極北へ

著者 :
  • 毎日新聞出版
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本棚登録 : 109
レビュー : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620324289

作品紹介・あらすじ

終わりのない長い旅は、このときからはじまったのだ――。

カナダ、アラスカ、グリーンランド、ノルウェーなど北極圏とその周辺地域「極北」。なかでも世界を駆け抜ける写真家・石川直樹にとって、20歳のときに登頂したアラスカの象徴・北米大陸最高峰のデナリ山は、すべての旅の〈原点〉だった。

極寒の地に生きる人々の暮らし、厳しくも美しい自然への畏怖。人間の野生を呼び覚ます圧倒的な世界との出会いを瑞々しい文章で綴る。開高健ノンフィクション賞受賞『最後の冒険家』以来、初の長編エッセイ。

「本の時間」連載に大幅加筆し、18年のときを経て2016年に再訪したデナリ紀行も収録。

感想・レビュー・書評

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  • 感想を書くのが烏滸がましい。
    何故、この人は旅の感覚をこれほどまでに瑞々しく描けるのだろうか。
    40歳の石川さんの言葉は、全身の細胞を新しくしてくれるほど美しい。

  • 写真家で冒険家である石川直樹氏が20歳で気象観測機器設置登山隊に参加してデナリ(アラスカにある雪山)に登頂した経験から、2016年に単独でデナリに再度挑み登頂を果たすまでの自身の極北とのつきあいについて語った一冊だ。

    他の著書で読んだことがある話も混じっているはずだが、シンプルにまとめられたひとつひとつのエピソードは興味深く、楽しく読んだ。

    極北では「積極的に生きようとしなければ生きられない」というくだりが印象的だった。生きることに対してずっと意識的で能動的でなければいけない世界。

    また、長年小さな島に暮らす老人が新たに大昔の壁画を発見しその場に案内してくれたエピソードでは、ほとんど何が描いてあるか石川氏にはわからない岩を「な、見えるだろ?」と指し示す、というところが印象的だった。
    永くその土地に暮らしたものだけが差異を見分ける、その神秘ともいえる力について思う。

    日本の、些細な不満はあっても快適なインフラが整った社会でルールに守られながら暮らす自分の想像も及ばない世界が、同時代に繋がり広がっているということを改めて思う。

  • 『極北へ』(著:石川直樹)


    付箋部分を抜粋します


    ・人間も地球のサイクルに組み込まれた一つの流れに過ぎないのだろう。その中で自分は何を経験し
     何をすることができるのだろか(p113)

    ・体全体を使って生きている人たちに出会えることが北極圏の魅力なのだ。ここでは五感を開き
     積極的に生きようと思わないと生きていけない(p121)

    ・事前に何をするか決めれば決めるほど、それに縛られて出会いが少なくなってしまう。ぼくの旅はいつも
     行き当たりばったりである(p152)

    ・一人で進むデナリ登山は、自分との闘いである。自由があるがゆえに、あきらめるのも簡単だ。・・・中略・・・
     時間を自ら管理し、進むも退くもすべての判断は自分が行う。失敗を人のせいにできず、七難八苦はすべて自分に
     降りかかってくる(p176)

    ・旅は終わらない。生きている限り、そうそう簡単に終えられるものではない。コンパスの赤い針が射す方角に
     見える山、川、海、そしてそこに生きる人々のことを思いながら、ぼくは今を生きようと思うのだ(p207)

  • 知床で彼の評判を聞いて依頼、4〜5年振りか。相変わらず瑞々しく純粋な文書は、他人はどうあれ僕にとっては心の清涼剤或いは生き方の軸の調整として沁みた。ありきたりだが、厳かな自然の前で、人は誰も謙虚になる、と信じたい…

  • 写真家でもあり、冒険家でもある石川直樹さんの著作。

    全体的に淡々とした文体で、大きな山や谷もなく、ただただ流れていく印象です。
    もちろん、石川さんの物理的な動き自体は、高いところに上ったり、平地まで戻ったりしているのですが、文体はいたって平坦。
    そこを狙っているのならば、それはそれでありな気もしますが、著者の文章を見る限りでは、自然体を貫いた結果、このようになったのだと思います…。

    読み手としては、全体的に物足りない印象がぬぐえません。

  • 写真家石川直樹氏の、何て言えばいいのだろう?旅行記とか紀行文とか言ってしまうと、旅の厳しさが伝わらないので、冒険の記録とか冒険エッセイとでも言うべきか。

    1997年の夏、大学1年生の時に、カナダとアラスカにまたがるユーコンの川下りをカヌーでした様子から、グリーンランドなど極北の地を訪れたことを挟んで、2016年単独のデナリ登頂までが書かれている。
    私は最後に書かれた2度目のデナリが面白かった。

    文中出てくるのは、カヌーイスト野田知佑、椎名誠、野田さんには進路に悩んでいてる時に相談して、「大学にちゃんと行け」と言われて大学に行くことにしたと明かしている。それから、偶然本屋で星野道夫の写真「FOGET ME NOT」の写真が進むべき道を照らした。また冒険家の植村直巳の著作の影響にも言及している。

    この本は、2018年度の中高生の読書感想画課題図書だが、石川さんが数々の本に出会って影響されたように、この本が若い人の生き方を変えるかもしれない。

  • 冒険物は、心を揺さぶられる。

  • 極北に暮らす日本人やイヌイットの人々との交流
    狩りや交通に欠かせない犬そりやカヌーの話
    トナカイを飼うサーメの人
    貴重でしみじみと 極北の魅力を伝えてくれます
    デナリ山単独登山に果敢にでも淡々と進む姿が感動的でした

  • 作者の石川直樹さんが植村直己さんや星野道夫さんの本を読んで北の大地に憧れたのと同じように、自分もこの本を読んで北への憧れを強めてしまった。熱を上げて通える「フィールド」があることの素晴らしさ。

  • ぐいぐい引き込まれて読みました。旅とはこんな感じ。

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著者プロフィール

1977年生まれ。写真家。人類学、民俗学などの領域に関心を持ち、辺境から都市まであらゆる場所を旅しながら、作品を発表し続けている。「NEW DIMENSION」(赤々舎)、「POLAR」(リトルモア)で、日本写真協会新人賞、講談社出版文化賞を受賞。「CORONA」(青土社)で、土門拳賞を受賞。著書に、開高健ノンフィクション賞を受賞した「最後の冒険家」(集英社)ほか多数。最新刊に、エッセイ「極北へ」(毎日新聞出版)、写真集「Ama Dablam」(SLANT)、「この星の光の地図を写す」(リトルモア)など。東京都在住。

「2019年 『靴のおはなし2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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