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本 ・本 (306ページ) / ISBN・EAN: 9784622049388
感想・レビュー・書評
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再読。二人の女性、家庭もちの医者と、独身の生物研究者兼教師の往復書簡集。
このふたりが、女学生の時代を共にペンドル・ヒルというクウェーカーの施設で過ごしたことが、この二人の結びつきを深くしたものと思われる。
「ペンドル・ヒルが」「ペンドル・ヒルが」となんども出てくるのがとても印象的だった。
感嘆するのは、二人の仕事っぷりだ。
手紙の内容は、お互いの仕事のことばかり。
またこれがすごいよく働く!!
家庭をもち、子供もいるのに、翻訳の仕事をし、学校で教え、講演会をし、その合間にハンセンの島に往診に行き、原稿を書き・・・、浦口のほうも、生徒を教えながら研究論文を書き、生徒の論文の指導をし、浅間にフィールドワークに行き・・・すさまじい仕事量だ。
「お互い業ですね」と神谷美恵子が書いていたが、この二人をつないでいたものは、自分が見出した命題に情熱のすべてをかけて取り組む、という姿勢なのだと思う。
しかも、二人とも「生きがいについて」「浅間のフィールドワーク」という二大原稿を仕上げようと10年以上葛藤してるのには心をうたれる。
考え、集め、まとめ、削り・・・・作り上げるものとしての真摯な苦しみを二人はともに経験している。
そしておそらくペンドルヒルで味わったのであろう、自分の周りの美しい自然や四季の移り変わりを楽しむことが往復書簡から漂ってくる。
封筒にオリヅルランを同封して送り、それを受け取った神谷美恵子が大切に根付かせて育てるのも実にロマンチックだ。
神谷美恵子の最後の手紙に号泣した。
この距離感と信頼。
友情の真髄がそこに読めた。む詳細をみるコメント0件をすべて表示
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