あなたの言葉を

  • 毎日新聞出版
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本棚登録 : 3645
感想 : 209
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620328058

作品紹介・あらすじ

『かがみの孤城』『ツナグ』の辻村深月がいまこそ伝えたい「言葉のちから」。「正解」のない世の中で、自分の言葉で考え、気持ちを伝えられるようになるために――人気作家が自らの体験をもとに語りかけるエッセイ集。〔毎日小学生新聞大好評連載中〕

感想・レビュー・書評

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  • 優しさ満点の辻村さんのエッセイ。

    子供に語りかけるように、本の面白さなどを伝えてくれます。大人になった、私にも沁みました。

    こんな方が国語の先生だったら、人生変わってたんだろーなー。

    子供の時に出会っておきたかった本書は、来年小学生になる私の息子にバトンとして必ず渡します。

  • 大好きな辻村さん♪
    小説も好きだけど、エッセイも優しいお人柄が現れてて、ほんと大好き♡

    こちらは辻村さんが、小学生新聞に毎月連載してたエッセイ記事を1冊にまとめた作品。

    もちろん子供たち向けに書かれた内容なのだろうけど、そこには振り返ると思い当たる気持ちが書かれていたり、大人の私の心にもとても沁みた。

    自分の気持ちに正直に、「あなたの言葉を」持つってとても大切なこと。
    大人なはずな私にも感じいる所ありました。

    子供たちに、自身の経験をまじえながら優しく語りかける文章はとても心強く、きっと子供たちの支えや勇気になるだろうと思う。
    この作品がたくさんの子供たちに読まれるといいなぁ\♡︎/

  •  辻村深月さんの『図書室で暮らしたい』には、日本経済新聞の週刊エッセイが収められていました。本書は、毎日小学生新聞に約4年間毎月連載した記事をまとめたもの。その新聞のコーナー名をそのまま本書のタイトルにしたのだそうです。
     4章立てで全43編。平易な文章で読みやすく、いつでもどこからでも紐解けます。

     温かく優しい筆致で、語りかける言葉・文章が読み手に染み渡ります。何よりも上から目線ではなく、子どもの目線に立って共に考えてみましょう、というスタンスが心地よいです。
     借り物でない自分の言葉をもつことの大切さを説き、それが将来の自分を支えて気持ちを伝える武器になるのだと‥。共感以外の何ものでもありません。 
     友だち関係で悩んだり、集団の中での自分の立ち位置に迷ったりしている子たちには、心に響き気持ちが軽くなるでしょう。

     大人が読んでも頷ける部分がかなりあって、我が身を振り返り、どれだけ自分の言葉をもち、どれだけ書いたり伝えたりできていたか、全く心許ありません。「内なる言葉」はコミュニケーション以前の言葉で、考えを深めるために大事ですね。年相応の「内なる言葉」をもちたいと思う此の頃です。

  • 実は辻村深月さんが好きです。といってもまだそんなに作品を読めていないのですが、「かがみの孤城」が素晴らしすぎてこのひとつの作品だけで好きになりました(ポッ)。
    そして、最近、「自分の言葉」に自信がないことに気づきました。5年日記をつけ始めて数年経つのですが、5行くらいにぎゅっとその日の出来事や自分の気持ちを書き表すということが全然上達しないし、たまに友達との会話を思い出しては「あそこであの言葉選びは違ったな」とあとあとクヨクヨしたりするし、なんといってもこのブクログ。読書の途中、そして読後、すごく感動して「あぁ、早くこの感動をブクログに・・・!」と思って、いざ書き出しても、感動を伝えきれる言葉が、表現が、出てこない。くぅ、悔しいぜ!と毎回思います。

    前置きが長くなりましたが、そんなこんなで、タイトルと、著者が辻村さんということだけで本書が気になり読み始めました。
    本書は毎日小学生新聞に連載された記事を書籍化したものです。小学生向けにやさしくわかりやすい言葉で、まるで話しかけるように書かれています。
    「どうして本を読まないといけないのか」といった率直な質問や、「読書が好きだけれど国語の成績につながらない」といった悩み、「創作で人のマネはダメですよね?」といった深い(と私は思った)質問にも、”一緒に考えていきましょう”というスタンスで、丁寧に順を追うように辻村さんの考えや説明が綴られています。
    全体を通して、「好き」という思いを大事にして欲しい、友達との関係の中で素直に表現できないことがあるとしても「あなたの言葉」を大切にして欲しい、という辻村さんの思いが溢れるものでした。「辻村さんは大人なのに、どうして子どもの気持ちがわかるのですか?」という質問が辻村さんに投げかけられたとのことですが、本当にそう思います。私はすっかり忘れているというか、想像力がないというのか・・・。辻村さんに「こうこうこうだから、こうなんだよね?」と書かれると、「あ!そうだったわ、そんな風に感じてたわ、昔」とか「昔はそんなふうに尖ってたわ」と、いわゆる若さゆえの斜に構えた姿勢や、友達関係の中で本来の自分とはちょっと違う自分を演じてたりしていたことを、引き出されるように思い出しました。やっぱり辻村深月さん、すごいな、と思いました。

