脱属国論

  • 毎日新聞出版
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感想 : 1
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620325712

作品紹介・あらすじ

米国の覇権がゆらぐ中、日本はいつまで属国でい続けるのか?反骨のジャーナリストが、怒りの法哲学者&紛争解決人を相手に憲法改正、日米安保を徹底討論。

感想・レビュー・書評

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  • 田原総一朗・井上達夫・伊勢崎賢治
    鼎談という形で憲法改正がなぜ必要かを明らかにする。
    まず、本書の立場。
    ーーー9条は全面的に日本の戦力保持を禁止しており、
    そのため自衛隊は軍隊ではないことになっている。
    それゆえ、自衛隊が当然備えているべき法的整備がされていない。
    自衛隊の戦闘行為を支える法律・自衛隊を正しく律する法律両方が不備であり、国際的に見ると違法な集団である。
    現行では、自衛隊の戦力行使は自衛官の自己責任になってしまう。
    だから、日本は全然使えない戦力を持つ軍事大国である。
    このような、いびつな事態を正すため9条は削除か改正しなくてはいけない。
    だいたい こんなところか。正確な記述ではないので注意。
    ーーーーーーーーーー
    脱属国論というタイトルは、ナショナリズム高揚のイケイケドンドンな感じなのかしらんと思ってしまったけれど、全然違う。
    あくまでも冷静に「なぜ」と「理由」を解き明かすもの。

    鼎談形式なので、ちょっと散漫というか、同じことを何度も言ってる印象があるのだけど、そんだけ自明のことを政治家も一般の人も右翼も左翼も理解してくれてない、聞いてくれてないという証左なのでしょう。

    憲法9条は現状と乖離していて、
    現状の改善を妨げている。
    これまで解釈改憲や矛盾の屁理屈による隠蔽というった方法でやってきたけど、どう考えても無理だということがよくわかった。

    日米地位協定の改定って、
    さっさとやればいいじゃん? と思ってたんだけど、
    なんと、これも9条に阻まれているそうだ。
    今の日本の地位協定はアフガニスタンやイラクやフィリピンより、ずっと地位が低い。
    あれらの国には主権があるのに、日本にはない。
    だから属国、植民地のようなものなのだ。
    政治家が本気で変える気があれば変えられるはず、
    と本書にあるのだが、なんで変えないんだろう? 
    本書で3人がなんでだろうと何度も言ってるのが、
    変だ。日本の政治家ってなんなの?

    そして、自衛隊。
    9条により存在しないことになってるので
    国際法に合致した合法な組織になることが不可能。
    国外から見ると自衛隊はとんでもない組織なのだ。
    国外で自衛隊が違法な行為(過失も)をしても、誰も裁くことができない。
    国内で防衛行動をする場合、隊員の個人責任になる?
    ここ、衝撃です。

    国内でごちゃごちゃ理屈つけてセーフとか言ってるけど、明らかに自衛隊は国際法上でアウトなのでした。
    日本は軍事大国なのに、使えない自衛隊。変ですね。使えないなら無くてもいいのでは。
    今のままで、南スーダンでやったみたいに、戦ったのに戦ってないことにするとか、あまりにも悲惨すぎる。
    コソコソ戦うって最悪ですね。ちゃんと議論して憲法改正して、というのが筋でしょう。


    日本人て本音と建前を使い分けが多いけど、
    ここまで現実に目をつぶって
    都合の悪いこと放置して
    でもこれまでやってこれたから、
    このままでいいよね
    という人間ばかりなのか?

    この本を読んでいると、
    与党も野党もみんなダメなのか と嫌になってくる。
    しかし、みんなが読んで各自批判的に考えるようになったら……という願いをこめて作られた本なのである。

    追記:
    9条は軍隊を持つことをまったく否定していない
    という本を今読んでいる。それなら9条は改正しなくても
    自衛隊のために法律を整備しいびつな運用ができるはず。
    本書のように改正を主張する意味はなくなる。

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著者プロフィール

ジャーナリスト/1934年滋賀県生まれ。早稲田大学卒業後、岩波映画製作所に入社、64年、東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。77年からフリー。テレビ朝日系「朝まで生テレビ!」「サンデープロジェクト」でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。98年、放送批評懇談会35周年記念城戸又一賞を受賞。現在も「激論!クロスファイア」(BS朝日)の司会をはじめ、テレビ、ラジオの出演多数。著書に『日本の戦争』(小学館)、『創価学会』(毎日文庫)、『さらば総理』(朝日新聞出版)など多数。

「2023年 『会社が変わる!日本が変わる!! 日本再生「最終提言」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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