それでも食べて生きてゆく 東京の台所

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  • 毎日新聞出版 (2022年11月22日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784620327563

みんなの感想まとめ

日常の台所を舞台に、人々のリアルな生活とその背後にある物語が描かれています。著者は、10年間の取材を通じて「喪失と再生」というテーマに焦点を当て、誰もが何かを失いながら生きていることを伝えます。登場す...

感想・レビュー・書評

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  • 「それでも食べて生きてゆく 東京の台所」大平一枝著|日刊ゲンダイDIGITAL
    https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/book/315813

    それでも食べて生きてゆく 東京の台所 | 毎日新聞出版
    https://mainichibooks.com/books/social/post-591.html

  • きっかけは忘れてしまったのだけれど、うつの治療中に「男と女の台所」(大平一枝・文/写真)を読んだことがあった。
    最初は図書館で借りたのだが、その中の1つの“物語”がとても切なく、気になり、書籍を購入した。
    そのときは、この“物語”が連載をまとめたものであるとか、その前にテーマを異にした台所の物語の書籍があるとかは、全然気にしていなかった(病状的に、多分そういう発想がなく、気にできなかった…のだとおもう)。

    今回も、きっかけはちょっと覚えていないのだが、偶然、本書の表紙とタイトルを目にし、「あっ、あのとき読んだ本のシリーズ本?!」と気がつき、すぐ手に取った。
    読んでいるうちに、「男と女の台所」が、このシリーズの本であること、その他の既刊として「東京の台所」(未読)があること、そして最新刊「」があることを知った。
    本書の中には、「男と女の台所」に登場した台所のその後がわかる物語があり、久しぶりに「男と女の台所」を引っ張り出してきて、読み比べて、台所と人間関係・環境の変化を感じ、その間に流れた歳月を感じながら読んだ。

    今回の物語は、しあわせも確かにあったけれど、それと同時にその台所には、癒えきらない傷も感じた。
    「おわりに」で知ったのだが、本作のテーマは「喪失と再生」だそうで、合点がいった。
    「男と女の台所」では「愛」がテーマだったそうで、確かにどの台所にも様々な愛があふれていた。

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

    「一〇年の取材を振り返り、「何も失ったものがない人などいない」ということに気づいた。」
    (238ページ)

    「どんなに幸せそうに見える人でも、何かを失いながら、どうにかこうにか自分を収め、繕いながら生きている。いくつになっても、どんな人にも大小の喪失がある。」
    (238ページ)

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

    別離の理由は様々で、そこにまだ愛がある台所、愛が消えてしまった台所もある。
    愛のある2人、愛のあった2人、でもいつまでも相思相愛で一緒に元気で暮らせるとは限らない。

    当たり前ではないのだ、このしあわせも、この台所も。

  • ありのままの台所を訪ね歩き、取材したルポルタージュ。10年たった今回のテーマは、喪失と再生。簡単ではないテーマ。

    雑誌に載っているようなおしゃれなキッチンとは違う、素のままの台所。写真と共に語られた、その台所の持ち主の生活。リアルだからこそ、心に響いた。「何もを失わずに生きている人などいない。みな、何かを喪失し、それでも立ち上がり今日もごはんを作っている。」という言葉に、生きようとする、人の強さを感じた。家族を亡くして日が浅いなか取材を受けた方、伴侶との別れでひとりになった方など、みなさんの生きざまをうかがい知れて、私も頑張ろうと思えた。

  • 「何も失ったものがない人などいない」
    本当にその通りだと思います。

    両親を看取り、愛犬も看取り、子供たちは新しい家庭を築き、今、夫と二人暮らしになり…
    料理と言えるものを滅多にしなくなりました。
    一歩外に出れば、食べたいものは自分で作らなくてもいくらでも食べることができる世の中ですが、
    やはり、大切な台所。
    年末の大掃除も、ここだけは徹底的にやる、わたしの大切な場所。

    東京に住んだことはないけれども、
    わたしはわたしの思いを込めて、大好きなキッチンを守って行こうと思えた本でした。

  • なんでもない普通の人たちが食事をつくる「台所」を中心に、そこで食事を作り、暮らす人々を取材しているシリーズ。
    今回はそこに「喪失と再生」というテーマを設けている。死別や離婚など様々だが、長く生きる事で何も失ってなどいない人はいない。皆が何かを失い、その喪失感と向き合いながら台所で食事を作っている。
    もう少し軽い感じの読み物を想定してページを開いたが、予想外にずっしりと胸に響く話が詰まっていた。

