魅惑の仏像 千手観音―奈良・唐招提寺 (めだかの本) (めだかの本 魅惑の仏像)
- 毎日新聞出版 (2001年2月1日発売)
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- Amazon.co.jp ・本 (109ページ)
- / ISBN・EAN: 9784620605654
感想・レビュー・書評
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千手観音を知りたい。
その異形の姿の意味を知りたい。
その思いで、図書館から借りてきた。
写真を撮られた田中光三さんの文章の中に
「仏像を仏像として撮る。」と言う言葉があった。
仏像は単なる彫像ではなく、遠い祖先が祈念した願いや想いが秘められている。
この本に載っている写真は、まさにその言葉通りと感じた。
沢山の眼で大勢の人々を観察し、沢山の手で大勢の人々を救おうとしている菩薩の姿。
しかし、写真に写った千の手を持つ仏の姿は、とても心静かに眺めることはできなかった。
私の胸は、見えない力により圧倒され、大きな何かに鷲づかみにされ、ある場所へと持っていかれそうな恐怖に満ちた。
東日本大震災から10日が経った。
私には、今なお瓦礫の下で発見を待っている人たち、避難所で厳しい状況に耐えている人たちの、救いを求めている手に見えてしまうのだ。
いつか必ず、この千手観音に会いに行きたい。
その時は、心穏やかに眺められることを祈る。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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