夜と霧 新版

制作 : 池田 香代子 
  • みすず書房
4.23
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本棚登録 : 9279
レビュー : 1089
  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622039709

感想・レビュー・書評

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  • 極限状態に置かれたとき、人は天使にも悪魔にもなり得る。自分が悪魔になりそうでいつも嫌だなと思っていた。でも、その時にどのような態度を取るかという自由は誰にも奪えないとフランクルは語っていて、自分で選択することなんだと気づかされた。悪魔になってしまったと流されるのではなく、何とか踏みとどまって良い選択をできる人になりたい。

  • すごい本だった。重すぎてむちゃくちゃしんどいところもあるけど、それを乗り越えた先がすごいというか、死ぬまでに読んでおいて本当に良かったと思う。読むきっかけをくださった森内俊雄さんに心から感謝。定期的に読み直したい。

  • 作者は自らの体験を交えながら、収容所を構成する様々な立場の人間を通して、極限状態の精神を分析してゆく。話は、人間の生きる意味や、そもそも人間とは何かという本質的な事柄にも及ぶが、普段の日常からかけ離れた体験から導き出される考察はどれも新鮮で、時代が変わっても似たような本が出て来ることは無いように思う。
    抑留や収容などの体験談を読み聞きするたびに、どうしてこんなにも非人道的な事が出来るのだろうと一種のフィクションに近い縁遠さを感じてしまっていたが、冷静に且つ客観的に分析された本の内容が、一気に現実的なものとしてそれらを身近に引き寄せてくれたような感覚。
    宗教的な内容もあり、少し理解しづらい箇所もあったが、とても興味深く読めた。

  • この本は宗教学の授業で紹介されて、興味があったので読んでみました

    ユダヤ人の精神医学者である著者フランクルが収容所で体験した悲惨な生活を鮮明に描いています

    フランクルの180°見方を変えて物事を考えているところに刺激をもらいました

    わたしたちが生きることからなにを期待するのかではなく むしろひたすら生きることがわたしたちからなにを期待しているのかが問題なのだ

    • 養老まにあっくすさん
      ぼくも同じところで感銘を受けました!
      ぼくも同じところで感銘を受けました!
      2018/04/13
  • この本の中で1番大事な点は、同胞ユダヤ人の悪意をしっかりと描いていることだ。監視役を命じられた同胞は、囚人に対してドイツ兵よりも辛く当たる。長い苦しみの果てに収容所を抜け出したあと、同胞のひとりは麦畑を踏んで歩く。「あれだけの苦しみを受けた俺たちに、これぐらいのことが許されないわけないだろう!」と。言語に絶する苦しみを受け、飢餓、寒さの極限状態の中、それでも冷静に周囲を観察していた作者の眼はそら恐ろしいものを感じる。悪意なく石ころを投げるドイツ兵も恐ろしい。この本は、ナチスへの復讐のために書かれたものではないということだ。

  • ベストセラー作品の割にこの年まで読まずに来てしまっていたので、一度腰を据えて読んでみようと思って手に取った。ホロコーストは、高校生の時に市の図書館でホロコースト展を見たことがきっかけで、シンドラーのリストを見たり、いくつかそれ系の本を読んでいたのだけれど、久々に読んだこの本は、収容者側の心理が事細かに書いてあって、とても興味深く読めた。よくレビューで書かれているように、ものすごく感動したり心を揺さぶられることはなかったけれど(10代のころに読んだらまた違ったか?)、歴史的に価値のある本であることは確かだと思った。
    原題はとくに変哲もないものなので、日本での売上に最も貢献したのは、「夜と霧」という詩的な素晴らしいタイトルに変えた翻訳者の功績だと思った。

  • どんなに外から圧力をかけても、人間の中身は誰にも侵されない。
    生きていれば、嫌な事や、自分ではどうにも出来ないことが沢山ある。でも、自分が自分であることは守ることができるんだ。その時に自分がどう判断、選択するか。
    苦しい時にしか、考えつかないようなこと、気づかないことも沢山あるんだから、時々刻々を大切にしよう。

  • 強制収容所から生還できた医師の強制収容所内の記録。
    強制収容所に関する映画を何作か見ていたので、収容者の生活の過酷さは知っていたけど、内部の人間からの観察と分析は新鮮だった。苦しい環境の中で理性を保てた著者の精神力に敬意を感じる。

  • 原題直訳は「ある心理学者の強制収容所体験」であるが映画タイトルを拝借した「夜と霧」が妙なる題名だ。不謹慎ながら作品全体に生物的粗暴と人間的尊厳が入り混じった詩的な美しさを感じる。序章において著者は心理学者としてナチス強制収容所の被収容者の心的変化の分析を謳っていつつも描かれるのは自身の酷遇な体験記であるが、どちらつかずの中庸な記述と暗澹漂う雰囲気がなんとも奇妙な神々しさを感じさせる。「アンネの日記」に近い感覚かもしれない。

    著者は収容所生活における感情的段階を3つに分けているが、特に衝撃的なのは第3段階の放免過程である。著者は「人間はどんな環境にも慣れる」と述べているが、どのような環境であったとしても慣れた環境が極端であればあるほど感情回復に混乱が伴う過程が痛々しい。

    ナチスの冷徹さ、強制収容所の過酷さを記した書籍は数あれど、一風異なる別視点で良い面も悪い面も含めた不思議な人間の荘厳さを備えた作品であった。

  • 壮絶かつ残忍な歴史に触れる題材に対して、私的なエピソードを交えた感想を述べるのは、なんだか場違いな気がするが、著者フランクルは収容所での経験を基に普遍的な心理学的理解目指したということなので、それに乗じてしまおう。

    この本を読むきっかけになったのは、“精神的に追い詰められていたある個人的な事象について、自分の人生に於ける黒歴史に感じて忌々しい”と、前職で世話になった心理士にチラッと話したところ、この本を勧められたからだった。

    惨たらしい歴史とはまた違った状況なので、単純に例えること出来ないことは承知の上ということは前置きさせていただこう。
    この本に記されていることは、ブラック企業でのパワハラや、学校におけるいじめやスクールカーストなどを代表とした歪んだ組織内の関係性を理解し対応し、その抑圧に巻き込まれた人間が再び自分の力で歩んでいくことを目指す上で、現代社会においても十二分に通ずる心理学理論である。フランクルの功績の大きさに、ただただ感銘を受けるばかり。

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著者プロフィール

ヴィクトール・E・フランクル(Viktor Emil Frankl)
1905年、ウィーンに生まれる。ウィーン大学卒業。在学中よりアドラー、フロイトに師事し、精神医学を学ぶ。第二次世界大戦中、ナチスにより強制収容所に送られた体験を、戦後まもなく『夜と霧』に記す。1955年からウィーン大学教授。人間が存在することの意味への意志を重視し、心理療法に活かすという、実存分析やロゴテラピーと称される独自の理論を展開する。1997年9月歿。
著書『夜と霧』『死と愛』『時代精神の病理学』『精神医学的人間像』『識られざる神』『神経症』(以上、邦訳、みすず書房)『それでも人生にイエスと言う』『宿命を超えて、自己を超えて』『フランクル回想録』『〈生きる意味〉を求めて』『制約されざる人間』『意味への意志』(以上、邦訳、春秋社)。

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