  • NHK「あさイチ」でこの本を知って、読みたいと思った。
    「台所」を舞台に一般の人、プロの料理人など、さまざまな人の人生の一部を「喪失と再生」というテーマで書かれている。
    一人一人のお話は短い章でまとめられているが、少しの写真と大平さんの文章で、心にぐいぐいと詰め寄ってくる。
    読みながら、何度も泣いてしまった。
    テーマが重いので、暗くなりがちだけど、その中に必ず一筋の希望があって、立ち上がって、それでも食べて生きていく姿が心に沁みた。
    おすすめしたい本。

  • 愛犬の秀太朗が亡くなって、最初に読んだ本。
    喪失感は無くならないが、この本を読む事で
    復帰する後押しをもらえた。
    このタイミングで、ふらりと寄った本屋で陳列されて
    いたのは何かの縁。
    大切な一冊になった。

  • この本の前に著名人を取材した本を読んでいたけれど、
    この本の奥深さに、前に読んだ本が吹き飛んでしまった。

    子供にたかりにくる親はドラマの中だけじゃなかった。
    色々な困難があっても、それでも食べて生きてゆく人たちに励まされた。

    ありきたりだけれど、今生きている時間を大事にしよう...と思った。

  • 夕方にコンビニに行くとお弁当だけでなく一人用のおかずが豊富に用意され棚の前には高齢者がどれを買おうかと吟味しています。単身世帯の増加は個食を年齢性別問わずの「当たり前」にしているようです。そういう意味ではコストの問題を超えて、料理を作る、人と食べる、という昔の「当たり前」は非常に豊かな行為になってきていると思います。「衣食住、足りて礼節を知る」と言いながら消費社会を猛進していきた日本人の暮らしの今を知るのは「食」と「住」の交差点である「台所」が一番、ふさわしいのかもしれません。本書に登場する「台所」という舞台の主演俳優たちは、料理を作る、人と食べる、という個食という内向きのベクトルを外向きに向けてコミュニティ食(勝手にネーミングしましたが、これもコ食だ!)で物語を描いている人々です。それはかつての当たり前の家族制度とは違う繋がり方の選択であり社会変革は、台所革命から起こっていると感じました。台所って「おふくろの味」に代表とされるコンサバプレースに思い込んでしまうのは終焉していて、いまやリベラルの起点なのだと思いました。そういう意味では朝日新聞デジタルの&Wの連載ということを差し引いても男性の存在感、薄い薄い。

  • 何気なく読んだら重すぎた 丁寧な暮らし系の話だと思ってたのに でも読んでよかった

  • 食べもの(というよりは台所)+市井の人のドキュメンタリーという大好物ジャンルで即買い。

  • 2022/11/26リクエスト 3

    とても良かった。

    東京の台所から、筆者の本を読み始め、次の男と女の台所、で今回。
    ライターとして、心の芯に訴える文章を、嫌味なく書く方。どの台所にも、語り尽くせない思いがある。
    今回は全体に辛い経験の方も多かった気がするが、それさえも大平氏の筆力で、一つも無駄なことはない、と描かれている。
    そして、最後にこの仕事を初めて何年か経った頃、慣れから、経験にあぐらをかき、なんとなーくこう書けばまとまるだろう、と感じていた時期もあった。
    と、素直に書かれているところに好感を抱いた。
    誰も、こんなこと書かなくっても気づかない。
    それをわざわざ文章にする、ということが、大平氏の今後のますますの発展、というのか、今まで以上に必ず書く、そんな固い気持ちを受け取った。

    「何も失ったことのない人などいない」
    どんなに幸せそうに見える人でも何かを失いながらどうにか自分を収め、繕いながら生きている。

    この文章に共感し、少し救われた。
    私の台所もぜひ、大平氏の目から見た視線で書いてほしいと思った。

  • 色々な人たちの台所を取材した記事をまとめた本だけど、どれも台所にとどまらず、人生そのものの話につながっている。一人ひとり異なる喪失と再出発の物語を読むことで、わが人生について考えさせられた。
    特に印象に残ったのは、「本と恋と団地ごはん」とか「八六歳。終わらぬ問いかけ」とか。
    団地で読書会なんて、いいなぁ。料理を持ち寄ってわいわい食べたり飲んだり…
    奥さんを亡くして一人になった男性に料理を作って夕食を共にしているとか…そんなふうに暮らせたら寂しくない。戸建てを建てたはいいけど将来夫が死んでからのことを思って不安になっているわたしには羨ましく感じられた。

