夜と霧――ドイツ強制収容所の体験記録

制作 : 霜山 徳爾 
  • みすず書房
4.15
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本棚登録 : 2259
レビュー : 298
  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622006015

感想・レビュー・書評

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  • とてもよくない事が書かれているが、ところどころにあるフランクル医師の客観的な思考で救われる。
    心打たれたのは、「何人も不正をする権利がないという事、たとえ不正に苦しんだ人でも不正をする権利はないのだ」とアウシュビッツから数々の奇跡で生還した人が言うとは、頭が下がる想いです。
    世間では、「10倍返し」だともてはやされていますが、大事な事は、権利を行使することであって、その権利は、決して不正の上に成り立ってはいけないという事。なぜならそれを行うと、不正を働いている人と同じになってしまうから、正義を逸脱した権利を不正というのだから。
    身近なことで感じるのは、隣の人が道でつばをはいたからといって、自分もつばを吐いてもいいという事には、ならないはず。
    それが、正しいか、不正かは、隣の人がやっているから、多くの人がやっているから、あの人がやっているからといって、正当化されるものではないはず、正か不正かは、それぞれの人の心にあって、決してそれは他者には見せたり、さらしたりできないものである。

  • この本にはユダヤ人精神科医であるフランクル博士が収容所に収監され、解放に至るまでの実体験が書き記されている。生き地獄のような体験談の数々に、読むことが嫌になってしまうかと思ったが、博士が学問の立場から感情的に描写しないよう努めて書いて下さっているので、その心配はなかった。
    読んでみようと思ったきっかけは「一度は読んでおくべき名著」としてWEB上で紹介されており、これほどの読書体験をしたことがない、とまで評されていたからだ。結論から言えば確かにその通りだった。特に胸を打ったのが次の文章である。
    これは博士があるときガスかまどに送られずに済んだ時の感情について書いたものだ。
    『(前略)すなわち苦悩はそれが大きかろうと小さかろうと、どちらにせよ人間の心、人間の意識を満たしているのであった。(中略)人間の苦悩の「巨大さ」も全く相対的なものになるのであり、他方それ自身は極めてささやかなことも最大の喜びをもたらし得るのであった。』
    ざっくりまとめると、『死への苦悩があるから同時に生への喜びを感じることができた』と博士は言っているのである。
    (おこがましく感想を述べて恐縮なのだが)収容された人々の日常における全ての時間が苦悩一色だったわけではなかった。これには大変驚いた。少なくとも博士は上記のように生の喜びを激烈に感じて過ごしていたことが分かったからだ。博士は財産や名誉、家族を奪われたが、喜びを感じる自由は奪われなかったのだ。だから最後まで生き残ることができたのだと思った。
    生き残った博士がナチスを恨むのではなく「もう二度とこのようなことがおこらないように自分ができること」として後世に遺して下さった本なので、絶望の先に希望も感じられる一冊だ。壮絶過ぎて、現実味が感じられないという点も否定できないが、新訳版も出版され読みやすくなっているので、機会があればぜひ読んでいただきたく思う。 (T.A)

  • 究極の精神論。

  • 史実として凄惨なのは間違いないが、この本で感じたことはむしろ感動だった。
    外部からのあらゆる拷問や劣悪な環境による身体的苦痛を受け、人としての尊厳をこれ以上ないほどに傷つけられている状態、その中においてでも内的な精神世界は誰からも侵されない。自分の中に持っている愛する人の像(実際の生死に関わらず)を想像することで、自らを充たすことができる。
    人が人を愛する気持ちを持つ素晴らしさを改めて教えられた。
    心理学の専門用語も多く、理解しきれない内容も多かったところもあり、また日をおいて再読したい。

  • 「夜と霧」新版、とか、なんの本か知らなかった・・
    らナチスかあ
    苦手なんだよなあと思いながら有名な本らしいので読んでみました

    収容所体験記なんて、読まなくてもどんなもんかわかる・・と思ってたら
    甘かった・・

    想像して、なんとなく知ってたより
    何倍も何倍も何倍も
    悲惨だった

    悲惨すぎて読みたくなかったけど我慢して最後まで読みました。

    小さい頃からなんだろうなあ
    映画とかかな
    「なんとなく」知っていたナチスドイツの暴虐の限り
    数とか一部の悲惨さしか知らなかった

    まさかここまでだったとは・・

    大人になって耐性ついたからこそ、読んでよかった。
    ここまでやれる人間が信じられないし、
    それに耐えられたひとたちもなんともいえないけどすごい

    こういうことが止められずに行われていたってことがショックだし
    若い人にも読んでほしいなーと思った

    最近原爆の絵本や写真集もなんとか見れて、想像してた通りの悲惨さだったけど、
    ナチスドイツのことはよく知らないで知ってるつもりになってから
    いい機会だったのかも