    本書の感想とは少し離れますが、辻村さんが「かがみの孤城」を書いていた時に話を伺ったというスクールカウンセラーの先生の、「子どもを支える仕事は風のようでありたい」という話がすごく心に残っていて、本書にもその話がまた書かれていて、小躍りしたくなるほどうれしかったです。あぁ、またこの素敵なお話に巡り合えたと。そのスクールカウンセラーの先生いわく、「この先生のおかげで平気になった」と思われるようじゃまだまだで、「気づいたら平気になっていた」とその子が思えるくらい風のようでありたい、と。初めてこの文章を読んだのが、いつなのか、どこでなのかも思い出せませんが、初めて読んだ時感動しました。その後、これが「かがみの孤城」に関係するものだったと知り、そしておそらく今回3度目に出会ったという感じ。私自身、先生でもなんでもありませんが、これはたぶんずっと忘れることはないと思います。

    ということで、最後本書の感想ではなくなってしまいましたが、子どもはもちろんのこと、大人が読んでも「うんうん」と頷くことができる本だと思います。大人も、自分の好きや、自分の言葉を大事にしていきたいですね。

  • 普段あまりエッセイを読まない私ではありますが、大好きな辻村深月さんのエッセイということで本作を手に取りました。小学生を対照に書いたこともあって、優しい先生が語りかけるような感覚があって、とても優しい気持ちになりました。

    本作は辻村深月さんが毎日小学生新聞で連載をしていた内容を編集し、製本化したエッセイ集。コロナや読書、友人関係など、さまざまなトピックで辻村深月さんのメッセージを小学生に届けるといった内容です。

    あくまで私の主観ではありますが、本作は毎日少しずつじっくり楽しむ方が良いような気がしました。というのも、辻村さんのメッセージがとても優しくて、いつまでもこの優しい世界に浸っていたいななんて思ってたからです。

    小学生に向けて書かれた言葉ではありますが、辻村深月さんの人生観や人生の先輩としてのアドバイスは大人でもハッとさせられるのかなと思いました。個人的には、もし自分がこの本を小学生の時に読んでいたら、どんな感想を持つのかなとふと思いました。

  • エッセイ集。子供さん向けの連載をまとめたものですが、大人の自分が読んでも、しみじみ味わい深かったです。特に前半が、心に響きました。

  • 大好きな作家さんのエッセイ集。

    どうしてこの方が書くお話がこんなに響くのか、なんとなくわかった気がします。

    雨の匂いわかりすぎます。

    子供が大きくなるにつれ、親がでしゃばって解決してあげられる機会がなくなっていく事に変な焦りがあったりもして、そんな時にこの一冊が心を軽くしてくれるんじゃないかなと思う。

    何かいろいろ悩んでいる子供たちにぜひ読んでほしいな。

  • 子ども達に向けて優しく語りかける辻村さんの文章。自分の小学生の頃の感情を交えながら、率直に話しているところがとても良かったです。
    易しい表現だけれどもピタリと心に響く言葉のつかい方が、やはり作家さんですね。

  • 図書館に早くから予約しておいたので、早目に借りられた。ありがたい。

    辻村深月さんは、私より一回り以上も年下なので無理な話なのだが、本書は、自分が小学生の頃に読みたかったな。
    私の場合は友達関係のことではなく、親のこと、運動が苦手だったことで色々嫌なことがあった。
    運動が苦手で鈍臭くて、運動会が大嫌いで、短距離走はビリにしかなったことがなくて、水泳もダメだった。
    まさか自分に40歳代になってから長距離や長時間、好きで走るようになる未来が来るなんて思ってもみなかった。
    それは小学校の体育の授業が全部速筋を使い、瞬発力やいわゆる運動神経と言われる類のものを求められるばかりだったせいであって、自分は遺伝的にも遅筋の人であり、持久走なら向いているのだと教えてくれる大人はいなかったからだ。
    (私が小学生の頃には持久走は無かった。
    中学生の時に800m走と1000m走(だったかな?)があり、運動で初めてビリではなく真ん中くらいにいけた時は、自分でもびっくりした)
    運動が苦手で大嫌いで鈍臭かった小学生の頃の私に、この本を読ませてやりたかった。

    他にも、同調圧力や「友達」について苦しく思っている小学生にも、この本はきっと救いとなることだろう。

    もしも辻村深月さんが小学校の先生だったり、スクールカウンセラーだったりしたら、彼女の周囲では救われる児童が多くいたかもしれないが、辻村さんが作家であるお陰で、全国の悩める小学生に彼女の言葉が行き渡るって凄いことだし、(ちょっと言葉が変だけど→)一番効率がいいなと思ってしまった。

    元は毎日小学生新聞に連載されていたものということだが、「本」てやっぱりいいよね!を実感した。

  • 毎日小学生新聞で、月に一度連載している記事をまとめた本。
    子供たちにわかりやすい言葉で、すすめられていく文章。
    私も子供の頃、いろいろと折り合いをつけながら生活をしていたことを思い出した。
    年齢を問わず、たくさんの人に手にとってほしい
    読者に寄り添ってくれる本です。

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著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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