冗談 (Lettres)

  • みすず書房
4.02
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本棚登録 : 160
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622048671

感想・レビュー・書評

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  • クンデラの作品とは、疲れた時にふと見せる穏やかな微笑のようなものではないだろうか。それは人間の業や時代といったものに振り回されながら、それでも人間であることの尊厳や美しさは何ら損なわれるものではないという声明に他ならない。クンデラ最初の長編作品である本作は友人に裏切られ、歴史から見放されたルドヴィークを中心に、存在することへの痛みに満ちた痛切な愛の物語が繰り広げられていく。それは出来過ぎた冗談の様に滑稽であり、笑うに笑えないぎこちない微笑みの様だ。弱さを持ち続けること、そのことをクンデラは静かに肯定する。

  • クンデラはいつも読み終わると言葉が出ない。
    自分の中にある言葉を全て吸い取られて外に置かれているような気がしてしまうから。
    洞察の巧みさ、展開の濃厚さ、形式の面白さ、あらゆる意味で満点と言いたくなる。

    特に印象に残ったのは、抱きたいけど拒まれた女に対する怒りと憎しみ。あるいは、ヘレナを抱いたけれども復讐にならなかった虚しさ。神父の信仰心と欲と、でもそれが愛としてプラスの価値を持ってしまう倫理的背反。それらが両方の側から説得力を持って語られる構成の妙。

  • 人間の心情描写が細かくって、長い本だけど興味深く読めた。
    読み終わると、ほんとに全部が冗談みたい。
    絵葉書に書いた冗談によってルドヴィークは身を破滅させたのだから、ほんとに笑えない冗談なんだけど。

    この時代のチェコの政治のこととか知らないので分からないことも多かったのが残念。
    冒頭の挨拶でミラン・クンデラは「それ(歴史)について知らねばならないすべてを、小説みずからが語っています。」と書いてるんだけど、やっぱり分からないところも多かったのは無知すぎるから・・・?

  • たったひとつの冗談から生まれる人間模様、可笑しくて悲しい話。人生はすれ違いやとりかえしのつかないことばかりだよ。

  • 半分過ぎたあたりから夢中で読めそうになってきた。最初は把握しづらかったから。

  • 時代に翻弄されても、人間の真実は変わらない

  • [ 内容 ]
    「トロツキー万歳」この一言の冗談から始まる悲喜劇。
    20世紀文学の最高傑作をlettres版でおくる。

    [ 目次 ]


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    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • クンデラは「存在の耐えられない軽さ」が有名ですが
    この本は衝撃的に面白かったです。

  • 戦後の共産主義体制下のチェコが舞台です。
    確かにタイトルが内容そのものを表していますが、決して笑える内容ではありません。
    複数の登場人物の語りで進行しますが、主人公のパートが若干わかりにくく重いかも。
    最終章は面白かったです。

  • 切実で、おかしくて

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著者プロフィール

1929年、チェコ生まれ。「プラハの春」以降、国内で発禁となり、75年フランスに亡命。主な著書に『冗談』『笑いと忘却の書』『不滅』他。

「2020年 『邂逅 クンデラ文学・芸術論集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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