本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
本 ・本 (216ページ) / ISBN・EAN: 9784621309858
作品紹介・あらすじ
「人生100年時代」となった21世紀において、長寿化は生きることを量的に延長させただけでなく、質的に変化させつつある。とりわけ、急速に変容しつつあるのは「労働」のあり方だ。ネットワーク化されたデジタル社会において、生産と消費や労働と余暇の区別は不分明化し、働くことは物質的なレベルでの行為ではなくなりつつある。その中で、生きることと働くことの価値はどう定義されていくのか。多様な視点から、働き方と暮らし方生き方の哲学に挑む。
感想・レビュー・書評
-
働き方と暮らし方の哲学 (未来世界を哲学する)
「老い」を不完全なまま故人となる「晩年性(lateness)」として想像する
「生と務の分割」/「生きる上でなくてはならないもの」と「あるに越したことはないもの」の線引き
「がんばらない生き方」を肯定し、その実現方法を探求する
「個人的なことは政治的である」 vs 「政治性からの距離(ノン・ポリティカル)」
「最も必要なものだけ」の人生:節約と独立の思想
極限まで節約に励み、俗塵という質肉を削ぎ落として神性に近づく(ディオゲネス)
生命維持のための「労働」は、できればミニマムに抑えるべきもの
「生(生存)」と「務(仕事)」を切り離す(ベーシック・インカム論)
「生と働き生をきっぱりと分けることは不可能か」という困難
「社会の中でまともに承認され、一人前と言われるため」に仕事をする
ブルシット・ジョブ (BSJ):誰の役にも立っているか見当がつかない、無意味な仕事
BSJは創造しておらず、フリだけしている仕事
ケアする人へのケアが機能する社会が必要
依存労働は不可視化され、平等の外に存在する
ドゥーリア:「個々人が互いにケア関係を結んで生きている」/「関係に権利がある」
ケアは「労働」に回収できない「愛」の次元によって達成される
処遇困難な依存者/障害者を「別の社会」に閉じ込めるのではなく、私たちが生きる場所で受け入れる
プラットフォーム経済と評価経済/「アテンションエコノミー」
レーティングや予測製品の生成といった新たな「監視システム」
「監視資本主義」:人間を「羊」、個人情報を「羊毛」に喩える
ドライバーは「アルゴリズム上司」に使役されている
ユーザーは自発的に感情をコントロールする**「感情労働」**を強いられる
「他人指向型」:従うべき規範が不明確になる状況(リースマン)
コミュニケーションが「キャラクター」の枠内に留まり、深く踏み込まない関係性
プラットフォーム経済への対抗策:「制作」と**「怠惰や無為」**
レーティングを介さず素朴に何かを体験する「怠惰で無為」な判断力
「ていねいな暮らし」
暮らし方のイデオロギーには**「非政治性」**が刻印されている
整理・収納術に見られる**「振る舞い」としての自己啓発**
「捨てる」とは異なり、厳選されたモノを**「所有する」**点に力点
(「PERFECT DAYS」は)汚物や家事労働、性労働といった側面が排除されている
「ていねい」にはもともと「繰り返す」という意味がある
「私」をケアする営為として主体的に没入すること(ていねいな暮らしの身体性)
FIRE(経済的自立と早期退職):生活コストの最小化と投資による不労実現
再生産活動への不当評価を受け止め直す思想運動(ミニマリズム・FIRE)
シンパシー(感情的同調)は党派的に働き、配慮すべき相手を選別しがち
「地べた」:中央政府や市場に頼らない相互扶助的な人間関係
個人的な領域や、不可視化されてきた再生産活動(ケア、家事など)に光を当てる
未来世界の哲学を描き出す詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
下記のリンクでご利用ください。
学外から利用する場合は「マイライブラリ」をご利用ください。
https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000173228 -
配架場所・貸出状況はこちらからご確認ください。
https://www.cku.ac.jp/CARIN/CARINOPACLINK.HTM?AL=10282085 -
【本学OPACへのリンク☟】
https://opac123.tsuda.ac.jp/opac/volume/722560
著者プロフィール
美馬達哉の作品





