バーデンハイム1939

制作 : Aharon Appelfeld  村岡 崇光 
  • みすず書房 (1996年11月23日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (181ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622046073

バーデンハイム1939の感想・レビュー・書評

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  • (あ、これは「保養地」ではない)と気づいたとき、物語の世界の恐ろしさが迫ってきてぞっとなった。私たちは歴史がどう動いたかを知っているが、そのただなかにいる人々は何が起こっているのかわからない。ゆっくりと、じわじわと物事は動き、そして気づいたときは取り返しがつかなくなっている。ナチ時代だけでなく、こうしたことは世界のあちこちで、紛争や異常気象の中で起こっている。
    ただ正直物語の世界には入り辛かった。原文からこのようなのか、訳文のせいなのか。「楽士」「楽師」「演奏家」「芸術家」これは全部同じものを指しているのではないか。ばらつきが気になった(それとも原文では「楽士」と「楽師」は違うのだろうか)。2108.1.4著者死去を悼んで読む。

  • 架空の保養地バーデンハイム、ある音楽祭を待つ人々の日常に忍び寄る,衛生局の名前を借りたナチスの影,少しずつ違和感が広がり、気が付いた時には気がつかなかったことにしてしまう恐ろしさ.見たくない物を見ないで、運命に逆らえず向かう先の不安をごまかして,,,とても怖い物語だ.

  •  ナチスによるユダヤ人迫害を書いた本はいろいろありますが、この小説はその中でも異色の作品です。舞台はウィーンに近い架空の保養地バーデンハイム。この町のユダヤ人たちが、じわじわと行動を規制されていき、最後に強制移送される様子が描かれているのですが、当のユダヤ人たちは自分たちの身に何が起こっているのか全く気づかないのです。正しい情報をえるすべもなく、何が何だかよくわからない状態のまま、ナチスの手におちていくユダヤ人たちの様子が、淡々と描かれているがゆえにおそろしくリアルで、読み終わったあとで彼らのその後の運命を思うと、背筋に寒気が走ります。ユダヤ人迫害についてだけではなく、国家による情報操作の恐ろしさをひしひしと感じる作品です。

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