現代小説38の謎 『ユリシーズ』から『ロリータ』まで

  • みすず書房 (1999年9月1日発売)
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本 ・本 (344ページ) / ISBN・EAN: 9784622046028

感想・レビュー・書評

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  • John Sutherlandは訳されているもの以外にも、クラシック文学の素朴な疑問(ジェーンエアはハッピーエンディング?とか)をユーモラスに書き散らかした評論本をシリーズのように出しているのでおススメです。

  • カズオ・イシグロ「日の名残り」訳者あとがきに触れられていたので手に取った。スティーブンスがスエズ動乱について「聞いたことがない」理由は、私が想像したものと似たような、やや違うような解答。既読分「レベッカ」「カーテン」いずれも自分の考えたものとは微妙に違う。全体としては、未読分も含めてこうしたツッコミ、見方もあるのだなぁと。厳密なようでどこか緩く、英国らしく毒のあるユーモア感覚も。学術書ではなく専門家が一般向けに記した著名作品の解説書としてそれなりに楽しめる一冊。全体としては時間軸のズレに拘っているなと思ったら、後書きで著者はその分野が得意と触れてあり納得。「オデッサ・ファイル」についての章で「意外な小説の中に不気味なほどに予言的な瞬間が見られ」るという下りは、現在の米大統領誕生時に「1984」や小松左京「アメリカの壁」、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」が話題となったことを思い出した。
    本の帯が原著のカバーそのままに内容を示している。原著カバーをそのまま採用することはできなかったのだろうか。日本語版のカバーはみすず書房らしいなとは思うが。

  • 文芸評論が難解なものか印象批評かという二極に分裂してしまった現代において、オアシスのような評論。小説の中の些細な謎を解くというパラノイア的姿勢から曳きだされる新たな小説の魅力にメロメロ。本を読む楽しさを再確認させてくれる。これは 20 世紀小説を扱ったものだが、著者の専門であるヴィクトリア朝時代の小説を扱った『ヒースクリフは殺人犯か?― 19 世紀小説の 34 の謎』および『ジェイン・エアは幸せになれるか?―名作小説のさらなる謎』も楽しい。

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