夜 新装

  • みすず書房
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622011330

感想・レビュー・書評

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  • 15歳の少年の時アウシュヴィッツ強制収容所へと送られ、文字通り地獄を生きた自伝的小説。とにかく収容所での生活が過酷。唯一の支えは父親、神に祈ること。だが、あまりにも常軌を逸した日常は彼の神を奪い取り、殺し、肉親の存在さえも打ち砕いてゆく。強制収容所、戦争が生み出した悲劇はどんな言葉を用いても言い表すには足りない。圧倒的な闇と共に壮絶な痛みがある。本書を読んでナチスの誕生の経緯、ナチス・ドイツの所業を順を追ってもっと良く知りたいと思った。

  • ホロコーストから生き残った作家エリ・ヴィーゼルの話。
    誰かを死に追いやるような迫害は絶対にあってはならないと強く思う。世界は綺麗事だけじゃないけれど、戦争だから仕方ないことなんて絶対に絶対にしてはいけないことだし、みんな分かっているのにどうして権力を持つと人は気持ち悪く変わるのか不思議で仕方ない。明日、自分が反対の立場になるかもしれないのに、自分だけは平気だと思ったユダヤ人たちがここに描かれていた。

  • アウシュヴィッツの話は一度読んで見たかった。ユダヤ人への残虐さに心が痛む。なぜ?

  • 夜と霧に次ぐ壮絶なユダヤ人のアウシュビッツ体験記。極限状態で父親への死をも感じることができなくなった麻痺された心とそれにも増して自分自身の生きる意志の強さを克明に記している。

  • 『夜』(エリ・ヴィーゼル著、村上光彦訳、みすず書房)読了。多感な年齢でナチ収容所に送られた著者によるこの手記は神への信頼をも打ち砕くほどの人間の残忍性を暴いている。これを読むとフランクルの『夜と霧』のポジティブさが異様にかんじられるくらい。「なぜ、おれたちをすぐに銃殺しないんだろうか。」(p.169)という呻きが重くのしかかる。なぜ、“絶滅させる”という目的がありながら、執拗なまでに地獄を生き延びさせたのか。この点は、絶滅収容所に関する書籍を読むたびに浮かびあがる疑問。

    それにしても毎回思うのは、ナチスドイツを生き延びたユダヤ人たちの雄弁さ。日本も同じ時代に戦争をして、残虐の極みを実行した。これに巻き込まれた人びと(加害側も被害側も)の語りが目につかないのはなぜなのか(戦後生まれの作家によるノンフィクションならばいくつかある)。これはわたしの視点の持ち方がずれていて、それでわたしが“期待している”ような作品に出会わないのか。それともそもそもそんな作品がないからなのか。そうだとすれば、やはり戦後の戦争責任の総括のしかたの違いというところに話がいくのだろうか。んー、もう少しアンテナの張り方を考えたほうがいいってことかな。

  • 図書館で借りたのは1967年版だった。
    2010年2月3日に同じ版元から新訳が発売。

    <訳者あとがきよりメモ>
    1958年、フランスの深夜叢書社から叢書《記録》の一冊として刊行された。ナチスの犠牲となって強制収容所に送られたハンガリーのユダヤ人は47万6,000名。事前にパレスチナなどへ逃れることができたのは、わずか1,648名。

  • こういう本はたまに読みますが、いつも怖いと悲しいとか言葉で表現できない気持ちになります。

  • ナチスの強制収容所に収容された作家のひとりであるエリ・ヴィーゼルが、収容所から撤退するナチス親衛隊とともに旅したいわゆる「死の行進」を描いた作品。ともかくひとりでも多く殺そうと、連合国軍に追い立てられたナチスは収容者たちを延々と歩かせ続け、そのために、戦争が終わったのになお何万というユダヤ人が殺されたり、疲労で死んだりした。大学でワルシャワ・ゲットーの文化活動についてレポートを書いたときにめぐり合った本で、「死の行進」のある夜に、ユリエクというヴァイオリニストがヴァイオリンを弾くシーンがあって、それがあまりにも美しい。納屋のようなところで寝ろといわれてぎゅうぎゅう詰めにされてユリエクは「ヴァイオリンが潰れてしまうからやめてくれ」と叫んでいる。みんなが疲労で眠ってしまったとき、ユリエクは美しい旋律を奏でる。朝目覚めると、ユリエクは潰れたヴァイオリンを抱いて冷たくなっている。……作品は三部作で「夜」「夜明け」「真昼」と続いている。「真昼」で主人公が恋人にこう問われる。「どこへ行くの?」主人公の返事は「遠いところ」……この問答は読んで以来ずっと私の胸に住み続けている。自分が書いたものの中でも何度かリフレインさせているもの。

  • 第二次大戦中、収容所に送られたユダヤ人が体験した真の絶望の世界

  • 86年ノーベル平和賞。文学賞ではなく平和賞。
    それがどういうことかは自分で調べてね( ゚ω゚*)♪

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