太宰治 滑稽小説集 (大人の本棚)

著者 :
制作 : 木田 元 
  • みすず書房
4.08
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本棚登録 : 49
レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622048381

作品紹介・あらすじ

私たちにとっては、太宰はまず滑稽小説の希代の名手だった-と語る哲学者によって新たに編まれた短編集。「おしゃれ童子」「畜犬談」「親友交歓」ほか全8篇。

感想・レビュー・書評

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  • 内田百閒の随筆ような面白さ有り。

  • 太宰治 滑稽小説集
    木田元 が選んだ 滑稽短編8編。太宰治の幅広さを感じる

    黄村先生3部作「黄村先生言行録」「花吹雪」「不審庵」トリックスター的な滑稽さは 戦中のヤケクソな滑稽さ(笑ってないとやってられない)を感じる

    「おしゃれ童子」「服装に就いて」「畜犬談」は 出だしの言葉から面白い。育ちの良さを 笑いに変えた感じ
    *子供の頃から お洒落のやうでありました
    *ほんの一時ひそかに凝った事がある。服装に凝った
    *私は犬については自信がある。必ず喰いつかれる自信

    おしゃれ童子
    *お金を借りるときより 着物を借りる方が十倍苦しい
    *借衣すれば 人みな借衣に見ゆる哉

    服装に就いて
    *自分では人生の片隅に つつましく控えているつもり〜人は なかなか それを認めてくれない
    *最高の誇りと最低の生活で、とにかく生きてみたい

    黄村先生言行録(黄村シリーズ)
    *黄村先生が山椒魚に凝って大損した話

    花吹雪(黄村シリーズ2)
    *黄村先生の花吹雪格闘事件
    *真理は笑ひながら語っても真理

  • 小説は大抵「絵空事」(p.121)と心得るべきか、時には。図書館本。 122

  • 滑稽というか、シニカルというか。
    編者の木田元さんの評論が木田さんの太宰への思い入れが伝わります。
    木田さん、ご冥福をお祈りします。

  • 太宰治の再発見である。太宰治と言えば、陰気で生きるのがイヤになる小説ばかり書いているのかと思いきや、もともと滑稽文学の名手であったという。本書は、哲学者・木田元が太宰の滑稽小説の数ある中から選りすぐった短編集である。

    本編に入る前に、木田元先生の滑稽文学論が紐解かれる。滑稽文学とは、未来に希望も持てそうもないようなあまりに暗い世の中(敗戦直後)でも笑い転げるような文学のことで、風刺・ユーモア小説などとは違うということらしい。喜劇である。この導入部分だけでも、木田元先生の笑いの文学に対する造形の深さを感じられて一読の価値がある。

    旧仮名遣いであったり、時代背景が異なったり、はたまた私の文学的素養の問題なのか、木田元先生のように腹を抱えて笑うことは出来なかったけれど、じっくり読んでいくと、クツクツと笑いがこみ上げるコミカルな作品ばかりで、太宰を見直すきっかけになった。

    さて、やはり気になる作品は、動物を取り上げたものになる。

    犬が嫌いな「私」が、嫌いすぎるが故に犬を飼うことになってしまった、「畜犬談」。これが可笑しいのである。犬に対する扱いや視線が酷すぎるのだけど、だんだん、家に寄りついた犬が気になってしまうところのやり取りなどは、内田百聞「のらや」を彷彿とさせる書きっぷりであった。犬を飼ったことのある人は読んでみると良いだろう。犬好きにとっては、最後の結末にも一安心である。見事な作品。演劇化したものを見てみたいと思うようになった。
    この一連の作品の中には、或る古老の文士・黄村先生と書生のやりとりがいくつか収められているのだが、その中に山椒魚の虜になった文士の騒動がある(黄村先生言行録)。これは、、井伏鱒二へのコメディであろうか?!

    暗い世の中だと思ったら、風刺でチクリではなく、笑い転げる文芸も良い物だと悟ったのだった。

  • 太宰はおもしろい人だと感じます

  • 哄笑必須。自虐のユーモアから、呆れのユーモア。どれも腹をひくつかせてしまう傑作だ。

    特にこの第二部というのがどれも黄村先生シリーズなのだが、なんとも軽妙。風雅な事に手を出しては、それがあらぬ方向へ行ってしまい笑いを誘う、愛すべき黄村恩師である。


    おしゃれ童子
    服装に就いて
    畜犬談


    黄村先生言行録
    花吹雪
    不審庵


    親友交歓
    男女同権

    哲学者木田元による前置き「滑稽文学について」も坂口安吾からバルザックまで、様々な著者による滑稽小説を紹介しており、読み応えがある。流石のみすず書房出版。太宰治生誕100周年記念の2009年には、こういう本をプッシュして欲しかったものである。良質な笑いを今、世間に。

  • 太宰治やっぱりすごい。時間があれば読み直したい本がたくさんある。

  • 今読んでる途中。
    最初の滑稽小説の説明の部分だけでも、色んな作家の滑稽小説が少し書かれており面白い!坂口安吾、チェーホフ、谷譲次、二葉亭四迷、、、他にも読んでみたい作品が多くあった。まず滑稽小説という分野があるということを知れた時点で面白い!
    実際の太宰治の滑稽小説はまだ途中だけど既に面白い。おしゃれ童子が好きです。

  • 小説集を偉そうに読んだふりしてるけど、私は畜犬談を読んだだけです・・・でも、これからこの本読んでいきたい!なんでこの話を読んだかっていうのは、大学の演習の授業で扱った作品。今まで純文学に触れてきたけど、1番読みやすくて一人で声を上げてわらってしまいました。でも、この話はただの滑稽話ではありません。あたかも主人公が太宰な雰囲気かもし出してるけど、私は犬も太宰だと思います。この話に出てくる犬は太宰だけではなく、私ともかぶる、犬は弱くて汚らしい描写で、強い人間にほいほいついていく愚か者、なんて主人公は言ってるけど、まさに人間社会だと思います。それを感じ取っているから、主人公も犬をあんだけ毛嫌いしたんじゃないかな。テンポよく書かれていてさらっと読んでしまいそうですが、深いお話だと思います。でも、やっぱり太宰は面白いな。人間失格読んでみたいいけどあれは、私が本当に落ちた時用にとってあります。

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著者プロフィール

1909年(明治42年)、青森県金木村(現五所川原市)生まれ。本名、津島修治。東大仏文科在学中に非合法運動に従事し、やがて本格的な執筆活動へ。35年、「逆行」で第1回芥川賞の次席となり、翌年には処女作品集『晩年』を刊行。以後「走れメロス」「斜陽」など多数。

「2018年 『津軽』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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