分裂病の少女の手記

  • みすず書房 (1971年7月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (164ページ) / ISBN・EAN: 9784622023418

感想・レビュー・書評

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  • 読んでると頭がおかしくなりそうというか、世界に対する自分の認知に自信が持てなくなって来る。
    精神と身体が乖離するから、自分のことを「あなた」ではなく「ルネ」と三人称で呼んでもらわないと理解できない。自分と他人の区別がつかない。
    自と他の区別とは幼少期に私達が難なく獲得して来た概念であるが、そう言えばどうやって理解したのだろう。
    赤ん坊は言葉で説明できないので、こうして言葉で表されるととても興味深い。

    統合失調症をよく知らなかったので調べてみたら、幻覚を疑似体験できる動画を発見。なるほど、これは怖いし、生活が辛いなと思った。
    https://www.mental-navi.net/togoshicchosho/for-around/virtual.html

  • 久々に二度読みしてしまった。分量は薄いが、内容に溢れている。自我を失うことにより、世界と渾然一体となった意識を、幾度かの退行の過程で投射、模倣を繰り返すことで分化していく。
    治療者は母ー子という最も単純てあり、重要な関係の分化のステップを成す。
    分裂病の治療だけでなく、人間の世界認識一般に応用できそうなので、また読むかもしれない。

  • ルネという仮名の少女が、分裂病から回復した後に、当時の自分について述べた内容が第一部であり、第二部が彼女を診察したセシュエーによる分析である。ちなみに、セシュエーはルネに「ママ」と呼ばれており、実際に治療の後にルネはセシュエーの養子となり、ルネは精神分析家となったらしい。逆に言えば、それくらいまでにルネは回復したということだ。前書きに、セシュエーが、これほどの理知的でありながらも、どうして、分裂状態から戻ってこれないのか?と疑問を持たれる方もいるらしいが、それはどうしようもないことなのだ、とつづっている。だが、実際に手記におけるルネは理知的だ。彼女は優れた人間観察力を持っているし、自分の認知がゆがんでいることを彼女は自覚している。にもかかわらず、彼女はそれを退けられない。ある意味、「強迫的」な状態に陥っている。だが、次第に、現実と非現実の境界があいまいになってくると、「現実検討能力」とはいかなるものなのか?がよくわからなくなってくる。彼女は理知的でありながらも、現実検討能力がゆがんでいてそれを自覚していながらもそれを自覚しきれていない、といった非常に混沌とした精神状態に彼女はある。だが、これくらい混沌した描写をしなければならないくらいに悲惨なわけである。とはいえ、外側から見ればどれだけこっけいや気味悪く見えたとしても、あるいは、無秩序に見えたとしても、ルネはルネなりの「理知」を持っているわけである。そして、それが、誤っているなどとは誰にもいえないのではないか?社会通念は誤っているといわせるかもしれないけれど、そのレベルでしかないのではないか?

    ともかくセシュエーの献身的な治療によって、ルネは回復する。セシュエーは、記号に対して「象徴」という概念を治療のコンセプトとする。例えば、りんごを母の乳房として与える。つまり、象徴とはわかりやすく言えば比喩である。りんごは母の乳房を意味する、といった具合に、これはユングの夢分析にも通ずるところがある。かくして、ルネは回復の兆しを見せる。二人の間において、精神分析家としての客観的な態度はまるまる崩れているように映じる。フロイトが見たら、「転移」だと騒ぐような事態かもしれない。しかし、彼女、「対象関係論」を思わせる治療である。まず、彼女は、ルネの分裂病の原因を「口唇期において要求が満たされないことによる固着」としており、母親との「関係性」つまり、「愛着」が満たされなかったと考えているようである。なので、このセシュエーの異様なまでの接近性も、対象関係的に彼女がルネの「ママ」になったのだと考えれば、あれこれ説明がつく。そうして、彼女はルネの自我を発展させていく。これは、ピアジェの理論と重ねている。因果関係、アニミズム、永遠的な同一性の認識などである。つまり、フロイト+クライン+ピアジェ+ユングという非常に心理学をうまく混ぜ合わせた例だと思われるのである。とはいえ、セシュエーからすると、ルネに「転移」が生じている、というだけのつもりだったのかもしれないが、それだけなら、養子にはしないだろうし、乳房を与えはしないだろう。

