「逃げ恥」にみる結婚の経済学

  • 毎日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620324777

感想・レビュー・書評

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  • 『逃げるは恥だが役に立つ』
    このドラマが放送された時は私はまだ中学3年生でただただ「ガッキー可愛いな」と思いながらでしか観ていませんでした。しかし、大学生になった今、この本を読んでこういう視点で観るものだったのかと痛感させられました。様々な恋愛観や結婚後の経済的な面などをこの本を読んで考えることができました。これからの日本で生活していく上にはこれまでの自分たちの親世代のような、男は会社・女は専業主婦といった考え方では子供が産まれた後や老後の生活が苦しくなってくる。そのためにも結婚前に相手とどのような人生を歩んでいきたいのかというのを話し合って、互いに納得できる道を進んでいく必要があると改めて考えるきっかけになりました。もしかしたら親に自分たちの決めた道の話をすると反対されるかもしれないが、時代は変わっていっているということをわかってもらった上でより良い人生を自分のパートナーと進んでいけたらなと思います。

  • 共働きが大前提の時代、とにかく出産育児のヤマをどう乗り越えるかがカップルの幸せのkeyと言えそうです。本書では共同経営責任者と名付けていましたが、単なるお金の問題だけではなく、話し合える関係性づくり・キャリアアップや学び直しなど、多彩なチャレンジ等、視野の広がる話でした。

    特に、育休取得中のわたしには、認可保育所の運営費が、0歳は20.6万円、1〜2歳は12.8万円かかっているという具体的な数字は参考になりました。
    保育料の家庭負担は3万円で済むので、育児アウトソーシングは家計にとってもメリット大。我が子はかわいいですが、なんとか保育園活用し、夫と乗り越えたいなと改めて考えが固まりました。

    日本も早く、男性育休が広まり、育児が男性の権利であり、その機会を奪われたくないと思うのが普通という価値観が醸成されますように。

  • この内容がただつらつらと文章にされていたら、自分に落とし込めずに読みながら眠くなってしまいそうだったが、逃げ恥という題材があることで具体的でわかりやすく、身近に感じられることができた。

    子育てをしていく中で一見代わり映えのない日常で無気力になることがあるが、給料に換算されるだけで今やっていることは価値があるものだと、少し救われるような気がした。

    老後に対して漠然とした不安しかなかったが、シュミレーションを通して、どうして蓄えが大事なのかが明確だった。
    ライフプランを完璧に練って実行することはできないから難しいけれど、ある程度方向性を決めて、変化が起きるときや子供の進学の節目等に考え直していきたいと改めて思った。

  • 女性が四大出て総合職で働くのが当たり前になったのは最近のことなんやねぇ

    みくりさんの時給1383円、女性全体の時給なのね…で月140時間で19万3620円。自分がこれを払うかというと、自分はこだわりが強くないからみくりさんの家事は too much なので、週4h とかで月16h の22128円なら払うかなって感じ。家事代行この時給は安すぎると思うな。

    夫の年収が600万未満なら専業主婦は好きの搾取、300万円未満なら最低賃金以下になる試算、辛辣で笑う

    性的合意の大切さも描かれていて良い。そうだよなぁ、本来は丁寧にしすぎてしかるべきことだしね。

    パートナーシップをどう考えるか、どうデザインするかを描いたドラマとも観れるわけかぁなるほどナァ

    ワンオペ育児をするための専業主婦の給与相当額は37万1336円。これを支払うためには年収1247万が必要。笑う。これに満たない場合は家事をやらないと見合わないわけだね。

    あーなるほど子供が生まれて産休育休に入れば政府から8割もらえるが、やめてしまえば1円ももらえないのね。そりゃ女性からすれば育休産休が取れる、あるいは取りやすい職場がいいわな。

    そして認可保育園も事実上の育児補助金というのもナルホド納得。保育園の運営費は平均子供1人あたり月10万、保護者の負担額は平均月3.2万たので6.8万は国や自治体の補助と考えられる。まぁ入るの難しいかもだが…

    そう考えると今の保育園不足、保育士不足、待遇が悪い問題、社会としてマジでヤバいジャンという話しだよね…これがなければ夫婦共に働けないわけで、働けなければお金がないわけで、そりゃ子供産もうと思わんわとなる。国の将来を考えると税金を使った方が良さそうだよな。

