炉辺の風おと

著者 :
  • 毎日新聞出版
3.95
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本棚登録 : 393
レビュー : 33
  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620326504

作品紹介・あらすじ

八ケ岳の山小屋に籠もり思い巡らす、自然との共生、日常の偉大さ、コロナ後の世界…心身の真芯に響く美しい文章で思索を誘う希有なエッセー。

感想・レビュー・書評

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  • 八ケ岳の山小屋に籠もり小屋周りの鳥や植物、小動物、自然界のことを話りながら、話は人間社会に繋がり思索を深めていく梨木さんの語りが好きだ。
    炉辺の話に惹かれた。薪の魅力が存分に語られている。

    変わらず愛情深く鳥や植物、自然に目を向けているが、(野鳥の餌箱設置など)その距離感が以前とは変わってきた印象を受けた。
    ご自身のご病気、お怪我、身内のご不幸など辛いこともあり、より身近な自然へ眼差しを向けることが多かったのだろうか。

    どこに目を向けていようと、梨木さんの眼差しは常に優しく深い。じんわり心に染みてくる。

  • 待ち遠しいね、、、

    炉辺の風おと 梨木香歩図書館
    https://nashikikaho.blogspot.com/2018/04/blog-post.html?m=1

    版元ドットコム
    https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784620326504

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      新・炉辺の風おと:/1 鉄人の日々/1=梨木香歩 | 毎日新聞
      https://mainichi.jp/sunday/articles/20...
      新・炉辺の風おと:/1 鉄人の日々/1=梨木香歩 | 毎日新聞
      https://mainichi.jp/sunday/articles/20210329/org/00m/040/008000d
      2021/04/11
  • 暖炉の薪がパチパチ燃える音、小鳥の鳴き声、木々や土の澄んだ森の匂い。
    静かだけど力強さを感じる自然の中での暮らし。
    冬に冷えた体と疲弊した心にゆっくり染み入るような本でした。

  • 山小屋での暮らし、そこで触れあう小鳥やリスたちのこと、父の看取り、沖縄、コロナ。梨木さん自身の体の衰えに触れたところも多く、長年の読者としては少し心配になった。

  •  八ケ岳山麓の小屋に設えた暖炉の炉辺にたたずむ、憧れの姿勢だ。
     毎日新聞「日曜くらぶ」に連載されていたエッセイなので、テーマはいろいろだけれど、落ち着きのある文章に共感する。他人が書いた文章を読むことで、自分自身をつかんでいくような不思議な感覚だ。

     毎日新聞「日曜くらぶ」は僕が高校生のころから続いている日曜版だ。当時は文庫本のプレゼントコーナーや読者投稿のスペースがあり、高校生の僕の投稿も1度載せてもらったことがある。本書の書評で、「日曜くらぶ」掲載の・・・というところで一気に40年前のことが思い出された。遠くに来てしまったな・・・。

  • 本当に大好きな梨木香歩さんなんだけど、最近の作品は政治的思想をまったくオブラートに包まずに書くようになってきて、しかも自分には理解できない価値観なので読んでいてぐったり疲れる。これは新聞の連載だからしょうがないんだろうか。「非暴力民衆一揆」という謎の言葉で原発をなくそうとか、ちょっとびっくりする。原発は電力確保のいち手段なのだから、本当になくしたいなら現実的に利用可能な代替手段の開発を援助するとか、そういう方向性で実現に向けた努力を確実に踏み出してほしい。
    戦争だって政治だってつまるところただの手段だし、そう扱うことで御すべきではないかと思うのだが、コロナ対策についてでさえ、政府に従うことは民主主義を自ら手放すことだ、一億火の玉まですぐだ、などとまで書かれるので、もはや目的を見失っておられるとしか思えない。梨木さんの言うように民主主義が破壊されたのだとすれば、それは政権によってではなくて、こうやってますます政治を目的化しようとする風潮によってではないのかと思う。

    今回好きなのは立ち枯れるウバユリの話、漆喰の養生の祈りの時間の話。あらがうことのできない生命の流れの中で、思う、祈るという行為の意味。いのちの中でそれらがフックとなって点々と残り、最後の瞬間に本質に導かれる「過程」になるように思う、というか、そうであってほしいと祈る。

    ご家族のことやご自身の病気のことなど、プライベートな状況についてはいままで全くと言っていいほど書かれていなかったが、今回そういったことに踏み込んで書かれている。お父様の話はあまりに痛ましく読んでいてつらかったが、相手の医療従事者の方々の気持ちも何となくわかる気がして、単純に一刀両断できる話ではないなと思った(そして、梨木さんもそうはしていない)。たぶん、その人たちの態度が悪く見えたのは、相手が女だとか、仕事が作業になっているとかいう次元の話ではなく、どうしようもなく日々忙殺される中でそんな取り返しのつかない事象が今まで何度も起こって、その度当然になじられ続けるループの中で、もうその人たち自身の体や心も壊れているんじゃないかと思うのだ。微笑むっていうのは、もう心のやり取りのレベルに降りてこられない防御的反応に思えてならない。やるせない。誰かがどこかで気がつけばよかったのだろうけど…と思いきや、気が付いても隠蔽されたというのは、もはや倫理で正される段階を超えて追い詰められ、疲れ切った環境を思わせる。
    その犠牲になった梨木さんとお父様はもはや相手を糾弾しない。その重さ。