    86歳男性の記事は、「得意料理は”なし”と書いたよ。なんでも全部おいしいと思っているので。食事に優劣をつけるのが自分の価値観に合わないの」という断りから始まる。
    「グルメ番組を見るのは好きじゃない。特別な料理と、そうでないものに分けられる感覚に違和感を覚えるのです。番組で扱われないようななんでもない食事でも、僕は感謝して食べる。食事は快楽や娯楽ではなく、生きるためにいただくものだと思うから」という言葉、いいなぁと思いました。
    「生き方や価値観、哲学はみんな違うから、人はそれでいい。僕はそう思うだけ」というのもいい。

    「毎日何してるんですか、ってよく聞かれるけどさ、自分の数学理論もまとめたいし、カメラも親鸞もある。女房が死んでから、何もすることがないっていう日がまだ一日もないんだよね」。

  • 台所にこんなにも人生が詰まっているんだと驚いた。それぞれのこだわりも写真から伝わってきて、置いているものも一つ一つ思い出があると思うと台所は大切な場所。

  • 同じ著者の「東京の台所」を以前読んだことがある。台所を通してその人の生き方を見るということが新鮮で楽しかった。本書は続編的なもの。大切なものを失くした人たちが、喪失感を抱きながらも料理すること食べることで立ち上がっていく。言葉にすると軽くなってしまうが、この本に登場する何人もの人たちと会話して、その生き方に触れていくような気持ちになり、胸がいっぱいになる。そして著者の取材力というか共感能力の高さに驚く。台所を特別な場所と考えたことはなかったけれど、私自身の台所は私らしいのかな?私の歴史が感じられる場所なのかな?と初めて思った。図書館で借りた本だけど、大切に読み返したいので購入決定。

  • 台所を見ながら、その人の暮らしや人となりを見る。

    どんな台所で、どんなものを作り、食べるのか。
    タイトルにもなっているので、そこは取材する上での重要な要素ではあるのだが、そこを通じて、傷ついたり、変化に翻弄されながらも生きている人たちの姿を映し出そうとしているようだ。

    この本では、離婚、死別など、何かを「失った」人が多いが、失っても、台所で作り、食べて、暮らしていく。

    年齢的に、自分もいつか「失う」時が来る(相手に「失う」経験をさせる可能性もなくはないだろうが)のだろうと思うようになった。
    この本を読んで、またその時を考えた。

  • 前作よりもそれぞれのエピソードに一瞬戸惑い、少し戻って再度読むことが重なりました。
    まえがきで今回のテーマが「喪失と再生」であると明かされてはいたものの、大切な人を亡くして間もない方、成人を迎える事で親との縁を断てることを待っている方などのお話が、台所や料理の話とリンクすることで、より生々しさを帯びて伝わってきました。
    台所に焦点を当てているから一層そう思うということを差引いても、やはり”食”はその人を知り、想う時に少なからずついてまわること。あらためてそう思いました。

    料理がもともと好きだった人もいれば、少しずつ料理を覚えて愉しみを見出す人もいるし、逆に料理をする気をなくしていく人もいる。
    料理に前のめりな人ばかりがでてこないのが好きです。

  • 弟から薦められた本。人生の分岐点、人生が変わっていく時に、ふと食が隣にいるような。
    色々あるけど、ふと振り返る時、後悔や落とし物があるのだろうなぁと。
    薦めてくれた弟に、ありがとう!

  • 素敵な本でした。今のところ2023年一番‼️ ルポルタージュらしい。 生と死が絡む話で、少々重いけれども、人の生きざま、変化、残された人の想い等々、心に沁みます

  • 様々な人々の台所の写真と共に綴られるルポルタージュ。喪失と再生がテーマとなっているように何かや誰かを失い、また歩き出していく方々のお話に涙と共に読みました。誰かと食事をともにしていくことの大切さをもう一度認識できました。

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著者プロフィール

大平 一枝:作家、エッセイスト。長野県生まれ。大量生産、大量消費の社会からこぼれ落ちるもの・
こと・価値観をテーマに各誌紙に執筆。著書に『東京の台所』『男と女の台所』『もう、ビ
ニール傘は買わない。』(平凡社)、『届かなかった手紙』(角川書店)、『あの人の宝物』(誠
文堂新光社)、『新米母は各駅停車でだんだん本物の母になっていく』(大和書房)ほか。
「東京の台所2」(朝日新聞デジタル&w)、金曜エッセイ「あ、それ忘れてました(汗)」
(北欧、暮らしの道具店)、「令和・かぞくの肖像」(OIL MAGAZINE)など連載多数。


「2021年 『ただしい暮らし、なんてなかった。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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