  • ■書名

    書名:分裂病の少女の手記 改訂版―心理療法による分裂病の回復過程
    著者:セシュエー
    翻訳:村上 仁、平野 恵

    ■概要

    以下の二部構成となっている。

     一部:分裂病(統合失調症)に実際になった少女の手記。
     二部:セシュエー(医師)による解説

    ■感想

    読んでいると、"不思議の国のアリスの現実版"みたいな空間に迷い
    込んだ感じがします。(全然明るい世界ではないです。)

    統合失調症の患者の観点から記載されていますので、正常な人間が
    自分の価値観で読んでしまうと、"この人は何言ってるんだろう?
    頭がおかしいだけじゃん!"という感想になってしまうと思います。

    実際、私自身、統合失調症が第3者から見てどのようなものかも明
    確に知らない人間ですが、患者さん自身の内面の葛藤をこうして
    文章で読んだ時、"治療中にこんな感情、完璧に理解するのは絶対
    不可能だよ!"と思いました。

    それほど、感情が激しく揺れ動いており、また、患者さん自身が表
    面に出している感情と違う事を求めていることも多く、その内容に
    一貫性も無いため、かなりの運が必要な気がしました。

    また、言葉の使い方一つ(相手を名前で呼ぶか否かなど)で、全く違
    った方向に患者さんの感情が動いてしまうのも、非常に厄介な症状
    だと感じました。

    綺麗ごとになってしまうかもしれませんが、患者さんが治るか否か
    は、医者と周りの看護師が最後まで愛情を持って接することが出来
    るか否かだと感じました。

    ただ、どのタイミングで現実の世界に引き戻せるかは、かなり運だの
    みという印象を受けました。

    ■気になった点

    特になし

  • 1950年に出版された本の邦訳版。少女ルネの罪業感は以前のワタシの罪悪感、自己否定感でもあった。精神分析療法のみで(この当時未だ向精神薬はない)、自分を再建していく、自我を再構築していく様は感動的。統合失調症の陰性状態は所謂「痴呆」の状態ではなく外部の動きを認識しているのか、ただそれを外部に表現出来ないだけなのだ、という事が衝撃だった。この部分は多分誤解している人は多いと思う。

  • 2024/12/19

  • 患者の訴える深い罪業感を知る片鱗が精神分析的な解釈とともに書かれている。もう少し生物学的な知見と合わせて考えてみたいものだ。詳しくは手帳に。

  • ・精神分裂病(統合失調症)の発症から快復までを綴ったルネの手記に、治療者セシュエー女史による分析が付されている。不安が恐怖を呼び起こし、恐怖が現実感を喪わせ、そして非現実感は自我を崩壊させる。ルネの手記は病者独特の内的状態を知るうえで、貴重な記録だ。

    ・統合失調症という不可解な病に相対する治療者の試行錯誤も克明に描かれている。ところで、この病を発症したルネの言動も奇妙なものだが、その治療法もまた奇妙に見える。リンゴの一片を母親の乳房に見立て、母乳を与えるかのようにしてリンゴを食べさせることによって、ルネが現実感を取り戻したという話などは、にわかには信じがたい。乳幼児期に母親との感情的接触が希薄だったことが統合失調症を誘発したという説明には一応の納得ができたとしても、象徴的実現という心理療法によって自我の再構成に成功したという解釈には違和感を拭えない。

    ・現在の精神医学の界隈で本書がどのような位置づけにあるのかは分からないが、この例外的な事例の中に可能性を感じるかどうかは、判断が分かれるところだと思う。

  • 私の見ている世界が
    窓を変えるとどんなふうに見えるのか
    その好奇心を満たしてくれた本。

    初めて読んだ頃、
    R・D・レインが流行りで
    狂気の人の方が実は真実に近いかもしれない、
    という彼の考え方の裏付けとして
    とても興味深く読んだ本。

  • 高橋ピエールのおすすめ

  • 精神分裂病患者の体験記。患者の視点で描かれている。他者はロボットか人形のようで輪郭を失い、周囲の物たちは意味をなさなくなり、自己を失ってしまう恐怖。
    自分が見ているあらゆるものは、他人の目にも同じように写っているのだろうか。

  • 翻訳ということと専門用語が多いという事で少しわかりにくい事が多いのだが、それでも私は精神病の類いの人に対しての見解が大きく変わった。本人の思考には第三者がまるで予想もできないような事が起こってる事実は驚愕だった。ルネ本人の手記はとても興味深い。ピカソを追想した。

  • 精神分裂病(統合失調症)を発症した少女ルネの病的世界と、「ママ」に出会って病気から回復するまでの過程を綴った手記。ルネの「世界」が、意外と身近に感じられる。

  • \105

  • 統合失調症の知識のない方でも読んでいけると思います。

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