    • yukkeさん
      >千尋さん
      倫理の教科書で紹介されてるんですか・・!なるほどー
      わたしはタイトルきいたこともなかった(無知!)のでアマゾンランキングで知りま...
      >千尋さん
      倫理の教科書で紹介されてるんですか・・!なるほどー
      わたしはタイトルきいたこともなかった(無知!)のでアマゾンランキングで知りました~
      戦争を体験してない世代に読み継がれてほしい本だなと思います!
      2012/10/08
    • きうりさん
      こんにちは、僕もたまにはこちらから…。
      有名な『夜と霧』、yukkeさんが読んだのを知って僕も手に取ってみました。
      前半の解説も、あと本文も...
      こんにちは、僕もたまにはこちらから…。
      有名な『夜と霧』、yukkeさんが読んだのを知って僕も手に取ってみました。
      前半の解説も、あと本文も、凄まじい内容です。
      本文のほうは、人間の残忍さも希望もまとめて冷静に見据えているので、読者が絶望感に陥るのをかろうじて抑えていると思います。そこがこの本の唯一の救いですね。

      こういう悲惨な歴史があった、という事実を学ぶには最良の教科書。
      でも「人間同士で、なんでこんなひどいことができるのか? ごく普通のドイツ人たちが、一方では普通の生活を営みながら、一方ではこんなひどいことをすることができたのはなぜなのか?」という根本的な問いは、まったく訳の分からない謎として投げ出されたままで、その意味ではこれほど謎めいた本もないと思います。
      2012/10/10
    • yukkeさん
      >きうりさん
      ほんと、これがノンフィクションってことにただただ驚きです・・・
      ここまでできちゃった人間って、ほんと怖いなーと思います。
      ...
      >きうりさん
      ほんと、これがノンフィクションってことにただただ驚きです・・・
      ここまでできちゃった人間って、ほんと怖いなーと思います。
      あったことにものすごさにびびって、あんまり心理学的な見方について理解できなかったところもあるのであんまり偉そうに意見も何も言えないですが
      読んでよかったです~でももう読まない!笑
      2012/10/11
  •  精神科医V・E・フランクルがアウシュヴィッツの実体験を振り返りながら人は何が大事かを説いていく。

     アウシュヴィッツでの極限の中で人間の尊厳を失わなかった人々。極限の体験を通してどういう人間の心理的なメカニズムが働くのかという事実ではなく、人間はどんな価値を持って生きていくことができるかという意味を扱っていることがこの本の大きな意義だと思う。
     生きるのに必要なことは生きる意味であり、いかなる苦しみもそれを消すことはできない。実存主義の大きな芽としてこの本の価値は計りしれない。

     世界の思想に大きな影響を与えた一冊。 

  • ユダヤ人虐殺がどんなものか知りたかったので読んだが、内容は精神の変動を重視していた。著者が心理学者だものね。

    希望を持ち続ける方法を教えてもらった気がする。
    正直このような場からプラスの刺激を得たことに驚いている。人間が人間扱いされない場から生きるヒントを得るというのは何だか不思議だ。

  • 実際に中身を読むまでは、凄惨な記録の本なのかと思っていました。
    たしかに「解説」ページは様々な人物の略歴のようなものと、収容所の建設経緯、その内外で行われていたことの記述で構成されていました。

    ただ、「本編」は様子が異なりました。
    こちらの訳者はフランクル氏本人とも交流があり、自身も心理学者とのこと。心理や哲学は初心者もいいところなので難しく思うところがたくさんありましたが、極限状況におかれて拷問、病、死に侵されながら なお自我を持ち生き延びた人々の状態を客観視したこの本は、どうにもならない経験をした、あるいはこれから意図なく見舞われる人生にとって学びの一冊となりそうです。意外に思ったり、納得したり、ゆっくりと読みたい本でした。
    前半の解説部分はつらい描写も多く、二段になっていることもあって色々読むのがつらかったので、ある程度強制収容所に対し知識などのある方は本文から読むのでよさそうです。最後に解説ページにもどるとなお、フランクル氏はじめ人々の「すごさ」を感じます。

  • 新版も読んだのですが、こっちにだけ、収容所の様子を書いた「解説」が付属していました。新版には解説はなかったと思います。解説つきのほうが様子がよくわかり資料としておすすめです。

  • 私の世代は当然、霜山先生の旧訳で読んだが、池田さんの新訳を読んで、驚くほど淀みない文章に驚いた。ドイツ語で書かれたという事実を忘れそうになる。これを名訳と呼ばずして、なんと呼ぼう。あらためて読み直すなら、断然池田訳をお薦めする。

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