    "いくら認可外保育所にお金がかかるといっても、仕事を辞めることによって失う機会費用の方が桁違いに大きいのです。" 世知辛すぎる

    女性、人生ベリーバードでは

    日本の税制は共働きに有利なの、それはそうよな。世帯年収が同じでも400/400と800/0では所得税、住民税が全然異なる。

    経済合理性で夫婦間の家事の割合決めるの面白すぎる。11%普段する場合でも年収1062万必要。年収700万だと21%家事育児負担してようやくフェアになる。共働きの場合は夫婦の年収差で当てはめれば負担割合を算出できる。便利すぎる。500万の差があっても高い方が28.5%負担すべき。

    "夫が妻のキャリア形成を応援することが、今後のカップル戦略としてはすごく重要です" せやですねえ

    読み終わった、めちゃくちゃ面白かったし、日本社会に必要なことだと思う。パートナーシップという観点で言えば全人類、そうでなくても、パートナーと共同生活をするかもしれない全国民読んだらいいと思う。

  • 育休復帰後の不安とかこれからの働きかたとかのモヤモヤがスッキリした!!

    そうか、そりゃ子育て世代が生きづらい世の中だよな…
    って感じ。

    特に育児の対価はいくらというところが参考になった。
    家事育児の分担表はぜひ取り入れたい。

    もっと柔軟に将来のことを考えていきたいと思えるきっかけになる本でした。

  • 7)結婚できない=ハズレの男性と結婚しない自由がある
    97%の日本人が結婚していた時代=誰かがDV男やだめんずを引き受けていた
    32)主婦の年収相当額=304.1万円
    主婦労働の価値を計算する際の機会費用=家事を行う時間だけ外で働いた場合に得られたであろう収入
    54)離婚することとなった場合でも夫婦が継続している間に蓄えた財産の概ね半分は妻の貢献分として財産分与の対象になる。結婚する前にそれぞれが築いた財産やそれぞれの親からの相続で手に入れた財産などは原則として財産分与の対象にならない。夫婦の協力で築いた財産とはいえないから。
    55)夫の手取り収入を夫婦で分配することになるので専業主婦の給料相当額は夫の手取り年収の半分程度。
    59)年収700万年間2100時間の夫が1時間家事をした場合時給3000円。妻の方が家事が上手でも機会費用法を使うと夫の方が高くなる。機会費用法で計算する女性の家事労働の対価が抑えられがちなのは女性に家事労働が偏っている為に外で働きづらく労働市場で不利に立たされていることを反映している。
    60)家事労働ハラスメント-生きづらさの根にあるもの
    竹信三恵子/岩波新書
    77)記号ではない女性、モノではない女性
    男子の貞操-僕らの性は僕らが語る/坂爪真吾/ちくま書房
    84)日本の女性の年収は低く既に5割以上が大卒であるにもかかわらず、男性に比べて女性の年収は7割くらい
    91)世の中には「夫が養うから、女性はやりがいがあっても給料は低くていいよね」という昭和型設定の仕事が結構ある。保育士の給与が低いのは結婚前の若い女性のやる仕事、いずれ結婚するから低くてもいいとされてきたから。まさにやりがいの搾取。やりがいだけじゃなくてお金も重要。お金の為に働くのは当たり前で、どうすればその当たり前を楽しくやりがいのあるものにできるかに目を向ける。
    94)逃げ恥では男が外で稼ぎ女は家事育児であるべきという昭和結婚観に対して、一見昭和結婚のような見せかけで実は違うという形で昭和の壁を回避していく。例えば親に挨拶までしている。あるべき論に真っ向から対立しないことでうまく「逃げる」「やり過ごす」問題状況に対してNOを突きつけるのではなく、うまくオブラートに包み問題を共有。
    95)専業主婦になりたいというより外で仕事をするのが厳しすぎるというのが一番的確な表現。同時に専業主婦に向いているかという視点はごっそり抜け落ちている。両立しながら妊娠のタイムリミットまでに子供を産み、きちんと子育てと仕事をし、社会でも活躍なんてあまりに無理だから消去法で考えてしまう。
    97)子育てで一旦働くステージから退場=生涯賃金にすると2億円近い喪失。
