見る人 ジャコメッティと矢内原

  • みすず書房 (1999年9月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (218ページ) / ISBN・EAN: 9784622044208

感想・レビュー・書評

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  • 第2章の矢内原との対談が素晴らしい。
    ジャコメッティの友人だった矢内原の口からジャコメッティとの出会いや、デッサンモデルを務めることになった経緯、一日中アトリエで仕事に打ち込む様子やそのあいだに交わした会話が語られる。

    先にジェイムズ・ロードの「ジャコメッティの肖像」を読んで、ジャコメッティが再現したいと願い続け叶わないものとは自分の心境によって常に変化し続ける世界の有様だと思っていた。
    でもそういうことではなくて、矢内原によると、ジャコメッティが言っているのは自分がものを見るときに、どこを捉えているのか、もののどこを見ながらものを認識しているのか…というようなことなんだと。
    以下引用。

    "見えているのは全体で、それは一挙に見えている。
    一挙に見えているときには、部分というものはない。
    全体の内のある部分、鼻なら鼻に注目すれば、他の部分はぼんやり見える。そのぼんやり見えているものを正しく捉えなければならない。どういう風にぼんやり見えるかを正確に描くということが、見えているものを見える通りに描くことになるわけです"


    ジャコメッティについて書かれた本を読むたびに彼の偉大さを感じるけど、白にも黒にも寄らない作風なためか著者によっては作品に個人的な何かを投影しすぎていてちょっと共感できない、と感じるものもある。

    ジャコメッティの友人だった矢内原は、彼のどこに惹かれるのか、彼の作品とは何であるのかをフラットな目線から明確に言語化してくれているので、彼を知りたいと思う人にはこの第2章から伝わってくるジャコメッティ像をぜひ味わってほしいと思う。

  • /?day=20061018

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著者プロフィール

1918年生まれる。東京大学文学部卒業。明治大学名誉教授。2002年死去。
主な著訳書:『ピエールはどこにいる』、『縄文の幻想』、『石を聴く』、『ジャコメッティ』(共編)、『見る人──ジャコメッティと矢内原』、『方円漫筆』、『辻まことの思い出』;サン=テグジュペリ『手帖』、H.リード『イコンとイデア』、ブートゥール『幼児殺しの世界』、T.ド・シャルダン『神のくに・宇宙讃歌』『旅の手紙』(共訳)ほか。

「2016年 『空と夢 〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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