心的外傷と回復 〈増補版〉

  • みすず書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (430ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622041139

感想・レビュー・書評

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  • 私は、被虐体児童であった。
    加害のメカニズムがすごく丁寧に描かれていて、まるで自分の起きたことを知っているかのようだと思った。
    監禁状態と児童虐待の章は、フラッシュバックをともないながらなんとか読み終えた。被害者を徹底的に無力化し徹底服従させようとする様は、パワハラの上司のあり方そのものだった。児童虐待も、虐待を受けた子供がみずからを悪いと責めてしまう部分もそうだなと思いながら読んだ。

    後半にかけて、回復についての精神的治療のところで、自分が経てきたことをふりかえった。この先もなんとなく見えたりもした。それは微かな希望にもなった。

    心的外傷を持った人のトラウマに向き合うことは、虐げられた人の声を聞くことでもあり、フェミニズムなのだとも思った。私個人が持っている興味の連なりも感じた。

    傷ついたことによって、そのことによって、より人生を見いだすことはありえるだろうか。誰かの力になれることもあるのだろうか。

    まずは自分の回復が大切。と思いながら、そんなことがあったら素敵だなと、思えた。

    • workmaさん

      のしふくさん

       おっしゃるとおりですね…
       まずは自分自身の回復が大切、…ほんとうにそうなるといいですね…「いろんな支配からのサバイバー...

      のしふくさん

       おっしゃるとおりですね…
       まずは自分自身の回復が大切、…ほんとうにそうなるといいですね…「いろんな支配からのサバイバーにとって希望が持てる書物」、だと思いました。
      2023/12/19
  • 100分で名著のジェンダー版の紹介本である。最初の部分は番組で紹介されていた部分である。フロイトが精神分析における貴族の女性のヒステリーの原因が幼児の性虐待であることに気づき、出世欲のためにこれ以上女性のヒステリーを扱うことを断念したことが書いてあった。これは心理学の教科書にはほとんど書かれていないことである。
     PTSDの教科書であるという。戦争のPTSDについては、グロスマンが書いているが、児童と女性の性被害のPTSDについてはこれが第一の本であろう。卒論でPTSDについて書くためには基本書となるであろう。

  •  アメリカの精神科医が語るトラウマとそこからの回復について。

     トラウマとは何か、どの様なものかなどがまとめられ、後半ではその治療について書かれている。
     トラウマケアは長い間、それを見ないようとする力と戦ってきた。フェミニスト的な視点が重要であるとこの本は訴える。
     治療の章では主に三つの段階があるとしている。まず現実的な自分自身の力を高めていく段階。次がその上で過去と対峙する段階。最後が過去と向き合うことができた上でもう一度人生を再構築していく段階と、確かこんな感じだったと思う。虐待などではその出来事にのみ目がいきがちだが、起こったことではなくその人そのものに注目し、力を回復していく支援をしていくことが重要なのだと感じた。

     トラウマケアの必読書。分厚いが何度も目を通す価値がある一冊。

  • 読み応えがある専門書

    • workmaさん
      けんちきんさん
      はじめまして。
      この本、読みごたえありますよね。ずっしりきますが、読んでよかったと心から思うのです。
      けんちきんさん
      はじめまして。
      この本、読みごたえありますよね。ずっしりきますが、読んでよかったと心から思うのです。
      2023/10/20
  • トラウマ医療のバイブル的本。訳者はなんと中井久夫先生です。多くの方に読んで欲しい本です。

    • workmaさん
      えんけんちゃんさん
      はじめまして。
      この本、「心的外傷と回復」の題名どおり、回復への希望の書だと思います…とても勉強になりました!多くの...
      えんけんちゃんさん
      はじめまして。
      この本、「心的外傷と回復」の題名どおり、回復への希望の書だと思います…とても勉強になりました!多くの方に読んでもらいたい、と自分も思います!
      2023/03/15
  • 言わずと知れたC-PTSDのバイブル。

  • 心的外傷についての文献的レビューから始まり、実に多くの臨床例を生々しく列挙した『熱い』一冊。読み進める苦しさに生き残れなければ、決して臨床には活かせないように思う。

  • Child AbuseやSexual Abuseを考えるうえでは、定番中の定番である1冊。
    定番であるだけに、書いてあることは非常に重く、生々しく、正直なところ、
    「ひとりでは読まないでください」
    という注釈をつけたくなるほど厳しい本でもあります。
    「現在では治療法として現実的ではない」
    という批評もありますが、それでも知っていただきたい1冊。

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