもやと感じて来たことが、見事に言葉になっている。次の一文もそうだ。

    「『自意識と自分』、『社会(世間体)と自分』のせめぎあいが、ひとを苦しめる。しかしそのせめぎあいがなければ、ひとはひととして成立しないのかもしれないな」





    (ひとつだけ、ケチをつければ、うさぎさんのフェミニズム認識はちょっと浅すぎる)

  •  女子力を追求し続ける中村さんと、女子力から距離を置いて生きてきた三浦さんの対談書。私もお二人と同じく自分ツッコミをせずには生きられないタイプだけど、それをも含めて自分である、「あたしは、世界でたった一人のあたしの味方」であると肯定できる中村さんの考え方に元気づけられた。女子の王道(と世間もしくは男性にそう思われている道)を歩めない劣等感や僻みは少なからずあるけど、この本を読むと王道と邪道の境界線は曖昧で、みんな漂流し続ける同士なのかもなと思える。

  • 帯に「女は生きづらい」と書いてありますが、そんな感じはあまり受けず。どちらかというと、漂いながら自分で選んで生きられるのが女子なのではないかと。
     年代が違う二人の会話が面白かった。自分の欲しいものは必ずつかみ取ろうとする中村うさぎ。漫画という自分の好きなものに囲まれて生きる三浦しをん。それぞれ共感できるところも多かった。

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著者プロフィール

1958年2月27日生まれ。
エッセイスト。福岡県出身。
同志社大学 文学部英文学科卒業。
1991年ライトノベルでデビュー。
以後、エッセイストとして、買い物依存症やホストクラブ通い、美容整形、デリヘル勤務などの体験を書く。

「2017年 『エッチなお仕事なぜいけないの?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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