量子力学の数学的基礎

  • みすず書房 (1957年11月15日発売)
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本 ・本 (376ページ) / ISBN・EAN: 9784622025092

感想・レビュー・書評

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  • ノイマンによる名著。絶版だったが最近復刊されたときに購入→以後積読。数学者の立場から説明された量子論で、なかなか敷居は高そうだがいつか読みたいと手元に置いている一冊。アイシャムの量子論を読んでから読む予定。

  • 昨年75歳で亡くなった叔父からもらった本です。叔父はしきりにスゴイ本だと言ってましたが、ほとんど読んだ形跡はありません。無論、私にはサッパリわかりません。世の中は本書をどのように評価しているのかを調べたら、Amazonでおもしろいレビューを4つ見つけました。他人のフンドシを借りるのは大変心苦しいですが、私と同じ悩みを持つ読者のために、それらのレビューを紹介します(一部を編集したレビューもあります)。
    ②と③は難しい。②の「本書は量子力学の哲学を論じるには必読書の一つ」、③の「この本の現代的意義は、量子論的観測に対するフォン・ノイマンの考察にある」という評価から、量子力学を応用する工学分野の人間にとって、本書はまったく無用であることがわかりました。結局、①の「本棚に威圧感を醸し出す」、④の「猿には普通に読めない」が、私にピッタリであり、私の諦め感を助長してくれました。叔父も「置いておくだけで書棚に香気が漂う」と言っていました。トイレの芳香剤でもあるまいし。

    ①drsatoruさん
    <これで完璧
    2014年7月31日
    自宅書斎の本棚に威圧感を醸し出すのにこれ以上のものはなかなかない。>

    ②「アホかいな」さん
    <「ヒルベルト空間」は「コード」であることをわきまえよ!
    2018年3月6日
    (略)原著1932年、邦訳は1957年であるにもかかわらず、本書はいまだに量子力学の哲学を論じるには必読書の一つであり続けている。今回の「読み直し」でその理由がよくわかったので、遅ればせながら書評をかくことにした。物理学専攻の学生なら量子力学の基本方程式、シュレージンガー方程式を学ぶ際に「ヒルベルト(複素)空間」が出てくることは常識。しかし、まさにその必須概念を導入したのが本書である。この概念は、それ自体では物理学と何の関わりもない。ところが、フォン・ノイマンの慧眼が、この数学的道具立てを量子論とその基本方程式の『解釈」に極めて有用であることを見て取り、現代の物理学徒の常識(あるいは「偏見」)としてしまった。
    では本題。「ヒルベルト空間」(と略記)とは、「次元が無限にある」「複素数が張る空間」である、と言われると、素人は「ワケわからん」。こういう用語は、ある量子系(例えば、猫を閉じ込めて、量子物理学を利用した毒ガス装置を備えた箱)の物理的状態を「数学的に表現する」ための(わかってみれば便利な)コトバである。例えば、日本語のひらがなを計算機内の電子回路上で表現するために、0と1からなる2進数を使うなら、6桁の数列で十分(64あれば50音には十分)。これを「2進数のコ−ド」というが、000000や101010自体には意味がない。これらと個々の「ひらがな」とが<関係づけられて>初めて意味がわかる。ヒルベルト空間でもまったく同じで、シュレージンガーの波動方程式で現れる「波動関数Ψ」(量子系の状態を表す)が、「波動牲と粒子性」とが重なり合うことを表すことに対応して、Ψを表す状態ベクトルが複素空間内でぐるぐると回る回転角度に応じて無限に多くの状態を表現できるというのがミソ。「基礎」というコトバにも惑わされてはダメ。ヒルベルト空間は量子力学の「基礎づけ」をするものではなく、量子系の状態を表すための便利な「コード」に他ならない。たったこれだけのことを理解しておけば、フォン・ノイマンのこの名著の意義を理解する糸口が見えてくる。物理学徒だけでなく、科学哲学徒にも、いまだに必読である本書をおすすめする。物理学者も科学哲学者も、誰も書評を書かないので、評者がでしゃばったワケ。
    本書について、立ち入った解説を読みたければ、小澤正直『量子と情報』(青土社、2018)の第3章をぜひ参照されたい。これだけ見事な解説はなかなか見つからない。>

