知の公共性と図書館 公共的知識と個人的無知の対比

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  • 丸善出版 (2025年2月4日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (188ページ) / ISBN・EAN: 9784621310731

作品紹介・あらすじ

インターネット環境は,知の公共空間を創出すると期待されてきたが,現状は閉鎖的で排他的な情報空間が乱立している。特定の見方や主張を信奉し,事実を基礎とした意思決定が軽視される社会の到来が予見される今,本書が示唆する「知の開放的な公共空間=図書館」は,現代社会において不可欠な知の社会的基盤であり、社会的機構である。

知識とはどのように文献の中で表現され,公共の知となっているのか。人々は自らの無知を解消するためにどのように公共の知にアクセスするのか。そして,知の社会的機構としての図書館(員)が,いかにして知識を求める人たちに知識を届け、支援できるのかを問い,そのための理論を探究している。

感想・レビュー・書評

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  •  本書の著者 パトリック・ウィルソン氏の著作について語る時には、まず認識論的権威について語らねばならないと思います。

     彼は1983年の著書 "Second-hand Knowledge: An Inquiry into Cognitive Authority" において、科学認識論から認識論的権威の理論を生み出しました。人は直接の経験、もしくは他人を通じての学びという、2つの異なる方法に基づき知識を構築する、というのがウィルソンの認識論的権威の基本的な概念です。そして、「直接の学習においても、世界との出会いの解釈と理解に寄与する知識の蓄積に依存する。」としています。
     しかし、多くの場合、人は他人の考えや直接的な経験外の情報に依存していることから、「世界について思い浮かべることの多くは、間接的に得たものである。」というのが彼の主張です。
     
     その上で、彼は本書において、図書館を「知の開放的な公共空間=図書館」として捉え、現代社会において不可欠な知の社会的基盤であり社会的機構であると考えて、自らの無知を解消するためにどのように公共の知(図書館)にアクセスするかを語っています。

     わたし(みのり)が最も注目したのは、「2章 個人の無知」の「2.6 損失をもたらす無知」です。
     「私たちは情報に基づいて意思決定を行い」、それゆえ「ある情報があれば意思決定は別の方向に向い得る」。
     つまり、情報をより多く持って行われる意思決定が、より少ない情報で意思決定するものより優れているとき、その差はいわば逸失利益といえるという主張です。
     そして、その逸失利益が生じないように図書館の役割・重要性を見直し、図書館サービスのあり方を考えているのが「3章 図書館」であると言えると思います。

     個人の無知から説き起こして、個人の情報取集の限界と無知がもたらす損失を考えることから、公共知である図書館の重要性を説く著者の論理は、とても新鮮に映りました。

     わたしたち「個人」は自分の無知から損失をこうむることを避けるため、今後ますます「図書館」などの「公共知」のサービスを活用すべきだと感じたことが、わたしの本書への感想です。

     ぜひ本書を読んでご検討ください。
    でも、全178ページの本書の価格は5,500円ですので、ご一読にあたっては、(それこそ著者の主張どおり)図書館のサービス(貸出)をご活用されることをオススメいたします♡


    【本書の内容】
     インターネット環境は,知の公共空間を創出すると期待されてきたが,現状は閉鎖的で排他的な情報空間が乱立している。特定の見方や主張を信奉し,事実を基礎とした意思決定が軽視される社会の到来が予見される今,本書が示唆する「知の開放的な公共空間=図書館」は,現代社会において不可欠な知の社会的基盤であり、社会的機構である。
     知識とはどのように文献の中で表現され,公共の知となっているのか。人々は自らの無知を解消するためにどのように公共の知にアクセスするのか。そして,知の社会的機構としての図書館(員)が,いかにして知識を求める人たちに知識を届け、支援できるのかを問い,そのための理論を探究している。

    【著者紹介】
    パトリック・ウィルソン : 1927年にカリフォルニア州サンタクルーズに生まれる。1960年にカリフォルニア大学バークレー校大学院修了、哲学領域においてPh.D.を取得。カリフォルニア大学バークレー校助教授、教授を歴任。2003年に没

    【目次】
    日本語版への序
    序 章

    1章 公共の知
    1.1 公共の知と文献調査

    2章 個人の無知
    2.1 個人の情報システム
    2.2 関心(懸念)と興味
    2.3 知識の社会的組織化
    2.4 情報収集の限界
    2.5 知識と意思決定
    2.6 損失をもたらす無知
    2.7 どの程度であれば十分なのか?
    2.8 適 応
    2.9 個人の情報システムの限界

    3章 図書館
    3.1 図書館の利用
    3.2 完全な図書館へのアクセス
    3.3 情報源としての図書館員
    3.4 図書館サービスの理念
    3.5 図書館と公共的知識

    訳者あとがき
    索 引

  • 哲学者が考える知の本質と図書館の役割が記された一冊。
    1977年に出版されたものの訳書となります。
    インターネットが発展していない時代に書かれたものですが、情報の扱い方と効力は今と変わりません。
    知る前と知った後では人の考え方や動き方を変化させるもの、それが情報です。
    情報を保存し提供するために図書館と司書が存在します。
    司書は情報を処方して無知を治療することから、情報ドクターであると著者は言います。
    司書が質問者の今後の行動を左右させる影響力を持つ仕事であることを改めて考えさせられました。

  • 【本学OPACへのリンク☟】

    https://opac123.tsuda.ac.jp/opac/volume/730765

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