    命が命と深く通じ合う、つながっていく、続いていくということの尊さを梨木さんはずっと書いておられて、私もそれが大大大好きだ。けど、分かって欲しい、は分かるでしょう、分かれ、という風にあっという間に翻り、鋭い暴力性を獲得する。それがどんなに正しい感情でも、強い圧に晒され続けた相手も関係も歪んでおかしくなっていってしまうように思う。それは家庭のレベルでも、社会のレベルでも、国家のレベルでもありふれたことではないか。
    分かって欲しいという時に、相手を変えようと思わず自分を変えるべきというのは有用な処世術ではある。梨木さんはそういった処世術に落ち着くのではなくて、本質的に伝え伝わること、どうにか相手に打撃を与えずに、関係と尊厳を保って互いに浸透するようなやり方を常に模索していたように思う。「春になったら苺を摘みに」はそんなイメージだった。本当に好きだった。
    近年の政権の一言一言をあげつらう、尖った攻撃性を帯びたエッセイを読むにつけ、そういったことはやはり無理だったのだろうかと感じてしまう。どうにも心の整理がつかない。

  • 読んでいて、体の奥底からふつふつと温められているような気がした。
    激しい言葉や暴力に訴えなくても、人は人を「焚きつける」ことができるのだなあと実感。

  • 梨木さんの最新エッセイ。
    八ヶ岳に山小屋を得て、そこでの様子など徒然と。
    毎週の連載だったもよう。そちらでは挿絵の油絵があったようで梨木さんも好きだったようなのでできれば収録してほしかったな。
    相変わらず植物、鳥の名前が個別名がしっかり特定されてでてきて、本当に好きなひとは図鑑を引きつつ読むんだろうなあっと思う。
    残念ながらそれほどの熱意は私にはない。
    家に暖炉があるというのはいいものだろうなあ。
    それなりの手間がかかるのだろうが、チラチラとゆれる炎をずっと眺めているのは気持ちが良さそうだ。
    梨木さんは自分の手で実感することを大切にされてる感じがする。そーゆー意味で自分で自分の火をつける、という行為がなんとゆーか好きなのかなあっと。
    面識はないもののその住んだ家の気配に魅せられるお話が好きだった。
    残念ながらその家はもうないのだが。
    お父様の話は心痛めた。
    それがただの仕事、いや作業となってしまった時に起こる悲劇を思う。
    全くレベルは違うものの自分が働く姿勢のなかに、彼らのような部分があってしまっていることに反省。
    つくづく人の生き死にに関係ある仕事についてなくてよかったと思う。私は私が一番信用ならんから。
    ネジバナは私も大好きなのでその出会いを喜んでおられる一文に、私も好きなんです!っと心の中で叫んでしまった。
    好きな人が同じものを好きと言ってくれるとなんか嬉しい。
    あまりご自身のことをだされない感じの方なので、
    今回、背骨骨折やら、耳が聞こえないやら、お体があまりよくないこともあったことを書かれてて、
    どうぞご自愛ください!っとめっちゃ伝えたい。

  • 梨木香歩の著書は片っ端から読んできたけど、こんなに同じ時間軸で書かれた本は初めてだった。
    変な話だけど、あぁ同じ時代に生きている作家さんなのかと実感。

    父親の件で、涙が滲んだ。大人ということ、娘ということ、あらゆる目線から湧き上がる感情を俯瞰的に眺め、今あることに集中する、その姿勢に感服した。
    私には出来ない。たとえ同じ歳になっても。このとき著者は、この文間に沈んだ時間の中で、どれほどの暗い感情を押し殺したのか。
    この著者の本をたくさん読み続けてきたから感じる、滲み出た哀しみ。怒り、そして怒りをを超えた悲しみ。何故かわからないけど、それでも柔らかさと美しさを失わない文章に、こちらが涙ぐんだ。この人の姿勢は、少なくとも文字列の中では、決して揺るがない。

    著者の本で初めてハッキリと違和感というか違いを覚える部分があったのも面白かった。私は非効率は目指せない。我々は違う時代を生きる別世代だということを痛感した。

    基本的にはいつもの豊富な知識量を誇る植物たちとのお話や、山小屋で出会う小動物たちとのお話。こんな暮らししてみたいなぁと思うが、狭い部屋だけでも管理が手一杯な私には憧れのまま終わる生活だな。

  • 【読了メモ】すぅっと入ってくるエッセイだった。

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著者プロフィール

梨木香歩 1959年生まれ。作家。小説に『西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集』、『丹生都比売 梨木香歩作品集』(共に新潮社)、『家守奇譚』(新潮文庫)、『海うそ』(岩波書店)、『椿宿の辺りに』(朝日新聞出版)など。エッセイに『ほんとうのリーダーのみつけかた』(岩波書店)、『炉辺の風おと』(毎日新聞出版)など。児童文学作品に『岸辺のヤービ』(福音館書店)などがある。

「2021年 『草木鳥鳥文様』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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