- 毎日新聞出版 (2021年12月25日発売)
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感想 : 18件
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Amazon.co.jp ・本 (96ページ) / ISBN・EAN: 9784620327198
作品紹介・あらすじ
痛ましい歌声が、俺の胸を血まみれにする。
戦争の昂揚と絶望、そして戦後の果てない堕落。兄の人生を見つめたその娘は、「謎の歌手」に生まれ変わった。
代表作『兄弟』の原型にして、いまに鮮烈な未発表作品、なかにし礼の死後1年目に衝撃の単行本化!
感想・レビュー・書評
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なかにし礼の亡くなった後に
机から出てきた遺作でした。
兄弟)とかぶる内容だが兄の娘が
シンガーソングライターとして
デビューする際は後押しした事
借金と女狂いだった兄の娘だった
から叔父として憐憫を持っていた事
TVドラマ(高校教師)の主題歌で
ブレイクしたけれど、デビューから
ベールを被らせて(自分の姪だった事も)
隠していたので余計に世間からは
注目された事、深く姪の事を書いた
作品ではなかった。
苦労の多い幼少期からの生活から
天才作詞家とシンガーソングライター(森谷王子)が作られた事は事実でした。 -
切なく読んだ。リアルタイムで森田童子にはまりLPをそろえ森田童子全曲集で歌詞も確認した。地方にいたのでコンサートには行けなかった。
中西れいの兄(森田童子の父)目線で描かれている。自分宛ての歌詞として読み応えている。父が自分の失敗と読み取っているが、同世代のものとしては75年以降の青春群像の一コマと思う。
久しぶりにLPを出してみるか? -
全ページ70枚ほどの本。森田童子について書かれたものとの本の紹介だったが違うよね。森田の父親の話(内容は「兄弟」からの抜粋のような)。ただ素顔も本名も公にしなかった森田童子がなかにし礼の姪だったとは驚いた。音楽的才能のある家系だったのだろう。この本が書かれた当初はまだ森田童子の素顔を公にできない時期だったのか彼女に関してほとんど書かれていないのが残念。彼女も若くして亡くなった。ご冥福を祈ります。
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昭和の大作曲家、なかにし礼の姪は森田童子だった。
しかし、この小説が世に出た時には、2人とも故人となっていた。
巳年に生まれたから「美納子」
「昭和28年1月15日夜9時。極寒の青森市であった。
この子が20歳を過ぎ、突然、森谷王子となって、自作の歌を歌い始めたのだ」
「兄弟」で登場する兄の中西正一は、娘の正体は決して明かさない。それは神秘性を守るためではなく、情婦から金を借りるためだという。
デビューは昭和49年秋の終わり頃、なかにしが正一をレストランに呼び出し、森田の身元を隠すことに協力を求める。「なかにし礼の姪ってことを当分伏せておきたいの。なかにし礼は売れ過ぎちゃって、どこか体制的な匂いがするじゃない。ちょっと反体制的というか、非体制的な姿勢で、森谷王子をやってみたいのよ」「叔父さんの七光りで世に出たくないっていう美納子の希望もあるけど、そういう俗っぽいところじゃなくて、もっとアングラでマイナーなところから出発させたいんだ」
もちろん小説なので、どこまで実話か分からないが、そう思わせるリアリティはある。「僕たちの失敗」については「普段からあまり顔色を変えない美納子の切れ長の眼をを思い浮かべた。あの眼で何かを見ていたのだ。堕ちていくばかりの父親と、それに振り回される家族がいた」と、中西の戦争体験、それを父の背中越しに見ていたと大胆な解釈をする。
しかし、この作品は発表するつもりだったのだろうか。息子の康夫氏は「兄弟」の習作として書かれたというが、「父は原稿の原本を取っておくこともしません。その父がなぜこの作品だけをすぐに見つかるようなところに置いておいたのか」と疑問を呈している。
森田は2018年4月24日に亡くなっている。なかにし礼より2年以上前だ。なかにしは葬儀に行ったのか、どういう思いで森田を見送ったのか。興味は尽きない。 -
亡くなられた森田童子の誕生の秘密とのことだが、内容は薄いかな。
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ドラマ高校教師が放送していた時は、私はちょうど高校生でした。森田童子のオープニング曲がなんて暗くて切ないメロディなのか思春期の私を驚愕させた。
血の歌は、父親の存在その物なんだ。森田童子のメッセージでもあり、かつ中西家その物なのか、、、。
今度は『兄弟』を拝誦させて頂きたい。
習作ではあるが本当の遺言ともとれる本作を再び読み返してみたい。 -
森田童子の情報のため
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かの衝撃作『兄弟』のスピンオフか続編のようなものかなと思いきや、『兄弟』の習作として書かれた遺稿なのですね。これは意外でした。だからなるほど、主人公は“王子“というより正一なわけか…。先日SNSで知り早速読みました。他のレビューサイトでは、薄いとか高いというコメントを見かけますが、抱き合わせる小説があるわけでなし…仕方ないかなと。世に出してくれてありがたいです。星1つ減は、著者が出版を望んでいたのかわからない(「あとがき」を読むに、恐らく望んでたと思うけど)からだけです。頁数は少なくても中身は濃いです。ドラマは3回観た私。どうしても礼三と正一は、私の頭の中でトヨエツとたけしに置き換わってしまいます。この2人はハマり役でした。今度はどなたかに“王子”を主人公にして、書いて欲しいなぁなんて思ったりしました。
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なかにし礼の死後に発見された草稿。主人公は実兄だがその娘の森田童子のデビューに関する記載あり。
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なかにし礼自身に発表する気があったかどうかはわからないが、やはり習作として終わらせるべきでない、短編として力のある一作だと思う。兄、姪(森田童子)、母親、それぞれを描く距離感、濃さの使い分けが絶妙で、物を書く才能とはこういうことかと感心した。「兄弟」も読んでみよう。
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なかにし礼の亡くなってから見つかった作品。激動としか思えない人生を生きた人。
兄の放埒な生き方に、振り回されて、でもこの作品は、その兄の視点から、娘との関係を書いてある。どことなく、悲しい、寂しい作品。 -
何というタイミングだろう今月からドラマ『高校教師』の再放送が始まったこともリンクしてライヴ感が加わり、短編ながらも強く深く引き込まれた。読みながらアタマで鳴っていた「ぼくたちの失敗」の聴こえ方が変わる。
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戦争による影響で人生の歯車が狂った哀しさを感じた。「兄弟」も読みたく思う。
著者プロフィール
なかにし礼の作品