    ③「יודה」さん
    <この本の現代的意義は、量子論的観測に対するフォン・ノイマンの考察にある。
    2018年10月1日
    この本の現代的意義は、量子論的観測に対するフォン・ノイマンの考察にある。
    ディラックが導入したδ関数に関しては、ディラックの数学的な直感に フォン・ノイマンが敗北したと言わざるを得ない。フォン・ノイマンは 本書に於いて 頑張って δ関数を消去した。しかし、δ関数の存在を認めても、実数から複素数への拡張のように、矛盾を起こさない。実際、 その後、関数を拡張して、超関数という概念が作られた。
    ※フォン・ノイマンが このような拡張に気づかなかったのは不思議である。
    量子論的観測に対し フォン・ノイマンが行なった考察は 現代でも 実在論的多世界解釈(宇宙の客観的時間発展はない!/宇宙は定常状態である!)として意義を持っている。
    ※意識(経験、知覚、観測)メカニズムが、自分にとっての宇宙の現れ(宇宙の側面)の主観的時間発展を経験(知覚、観測)する。
    ※意識(経験、知覚、観測)メカニズムが、観測した結果の波動関数の崩壊(縮退)を経験(知覚、観測)する。
    (略) >

    ④「北狐」さん
    <夜明けの歌
    2020年3月12日
    これは、人類の夜明けを告げた画期的な本です。人類を猿から未来人に進化させた本です。従って、猿には普通に読めません。
    コツは、初めから読まないで、いきなり肝(P122~約P 132)から読むことです。(例えば、新井朝雄著『ヒルベルト空間と量子力学』や竹之内修著『関数解析・同演習』を片手に)
    そうすれば、フォン・ノイマンいかに優れた天才か良く理解できます。(略)>

    【参考】

    ジョン・フォン・ノイマンは、数学、物理、核兵器開発、計算機科学、気象学、経済学、政治などの広範囲の分野において活躍しました。そして、多くのエピソードを残しました。Wikipediaから、適当にピックアップすると次のようです。

    ・何十年も居住している家の棚の食器の位置すら覚えられなかったほか、1日前に会った有名人の名前すら浮かばなかったことも。興味がないものに対しては全く無関心であると評された。またこれらの事は、ノイマンが事柄の記憶にひきかえ、意外にも画像の記憶が不得手であったことに由来しているとも言われる。親友であったスタニスワフ・ウラムの自伝にも、そのことを表す記述が見られる。「ジョニーは与えられた物理的状態の下でどんなことが起こっているかを推測する直観的常識や、十分な感覚あるいは趣味を、ほとんど持ち合わせていなかった。彼の記憶は主に耳からのもので、目からのものではなかった」

    ・政治での立場はタカ派であった。 青年期に経験したハンガリー革命、アーサー・ケストラーの『真昼の暗黒』やスターリン政権下のソビエト連邦への短い旅行などを通じて、ナチズムと共産主義を「左右の全体主義」と嫌っていた。ソ連への先制攻撃を強く主張し、後に『ライフ』誌が掲載した死亡記事によれば、1950年に「明日彼らを爆撃しようではないかと言われたら、なぜ今日爆撃しないのかと言う。今日の5時にと言うなら、なぜ1時にしないのかと言う。」("If you say why not bomb them tomorrow, I say why not bomb them today? If you say today at 5 o'clock, I say why not 1 o'clock?") という発言をしたとされる。スタンリー・キューブリック監督はこのインタビュー記事から映画『博士の異常な愛情』のストレンジラブ博士を生み出した。

    ・アインシュタインの心には、最も優れた人や有名な人も含め他の物理学者に対して一種の軽蔑が育まれてしまったのではないか、あまりに神格化されもてはやされ過ぎてしまったと思わないかどうかとウラムに尋ねられた際、「君の言っていることは正しい。彼は、この物理学の歴史において他の人々が自分の競争相手となるものであるという考えが、あまりにもなさ過ぎる」と同意した。

    ・セクハラの常習犯で、秘書のスカートの中を覗くのが趣味だった。また下品なジョークや会話で周囲の顰蹙を買う事も多かった。

  • ノイマンのmathematical foundations of quantum mechanicsの日本語版です。
    私は当時、原著のほうでM1のゼミを受講しまして、四苦八苦していましたが日本語版を手に入れてみると……あれ? 誤訳多くね? と。
    元々難易度がやや高めの本で、量子力学的な知識は前提として扱うタイプの本ですので、それならいっそ原著の方を読んだ方が良いかもしれません。
    古い本ですから入手難易度の問題はあるかもしれませんが……。

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