働き方と暮らし方の哲学 (未来世界を哲学する)

  • 丸善出版 (2024年11月5日発売)
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本 ・本 (216ページ) / ISBN・EAN: 9784621309858

作品紹介・あらすじ

「人生100年時代」となった21世紀において、長寿化は生きることを量的に延長させただけでなく、質的に変化させつつある。とりわけ、急速に変容しつつあるのは「労働」のあり方だ。ネットワーク化されたデジタル社会において、生産と消費や労働と余暇の区別は不分明化し、働くことは物質的なレベルでの行為ではなくなりつつある。その中で、生きることと働くことの価値はどう定義されていくのか。多様な視点から、働き方と暮らし方生き方の哲学に挑む。

感想・レビュー・書評

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  • 働き方と暮らし方の哲学 (未来世界を哲学する)
    「老い」を不完全なまま故人となる「晩年性(lateness)」として想像する
    「生と務の分割」/「生きる上でなくてはならないもの」と「あるに越したことはないもの」の線引き
    「がんばらない生き方」を肯定し、その実現方法を探求する
    「個人的なことは政治的である」 vs 「政治性からの距離(ノン・ポリティカル)」
    「最も必要なものだけ」の人生:節約と独立の思想
    極限まで節約に励み、俗塵という質肉を削ぎ落として神性に近づく(ディオゲネス)
    生命維持のための「労働」は、できればミニマムに抑えるべきもの
    「生(生存)」と「務(仕事)」を切り離す(ベーシック・インカム論)
    「生と働き生をきっぱりと分けることは不可能か」という困難
    「社会の中でまともに承認され、一人前と言われるため」に仕事をする
    ブルシット・ジョブ (BSJ):誰の役にも立っているか見当がつかない、無意味な仕事
    BSJは創造しておらず、フリだけしている仕事
    ケアする人へのケアが機能する社会が必要
    依存労働は不可視化され、平等の外に存在する
    ドゥーリア:「個々人が互いにケア関係を結んで生きている」/「関係に権利がある」
    ケアは「労働」に回収できない「愛」の次元によって達成される
    処遇困難な依存者/障害者を「別の社会」に閉じ込めるのではなく、私たちが生きる場所で受け入れる
    プラットフォーム経済と評価経済/「アテンションエコノミー」
    レーティングや予測製品の生成といった新たな「監視システム」
    「監視資本主義」:人間を「羊」、個人情報を「羊毛」に喩える
    ドライバーは「アルゴリズム上司」に使役されている
    ユーザーは自発的に感情をコントロールする**「感情労働」**を強いられる
    「他人指向型」:従うべき規範が不明確になる状況(リースマン)
    コミュニケーションが「キャラクター」の枠内に留まり、深く踏み込まない関係性
    プラットフォーム経済への対抗策:「制作」と**「怠惰や無為」**
    レーティングを介さず素朴に何かを体験する「怠惰で無為」な判断力
    「ていねいな暮らし」
    暮らし方のイデオロギーには**「非政治性」**が刻印されている
    整理・収納術に見られる**「振る舞い」としての自己啓発**
    「捨てる」とは異なり、厳選されたモノを**「所有する」**点に力点
    (「PERFECT DAYS」は)汚物や家事労働、性労働といった側面が排除されている
    「ていねい」にはもともと「繰り返す」という意味がある
    「私」をケアする営為として主体的に没入すること(ていねいな暮らしの身体性)
    FIRE(経済的自立と早期退職):生活コストの最小化と投資による不労実現
    再生産活動への不当評価を受け止め直す思想運動(ミニマリズム・FIRE)
    シンパシー(感情的同調)は党派的に働き、配慮すべき相手を選別しがち
    「地べた」:中央政府や市場に頼らない相互扶助的な人間関係
    個人的な領域や、不可視化されてきた再生産活動(ケア、家事など)に光を当てる
    未来世界の哲学を描き出す

  • 下記のリンクでご利用ください。
    学外から利用する場合は「マイライブラリ」をご利用ください。
    https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000173228

  • 配架場所・貸出状況はこちらからご確認ください。
    https://www.cku.ac.jp/CARIN/CARINOPACLINK.HTM?AL=10282085

  • 【本学OPACへのリンク☟】

    https://opac123.tsuda.ac.jp/opac/volume/722560

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著者プロフィール

美馬達哉(みま・たつや) 立命館大学先端総合学術研究科教授/脳神経内科医師。脳神経内科の臨床と同時に、社会学の手法で、医療や生に関わる人文学的研究を行う。近年は救急現場での患者選別(トリアージ)を調べている。著書に、『生を治める術としての近代医療―フーコー『監獄の誕生』を読み直す』(現代書館、2015年)、『感染症社会――アフターコロナの生政治』(人文書院、2020年)など。

「2022年 『自由に生きるための知性とはなにか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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