- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784620325149
作品紹介・あらすじ
あったことをなかったことにはできない─。安倍政権下で文部行政を担った著者が、加計問題をはじめ「権力私物化」の構造を糾弾する。
感想・レビュー・書評
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文科省のナカの様子がうかがい知れる貴重な証言ではある。特に、政治家の動きとそれに対応する文科官僚の動き、審議会の存在意義の変化等について語られた第3章は参考になった。ただやはり著者自身に相当な負い目があるようで、それで、決して良い意味とはなり得ない「面従腹背」をタイトルにしたのだろうが、内容を読めば読むほど、著者の「腹背」ぶりより「面従」ぶりが印象的で、著者としてはその時々に自分ができることの最善(「自分の信念とは違うから辞める」と言うのよりは簡単でない道)を選んだのだろうが、どうしても言い訳がましく聞こえて鼻白んでしまう部分はある。それでも、退職後とは言え、こうした発言をすることは相当な勇気がいることであり、それ自体は支持したい。
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話題となった前川元事務次官。
加計学園の話ももちろん言及されていたし、前川さんってホント面従腹背してきたんだな…と予想以上だったけど(安保法制参議院通過の夜にデモにこっそり参加したり、匿名で右傾化を深く憂慮するツイートを継続したり…)、想定以上に強く印象に残ったのは、教育行政の重要性でした。
子どもの学習内容を決めるのは誰か。政治はどこまでそれを統制することが許されるのか。
その統制の範囲を広げてしまうような、一定の価値観に絞ってしまうような法改正は大いに警戒しなくてはならない、と思いを深めました。
教育基本法改正や「特別の教科 道徳」に至る政治家の動きや文科省の(密かな抵抗を含めた)対応の様子、大変リアリティがあって興味深かったです。
第2次安倍内閣で一層顕著となった中教審の人選の政治化、中教審の形骸化にも触れられていました。
そして、いちはやく、独自の教科「市民科」を設定し、学習指導要領によらない教育課程の編成の特例をうけた東京都品川区の取組みは素晴らしい。 -
東日本大震災以降、自民党が作り上げたこの国の数々の大嘘を目の当たりにしてきたが、この本を読んで、この日本という国がますます大嫌いになった。
ファシズムに走り続ける自民党。安倍晋三もその流れの中の末端のひとりに過ぎないらしい。憲法改悪も、道徳教育や教育勅語の復活も、靖国神社も、戦争のための一つの手段。国民を気持ち良く戦死させるための仕組み。世界や地球といった大きな概念もなく、見えているのは意味不明の日本民族という幻想だけ。このようにしてヒトラーも生まれ、巨大化して行ったのだろう。
こんな学校で学ばなければならない子供達、こんな国であと何十年も生きなければならない子供達がかわいそう。
こんな国で今、子供なんか産むもんじゃない。 -
面従腹背とは…表面は服従するように見せかけ、内心では反対する
こと。
著者の前川氏は38年間に渡る文科省官僚時代、この言葉を座右の銘
としてきた。
それは、大枠から見たらささやかな抵抗かもしれない。どうせ
なら内部にいるうちに告発してくれればと思うこともないとは
言えない。
ただ、政治家などからのさまざまなな圧力にさらされながらも、
どうしても譲れない部分でご自分の意見を貫いたのは理解できた。
そして、前川氏のようにささやかな抵抗を続けている官僚は、
どの省庁にも少なからずいるのではないか。
教育基本法の改正、八重山教科書問題、国旗・国歌法の制定、
そして道徳の教科化。一連の流れを本書で振り返ってみると、
いかに教育が歪められて行っているのが分かるし、うすら寒さ
さえ感じる。
おかしいと思うんだよ。道徳の教科書にパン屋を登場させたら
検定が通らなくて、和菓子屋に変えたら検定パスって。
日本の伝統がどうたらこうたらって言っている政治家たちって
どうせ明治以降のことしか「伝統」と思ってないんだろうな。
こんな人たちが教育に口を出して圧力をかけてるのだものな。
「教育勅語」復活も近いのかもしれないと思うとぞっとする。
教育って為政者の為、国の為のものじゃないんだよな。その辺り
をはき違えている政治家が多いのだろうか。
尚、第4章に収められている座談会は加計学園の何が問題なのか
が分かりやすく語られているので非常に参考になった。 -
党派性が無い所では、まともなこと書いていますが、そうでないところは、事実と反することをしれっと書いています。
誤:国会決議により教育勅語は教育から排除された
正:教育勅語が従来の効力を失ったことを明確にした
https://seisenudoku.seesaa.net/article/481850704.html -
面白読物を期待して読み始めたが、著者が真面目なのか政治の要素が強い本だった(読む前に気づくべきだった)
者をシャ、一日をいっぴと読む、といった政治家用語は面白かった。 -
納得できない点もあるものの、面従腹背でも自分の信じた道を進むことの大切さを示してくれたいい本だった。
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元文部省、文部科学省の官僚であった著者が見てきたことが書かれている。
省庁内部で行われてきた教育行政。
政治家による圧力。
それらが大きく露呈したのが、森加計問題である。
本書では、加計学園の獣医学部創設問題についても書かれている。
面従腹背とはどういうことかと思ったが、本書を読んでなるほどと思った。
著者がいうそれは、表向きは従って、腹の中では自分の考えを持ち、時期が来たらそれを行動に移すということである。
それは組織内部にいないとできないことである。
本書を読めば、教育基本法など官僚が政府の圧力に抗おうとした痕跡が分かる。
これは面従腹従しなかったことの証である。
それにしても、理不尽ともいえる政治家の圧力の中で仕事をするのはどんな気持ちなんだろうと思った。
ストレス溜まりまくりなのではないだろうか。
いくら官僚が優秀でも、政治家がダメなら宝の持ち腐れである。
森友問題で自殺した財務省の赤木氏のことを思うと本当にいたたまれない。
腐敗した政治家に、良心が勝つ世の中になってほしい。