数学×思考=ざっくりと いかにして問題をとくか

著者 :
  • 丸善出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (170ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784621088197

感想・レビュー・書評

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  • この本は、数学者ポリア「いかにして問題を解くか」の発想法にヒントを得て、理系学者だけでなく文系の読者やビジネスマンにまで、日常生活や仕事上の問題を解決する方法を提案するために書かれたものです。

    その解決法というのが「ざっくり思考」してみるというもの。
    実際に、フェルミ推定など多数の事例を挙げてどうやって「ざっくりと」していくのかということを説明していて、非常に参考になった。

    ちなみに「ざっくり思考」とは、

    「あらゆる職種において言えることですが、自分に厳密にできないからといって、あきらめる必要はありません。発想を転換して、ざっくりとできないか、考えてみると、意外に道が開けることがあるのです。」

    という前提で

    ・ざっくりと絵やグラフにしてみる
    ・ざっくりと仮説をたくさんあげてみる
    ・ざっくりと桁を揃えてみる
    ・ざっくりとデータ分布や誤差を推定してみる

    ことをいう。

  •  ポリアの著作「いかにして問題をとくか」を具体的な事例をもとにした解説した著作です。とくに強調されているのは,
    ・オーダー(桁)を把握すること
    ・推測することが重要であること
    ・推測するときのサンプル数を極端に減らしたり,増やしたりすることで傾向をみること
    ・統計データにおける平均値だけではない,最頻値や分散の重要性
    といった辺りでした。

     科学や技術をなりわいとする方々には身についている項目も多いと思いますが,若い方には一度目を通してもらえたらなと思い読んでいました。もちろん,理科系の方だけではなく,多くの人に役立つ内容は含まれていると思います。

     ポリアの解説書なので,ポリアの「いかにして問題をとくか(How to Solve It)」が理解できている方には,簡単な内容かもしれません。

  • 読み納め。
    ・フェルミ推定 前より少しわかる
    ・最小二乗法 イマイチ
    ・モンティ・ホール問題 だいぶわかってきた
    ・ヘイズ定理 五里霧中

  • 面白い。軽妙な説明でわかりやすく数学的な見地から物事に対しての見方を教えてくれる。

    アメリカ軍では砂漠でコンタクトレンズが使えず、暗視ゴーグルにメガネが合わないためにレーシックを受けさせているらしい。それを元に安全性の話を展開しているが、軍人は基本的に若いうちしか使えないので(上級将校は除く)、米国ではレーシックのリスクを気にしていないのではないかと思った。

  • オーダーで把握する。その時、データを正規分布として大抵の人はみなすが、
    実際世の中はベキ分布や対数正規分布などのロングテール型の分布である。
    データの分布についてしっかり把握することが大切。
    ざっくりと考えるには次元解析の考え方が有用である。
    その時、考慮すべき要素を全て漏らさずに行う。
    現場で役立つのは孤立した知識ではなく、知識同士の関連性である。

    ここで学んだ手法を実生活に取り入れる。
    興味深く読むことができた。

    ポリアの教え25箇条
    ステップ1.問題を理解すること
    1.未知のものは何か探してみよう
    2.条件を満足させうるか考えてみよう
    3.適当な記号を導入して図を描いてみよう
    4.条件の各部分を分離してみよう

    ステップ2.計画を立てること
    5.前にそれを見たことがないか思い出してみよう
    6.似た問題を知っているか思い出してみよう
    7.役に立つ定理を知っているか思い出してみよう
    8.未知のものの詳細をじっくり見てみよう
    9.似た問題で既に解いたことのある問題を活用できないか考えてみよう
    10.問題の言い換えができないか考えてみよう
    11.迷ったら定義にかえってみよう
    12.もっと一般化して考えてみよう
    13.もっと特殊化して考えてみよう
    14.類推できないか考えてみよう
    15.問題の一部分だけでも解けないか考えてみよう
    16.条件の一部だけを残して他を捨てて未知の部分を浮かび上がらせよう
    17.手持ちのデータを全て活用できたか考えてみよう
    18.全ての条件を使えたかチェックしてみよう
    19.問題に含まれる本質的な概念を全て考慮できたか確認してみよう

    ステップ3.計画を実行すること
    20.解答の結果を実行に移す前に各段階を今一度検討してみよう
    21.各段階が正しいかどうか再確認してみよう

    ステップ4.ふり返ってみること
    22.結果を試してみよう
    23.議論を試してみよう
    24.結果を別の方法で導けないかどうか考えてみよう
    25.他の問題にその結果や方法が応用できるか考えてみよう

    著者のざっくり思考の4パターン
    1.ざっくりと絵やグラフにしてみる
    文字では分からなかった問題の本質が見えることがある。
    事例
    プレゼンや結婚式など急に人前で喋らなくてはいけなくなり、心細い。
    →ざっくりとしゃべる内容を絵やグラフにしてみる。

    2.ざっくりと仮説をたくさんあげてみる
    仮説が少ないと間違った答えしか出てこない。
    事例
    身内が病気になったが病院で原因不明と言われ困っている。
    →より多くの仮説を検討してくれる病院にセカンドオピニオンを貰いに行く。

    3.ざっくりと桁で憶えてみる
    数学が得意な人ほど、まずは桁で問題の本質を把握し、それから細かい計算を詰めていくことが多い。
    事例
    会議などでいきなり数字を訊ねられて慌てた。
    →ざっくりと桁で答えてしのぐ。

    4.ざっくりとデータの分布や誤差を推定してみる
    調査データには必ず分布や誤差がある。
    事例
    セールスマンが平均の数字を出してきた。
    →元になった調査や誤差について詳しく訊ねる。平均では何も分からない。

  • ・統計データの誤差計算の簡便法。測定数の「√」をとるだけ。たとえば600世帯のサンプルだとすれば誤差は√600

  • GLOBIS推薦図書

  • 2017/1/7宝塚中央図書館から借りた。
    2017/1/7返却。

  • 問題があった場合、どう対処すればよいかを考える事時代が難しいこともある。
    それに考えた結果が良い方向に行くのか?どれくらいの時間がかかるのか?もっと効率的な方法はないか?と様々疑問がわくときがある。
    そういう時は、数学的な問題解決技法と、思考力を合わせて「ざっくり」とした方向性を見極めることの重要性を説いている。

    竹内式実践に役立つ「ざっくり思考」4パターン
    ・ざっくりと絵やグラフにしてみる
    ・ざっくりと仮説をたくさんあげてみる
    ・ざっくりと桁を覚えてみる
    ・ざっくりとデータの分布や誤差を推定してみる

    ただこの本のもととなっている「いかにして問題を解くか」と比較すると非常に軽い文章となっている。

  •  何もかもざっくりと考えてみて解決してくれればよいのだが。これもまた技術のたまものなのでしょう。

     竹内せんせの心は日本にはないんだろうな。日本的考え方があまり好きではないようだし4x3、3x4場合によってはとっても大切なことなんだけどね。どっちを見るかで変わる世界は面白いようで後々怖い。

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著者プロフィール

たけうち・かおる サイエンス作家。1960年生まれ。東京大学教養学部教養学科、同大学理学部物理学科卒業。マギル大学大学院博士課程修了(高エネルギー物理学専攻、理学博士)。フリースクール「YES International School」校長も務める。著書に『99・9%は仮説』(光文社新書)、訳書に『WHAT IS LIFE? 生命とは何か』(ポール・ナース著、ダイヤモンド社)などがある。

「2021年 『人と数学のあいだ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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