戦争とプロパガンダ 2

  • みすず書房
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  • レビュー :5
  • Amazon.co.jp ・本 (104ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622036838

作品紹介・あらすじ

パレスチナの地で起こっている現実をどう考えればよいか、パレスチナとイスラエルの歴史を背景に"9.11"以降、誰の目にも明らかになった合衆国とイスラエルの関係に分け入り、メディア批判を通して"わたしたち"がすべきことを描く。『戦争とプロパガンダ』につづく"世界の今"への必読の書

感想・レビュー・書評

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  • 著者自身のウェブサイトや新聞等の媒体に発表した2002年時点でのパレスチナの現実。嘆き悲しみそして怒り。その矛先はイスラエルやアメリカだけでなく、ヨーロッパやアラブ諸国、パレスチナ自治政府にまで及ぶ。この絶望状態から生まれた新しい動き(パレスチナの、又はイスラエル内部の抵抗勢力)に未来と希望を託す。この一年後にサイードは亡くなる。無念だったろう。しかし10年以上経た今でもサイードのメッセージは強く訴えてくる。私は今頃になって漸くその声を聞き、少しずつパレスチナ問題を分かりかけてきている。言葉は生きている。

  • パレスチナ問題やイスラムに対する誤解、無関心に対してサイードの怒りが伝わってくる。この人にはパレスチナ解放まで生きていて欲しかった。

  • 2010/3/23購入

  • 歴史に情けはない。苦しみや残酷を禁ずる掟もなければ、罪業の犠牲になった民族に世界における正当な地位を回復させるような内的バランスも内在しない。
    イスラエルのような小国がアラブイスラム諸国に囲まれて少数民族国家として存続していくためには、合衆国への当座の依存が必要なだけでなく、むしろ周囲の環境に自分を順応させることの方が肝心である。

  • この一連の本を読んで一番印象に残った言葉が『戦争とプロパガンダ3』に出てくる「アメリカに住むユダヤ人のイスラエルに対するおおやけの支持においては、パレスチナ人という人々が現実に存在することを認めるようなものはいっさい容認せず、それが許されるただ一つの例外はテロリズム、暴力、悪意と狂信のからみで出てくる場合だ」であった。パレスチナ問題について、それなりの知識を得ていると思っていた自分であったが、ここに来てパレスチナ人の存在が容認されていないという事実に気がついた。
    アメリカのユダヤ人が与えられた教育ではこのような民族の否定を行っている。これは一国がありとあらゆる手段を使って事実を自分たちの利益になるように、情報を捻じ曲げて発信し、利用した情報操作であった。メディアだけでなく、教育にまでも情報操作を浸透させることによって、曲げられた事実をあたかも元の事実であるかのごとく人々に信じ込ませやすくした。ひとつの民族を「民族浄化」という言葉を使うことなくして、「浄化」させてしまう力が情報操作にある。考えてみればこれはナチスやボスニア紛争での民族浄化よりもはるかに危険性を潜んでいるといえるだろう。なぜならば、言葉に出さないことによって外部としての第三者はその行為に気づくことはないからである。
     操作ひとつで有利にも不利にも動かせる情報とそれを伝える報道。実際現地で何が起こっているのか見ることができないからこそ、私たちは報道を頼りにする。しかしながら、報道には常に情報操作が付きまとっている。故意にではないにせよ、カメラレンズに映らない部分があり、またフィルムに納める部分も取材者の主観的、恣意的選択によるものであるからだ。今のような情報が簡単に手に入る時代だからこそ、メディア・リテラシーと視点の転換、多元的視座が常に必要ではないかと思う。
    『戦争とプロパガンダ』という題であるこの一連の本を通して、報道(もしくは情報操作)との「共生」について改めて考えさせられた。

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