六月の長い一日 (Lettres)

  • みすず書房
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (173ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622048015

作品紹介・あらすじ

「教えてほしいの。シモンのことがどうも腑に落ちなくて。あなたは私なんかよりも古くからの知り合いでしょ。どうしてあんな風になったのか、ぜひ教えてほしいのよ」名門出のシモンは、何故すべてを投げ出して姿を消してしまったのか。その挫折の原因を、ルネは女友達のローリスとともに探索する。街路樹の木蔭の小暗い部屋に閉じこもり、六月の長い長い一日をかけて…。二人がすでに六十代に入っている現在と、戦中・戦後のさまざまな過去との間を時間は行き来する。幾重にも重なる時間のひだの奥から、シモンとそのまわりの男女が姿を現わし、消えて行く。いかにもグルニエ的なこの小説は、日本において戦後民主主義高揚期の解放気分とその後の幻滅を味わった世代に共通する物語=歴史でもあるだろう。

感想・レビュー・書評

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  • 深い哀愁。何かに手が届きそうだったのに、何にもなれなかった人たちの物語。普通、平凡、何もない人生の居た堪れなさと諦めが身にしみる。ルネは他人に期待し過ぎたのかも知れない。余りにリアルで誰の人生にも起こり得る手触りのある虚さは嫌いじゃない。

  • ミステリアスな雰囲気。

    移り気なシモンと、紫の女ヴィオレッタ。
    二人はとても似ている気がする。
    人を惹き付ける存在であるのに、本人たちはいつも孤独だ。

    過去を振り返るようになると、人は時の流れを流れる漂流物みたいに思えてくる。
    大江健三郎さんの「日常生活の冒険」をちょっと思い出した。

  • 昔の友人のことを回想していく男女の物語で、大きな出来事や、大きな感情の高まりがあるわけじゃないけど(あえて避けているようにもみえる)、文章や翻訳と共にシンプルに感じて好きだった。

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著者プロフィール

Roger Grenier(1919-2017)
フランスの小説家、ジャーナリスト、放送作家、編集者。
ノルマンディ地方のカーンに生まれ、フランス南西部のポーで育つ。大戦中はレジスタンス活動に関わり、戦後アルベール・カミュに誘われて「コンバ」紙の記者としてジャーナリストのキャリアをスタート。その後、ラジオの放送作家などを経て、1963年よりパリの老舗出版社ガリマールの編集委員を半世紀以上務めた。1972年、長篇『シネロマン』でフェミナ賞受賞。1985年にはそれまでの作品全体に対してアカデミー・フランセーズ文学大賞が授与された。刊行したタイトルは50以上あり、とりわけ短篇の名手として定評がある。邦訳は『編集室』『別離のとき』(ともに短篇集)、『黒いピエロ』(長篇)、『ユリシーズの涙』『写真の秘密』(ともにエッセイ)など。亡くなる直前までほぼ毎日ガリマール社内のオフィスで原稿に向かっていたが、2017年、98歳でこの世を去る。本書は生前最後の短篇集。

「2023年 『長い物語のためのいくつかの短いお話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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