    100)百合ちゃん世代が仕事を続ける環境は厳しく男より3倍やってやっと認められるような時代。独身か子供がいないことが仕事を継続できた要因。百合ちゃん=部長代理。独身で頑張っても同期の男性の方が、男に下駄を履かせることで先に出世してしまう。
    101)夫に家事を一切やらせていなかったのは昭和妻の生存戦略。妻は経済的に自力できないので、夫には自分の面倒すら自分で見られない状態にすることで自分の立ち位置を安定させてきた。
    111)損する結婚儲かる離婚/藤沢数希/新潮新書
    112)未婚男が割を食うバツあり男の再婚事情初婚女を狙うのは余っている男だけじゃない/荒川和久/東洋経済オンライン
    皆婚時代→時間差一夫多妻制に移行
    117)未就学児の母はブラック企業並みの残業
    120)ワンオペ育児なら夫の年収は1250万円必要
    155)日本女性は結婚しただけで家事労働が増える。1人暮らしをしていた女性なら前と変わらないはずなのに、夫の世話という新たな項目が増える。
    156)離婚は専業主婦の最大のリスク。3年仕事したらキャリアが残る。でも主婦の3年は離婚したら何も残らない。
    164)主婦の本当の辛さは待機時間にある。専業主婦は優雅だと思われがちだが、実は隙間時間しか自由はない。隙間時間は待機時間でもあるので本当は労働時間のうち。運送業、タクシーなどは実際の業務より待機時間の長さが長時間労働の要因。
    179)夫を褒めて育てろというアドバイスに、なぜ女性の側ばかりがと理不尽な思いを抱く。諦めた人は外部家族とチームで子育てするようになる。夫がいなくても回る環境ができてしまうと夫はただのATM、手のかかる子供の1人と化す。
    181)夫婦2人の関係から子育てをする親としての関係性への移行。この時期をうまく助け合わないと産後クライシスで夫婦仲に亀裂が入り、その後の協力体制も取れなくなる。夫が全く悩みを聞いてくれないと、産後のお母さんの脳は敵とみなしてしまう。第2子を持ちたいと女性が思うモチベーションはどれだけ夫が子育てに参加するかで決まる。
    190)夫はなぜ家事や育児をやらないのか?やれないのか?
    割に合わない感=自分はお金を稼いでいる
    昭和バイアス=そもそも女性の仕事だし女性の方が得意
    会社との関係=同僚・上司の理解がない
    スキル問題=そもそもスキルがない。ないからますますやらなくなる
    お子ちゃま男=単に面倒でやりたくない。仕事の方が楽
    育児は仕事の役に立つ/浜屋祐子/光文社新書
    228)社会は有償の労働だけで成り立っているわけではなく、家事・育児・介護といった家庭内の労働によっても支えられている。家庭内の労働をお金に換算するとその規模はGDPの3割にも及ぶ。

  • 正直、恥ずかしながら、「逃げ恥」を高収入男と無収入美女が契約結婚するミーハーな話くらいにしか思っておらず、ドラマも漫画も全く観ていなかったのですが……本書を読み、実はこんなメッセージ性を持った話だったのかと驚愕。
    自分も結婚を考えるときに、再度パートナーと読みたいと思います。結婚するしない、働き方、育児、老後、いろいろ考えるヒントになります。

  • すごく面白かったし、参考になった。結婚したいパートナーを見つけたら、一緒に読み直したい。

著者プロフィール

相模女子大学大学院特任教授、昭和女子大学客員教授、ジャーナリスト、作家。慶應義塾大学文学部社会学専攻卒。中央大学ビジネススクール戦略経営研究科専門職学位課程修了。住友商事、外資系金融などを経て著述業に。少子化、ダイバーシティ、働き方改革、ジェンダー、ライフキャリアなどをテーマに著作、講演活動を行う一方、「働き方改革実現会議」「男女共同参画会議 重点方針専門調査会」など多数の政府の委員を歴任。著書に『ハラスメントの境界線』(中公新書ラクレ)、『働かないおじさんが御社をダメにする』(PHP新書)など。

「2023年 『いいね! ボタンを押す前に』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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