- Amazon.co.jp ・本 (413ページ)
- / ISBN・EAN: 9784620324074
作品紹介・あらすじ
日本では827万世帯、海外では192カ国・地域に会員を有する。50年以上追い続けてきたジャーナリストが、日本を代表する宗教団体の実像に迫る。
感想・レビュー・書評
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無神論者を自任する私が、それでも宗教に興味を持つのは何故かと同定するのは非常に難しい。しかし、1つだけその端緒となった出来事を挙げるとすれば、中学1年のときの社会の先生の影響があるのではないかと自己省察している。
世界史の授業の中でその先生が投げかけたのは、「人はなぜ宗教を必要とするのか?」という問いであった。最終的に先生から提示されたのは「君たちまだ子供は大人が適切なアドバイスをくれたり、必要な道を助言してくれる。一方で大人になればそうした助言者はいなくなる。だからこそ、人は救いを求めて宗教を必要とする」というものであった。
今でこそ、その考え方が全てだとは思わないが、それでもこの言葉はやはりシンプルに人々が宗教を必要とする理由を示しているように思う。
前置きが長くなったが、本書は日本で最も巨大な宗教法人としての創価学会について、その謎を長年追い続けた田原総一朗によるルポルタージュである。端的に言って、本書での田原総一朗の視点は明らかに創価学会擁護の視点に寄りすぎていて(最も自身もそれを認めてはいるのだが)、その功の部分については大分割り引いて見る必要があるだろう。
それでも、本書を読むことで、創価学会がなぜ数十年という短い期間で、ここまでの勢力になったのかという理由はよくわかる。それは、既存の仏教に対する一種の宗教改革としての側面を持っており、それが人々の心を強く惹きつけたという点である。それは歴史的に見れば、カトリックに対するプロテスタンティズムの登場のように、既存の仏教が檀家制度に基づく葬祭の仕切りだけで人々の日常生活には何の影響も及ぼしていないという在り方や、来世に期待するのではなく、いかに自身の力でこの現世での生活をより良いものにしていくか、という観点で強く批判的なものであったということがよくわかる。だからこそ最終的に日蓮宗からは破門されつつも、それでも党勢を衰えろえさせることなく、今の勢力を維持できているのだと思う。
本書の全ての説明を鵜呑みにはできないものの、現時点で創価学会という組織を理解するには恐らく最良のドキュメントの一つではないか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
田原総一郎が認めた人物ならば、池田名誉会長は、やはり偉大な人物なのだと、改めて納得。
何を成し遂げたかも大切だけれど、どれだけ多くの人に良い影響を与えたかが、何よりも重要だと実感している。
それを再認識できた本。
ありがとうございます。 -
僕はあることがきっかけで本書で取り扱われている宗教団体のことを注視するようになった、注視すれば注視するほど悍ましく憎らしい存在として心に残る存在となった。個人的には広宣流布と呼ばれる折伏のメカニズム手法を解き明かしていたのにも関わらずである。そのような存在理解を持ちながら本書を読み田原総一朗氏と言う生粋のジャーナリストすらも騙される姿の何故?が理解できたのが本書の素晴らしさである。むしろ本書のお陰で注視及び憎らしい悍ましい存在という姿が、前時代的昭和さながらの病原体の本性が見えたような気がする。但し、著者は団体から大幅な支援を得たのだろうか?よくできた布教用宣伝書籍になってないかい?
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よく名前を効くし、近所に大きな建物があるし、公明党も関連しているという程度で、身近に学会員の知りあいがいるわけではないので、よく知らないというのが実際のところでした。歴史から成り立ちやどのような組織なのかよく分かった。
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朝ナマテレビなどで、様々な社会問題、政治問題などについて、豊富な知識に基づき、問題意識を喚起すべく発言をしている、田原総一朗氏による、創価学会、期待を持って読み始めたが読み進めるにつれ、これがあの田原氏による、創価学会、であるのかと驚くばかりであった。
学会の幹部、信者、に対するインタビューをそのまま延々と記述し、池田大作氏を褒め讃え 礼讃し、創価学会の今後の発展まで持ち上げる。
田原氏はどうなってしまったのだろうか?高齢より普通の判断ができなくなってしまったのだろうか?不思議な感覚を持ちながら読み進めた。
毎日新聞出版、毎日新聞が聖教新聞の印刷を請け負っている、と言う記事を思い出し、この本の出版にも関わっているのかと納得させられた。 -
もう自公連立政権は一瞬途切れても20年近く続いていて、日本の当たり前みたいになっています。いくら政教分離を掲げたとしても宗教派生の政党が政権党だということの意味が理解出来ずに未だになんかモヤモヤしています。ドイツキリスト教民主同盟みたいな政党はドイツの歴史的経緯や宗教と国民生活の関係を考えるとフムフム感があるような気がしますが、宗教色を払拭している分だけ、そして選挙の時にかかってくる電話のことを思うと公明党のことあまりわかっていないな、ましてや創価学会のことまったくわかっていないな、と思い手に取った本です。田原総一郎が非常にわかりやすく分析してくれることを期待してページを開きました。さすが、学会の歴史を含め、明快な展開で教えてくれます。ただ、読了後もモヤモヤは消えません。それは、創価学会の強さを池田大作のカリスマ性においているからなのかもしれません。「現実」に重きを置く教えが、政治という「現実」を求めるのが公明党だとしたら、創価学会は、その活動のシンボル、池田大作無き「現実」をどう切り抜けていくのでしょうか?スティーブ・ジョブズ無きアップルが、さらに株価上げている事例を見れば、そんな心配、関係ないか?たぶん学会は今までのように試練を乗り越えていくような気もします…われわれの知らないうちに。
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池田さんの魅力が学会員をそこまで結束させているのだなあ。
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田原さんならもっと切り込んだ質問をされているかと思いきや、創価学会の宣伝本の様な内容だった。
80過ぎてパワーがなくなったのか、お金が無くなったのか…と思った。
時々お?と思う様な質問もぶつけるが、ガス抜き程度で、学会や幹部の言うことをすんなり受け入れるだけ。
学会が取材協力し、毎日新聞から出版されている事でも大体こんなもんかとわかるべきだったかな?
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我が母校の先輩であり、尊敬するジャーナリストでもある田原総一郎が創価学会をどう捉えているのか興味を持って読んだ。
ジャーナリズムを通して中立的で冷静な眼力にこの巨大な宗教集団はどう映ったのか。
それは私自身の視点でもあった。
同氏が内部まで踏み込み取材したテーマは一貫していた。
度重なる迫害に対して「なぜにこれほど強靭なのか」
否、むしろ、社会や宗門からの非難や破門という試練のたびにより強固さを増してきた大組織。
第三代会長である師と弟子である会員とのあまりにも強い絆。
それを可能にした師の飾らない人間的な魅力を含めた人間性。
そして最も強調されたのが、政界や宗教界に反発を受けながらも浸透してきたのは、「どの宗教にも成し遂げられなかったこと」である「池田大作氏は宗教における"排除の壁"を見事に乗り越えた」ことに起因するということであった。
宗教批判の原理はネット上やマスメディアにあるのではなく現場にあり、実は何にも染まってはいない自身という媒体にこそある。